古物商許可証を紛失・破損した!「再交付申請」の手続き方法と後から見つかった時の対応

古物商許可証を紛失・破損した際の「再交付申請」の手続きを行政書士が徹底解説! 警察署での再交付には約14日間の審査がかかり、即日発行はされません。 また、再交付後に古い許可証が見つかった場合は「10日以内に返納理由書を添えて返納する」という厳格な義務があります。 手続きを放置するリスクや、役員変更等の手続きと紛失が重なった場合の対処法など、プロの実務知識を網羅しました。

分野
古物商
主な法令
古物営業法
公開日
2026年4月6日
更新日
2026年9月25日
目次

「引っ越しのドタバタで、古物商の許可証がどこかに消えてしまった」 「うっかり破いてしまった、汚れて読めなくなってしまった」

許可証は、あなたが適法に古物営業を営んでいることを証明する”身分証”そのものです。紛失や破損に気づいたとき、「警察のデータベースに記録が残っているから大丈夫」「次の更新のついでに相談すればいい」と先送りにしてしまう方が少なくありません。

しかし、そのまま放置すると立入検査で許可証の提示を求められた際に、重大な法令違反を疑われるリスクがあります。

古物営業法は、許可証を紛失・破損した場合の対応について「速やかに再交付申請を行わなければならない」と明確に義務づけています。さらに実務では、「申請してもその日に再発行はされない(標準処理期間14日)」「再交付後に古い許可証が出てきたら10日以内に返納しなければならない」など、知らないと痛い目を見るルールが随所に潜んでいます。

この記事では、再交付申請の正しい手順・費用・待機期間、発見時の返納義務、さらに「変更手続きと紛失が重なった場合」の複雑な対処法まで、一つひとつ丁寧に解説します。

1. 紛失・破損に気づいたら「速やかに再交付申請」が法律上の義務

古物商許可証は、行政が発行する重要な公文書です。これを紛失したり、破損・汚損によって許可証としての効力が失われた場合は、古物営業法によって「速やかに」警察へ届け出ることが義務づけられています。

古物営業法 第5条第4項 「許可証の交付を受けた者は、許可証を亡失し、又は許可証が滅失したときは、速やかに、その旨を公安委員会に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない」

法律用語を補足しておくと、「亡失(ぼうしつ)」は紛失して手元からなくなること、「滅失(めっしつ)」は焼失・破損・汚損などによって許可証としての効力が失われることを指します。

「金庫の中にあるはずなのに見当たらない」「間違えて破いてしまった」——そう気づいた瞬間から、再交付申請の手続きを動かす必要があります。「そのうち出てくるだろう」と様子を見ている時間は、法律上ありません。

申請窓口は「主たる営業所」の管轄警察署

複数の店舗を展開している事業者が特に注意すべきなのが、「どの警察署に行けばいいのか」という問題です。

古物営業法施行規則 第4条では、許可証の再交付申請は「主たる営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長を経由して」提出しなければならないと定められています。

たとえば、名古屋市に主たる営業所、豊田市にその他の営業所がある法人が、豊田市の店舗で許可証を紛失したとします。この場合、「紛失したのは豊田市だから」と豊田市の警察署へ行っても手続きはできません。窓口は必ず「名古屋市(主たる営業所)の管轄警察署の生活安全課」です。

管轄を間違えると無駄足になるだけでなく、「速やかに」という法律上の義務を果たせない期間が延びてしまいます。まず管轄を確認してから動くことが、時間ロスを防ぐ第一歩です。

2. 再交付には手数料と「14日間」の待機期間がある

「管轄の警察署へ駆け込めばすぐ再発行してもらえる」——残念ながら、そうはなりません。古物商許可証の再交付は、運転免許証の再発行とは仕組みが異なります。一定の審査期間と費用が必ず発生します。

手数料について

再交付申請には手数料が必要です。全国的には1,300円が標準とされていますが、正確な金額は管轄の警察署窓口または都道府県公安委員会の公式情報でご確認ください。

新しい許可証が届くまで「14日」かかる

経営者が最も頭に入れておくべき点がここです。

愛知県公安委員会の審査基準(A-b-3)をはじめ、警察の審査基準において、古物営業法第5条第4項に基づく許可証再交付の標準処理期間は「14日」と定められています。

つまり、再交付申請書を提出してから新しい許可証が手元に届くまで、最長で約2週間、許可証の原本がない状態が続きます。

古物営業法では、行商(出張買取りなど)や競り売りの際に許可証の携帯義務が課されています。この14日間は、そうした営業活動に深刻な支障が出かねません。「明日の買取りに間に合わせたい」と頼み込んでも、行政の標準処理期間を変えることは原則できません。

だからこそ、紛失・破損に気づいた日のうちに動き始めることが、ビジネスへの影響を最小限に抑えるための絶対条件です。

3. 再交付後に古い許可証が出てきたら「返納」が義務

新しい許可証を受け取ってしばらくしてから、「大掃除をしていたら、失くしたはずの古い許可証が出てきた」というケースは、実務上めずらしくありません。

このとき、「予備として取っておこう」「もう使わないからそのままでいいか」と手元に残しておくことは、古物営業法に違反する行為です。

発見した旧許可証は「返納理由書」とともに返納する

古物営業法では、許可証の再交付を受けた後に亡失した旧許可証を発見(回復)した場合、速やかに警察(公安委員会)へ返納しなければならないと定められています(実務上、返納期限は発見から10日以内とされています)。

返納の際は、旧許可証を黙って窓口へ置いてくるだけでは不十分です。「返納理由書(別記様式第9号)」を作成・提出することが義務づけられています。

この返納理由書には「古物営業法第8条の規定により許可証を返納します」と明記し、許可証が見つかった経緯や返納理由を記載します。また、警察(行政)側でも、法第8条に基づく返納を受けた場合は「返納を受けた年月日」「返納理由」などを国家公安委員会へ報告する厳格な事務処理ルートが設定されています。

「見つかってよかった」で終わらせず、「返納理由書」を添えて規定期間内に返納することを必ず徹底してください。返納義務を怠れば、古物営業法違反として処罰の対象になりかねません。

4. 「変更届・書換申請」の時に紛失が発覚した場合の対処法

実務上、よくあるのがこのケースです。「役員が交代した」「本社を移転した」など許可証の記載事項に変更が生じ、さあ書換申請をしようと警察署へ行こうとした段階で、「許可証がどこにもない!」と初めて気づく——。

古物営業法では、許可証の記載事項に変更があった場合、古い許可証を返納して新しい許可証に書き換えてもらわなければなりません。しかし返すべき許可証の原本が手元にない状態では、書換申請を受理してもらうことは原則できないのです。

「再交付」→「書換申請」という2段階の手続きが必要になる

このような手続きが重なったケースについて、警察の実務書『わかりやすい古物営業の実務』Q76(新許可証交付申請時に旧許可証が見つからない場合の対応)では、以下のように解説されています。

「旧許可証を亡失・滅失した場合には、旧許可証に係る再交付申請を行い、許可証の再交付を受けた後、新許可証交付申請を行うことになります。」

つまり、どれだけ書換えの期限が迫っていても、まず①紛失した許可証の再交付申請を行い、新しい許可証が手元に届く14日間を待ってから、改めて②変更に伴う書換申請を行うという、2段階の手続きを踏まなければなりません。

さらに厄介なのが、変更届・書換申請には「変更日から14日以内」「20日以内」といった厳格な期限が設けられていることです。紛失の発覚が遅れるほど、この期限切れによる「変更届出・書換申請義務違反」のリスクが急速に高まります。

まとめ

古物商許可証の紛失・破損トラブルへの正しい対応を、最後に整理します。

  • 速やかに再交付申請: 紛失・破損に気づいたら放置せず、「主たる営業所」の管轄警察署を経由して速やかに再交付申請を行う(古物営業法第5条第4項・同法施行規則第4条)。
  • 14日間の待機期間: 再交付には手数料(一般的に1,300円)がかかり、標準処理期間として最長14日かかる。この間は許可証不携帯の状態が続くため、早期申請が最大の防衛策。
  • 発見時の返納義務: 再交付後に旧許可証が発見された場合は、「返納理由書(別記様式第9号)」を添えて10日以内に警察へ返納する(古物営業法第8条)。
  • 手続きの順番に注意: 変更届・書換申請と紛失が重なった場合は、まず「再交付」から着手する(警察実務書『わかりやすい古物営業の実務』Q76)。
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