「産廃の罰則は重いと聞くけど、具体的にどの違反で、どれくらいの罰則があるの?」
「法人に3億円の罰金が科されるのは、どの違反でも同じ?」

廃棄物処理法の罰則というと、無許可営業や不法投棄の「5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、法人3億円以下の罰金」が有名です。無許可営業のリスクや、罰金刑を受けると建設業許可にまで影響が及ぶ「連鎖リスク」については、「建設業者が産廃収集運搬業を兼業するリスクと正しい手順」や「産業廃棄物収集運搬業の許可は必要?」で詳しく解説しています。

しかし実際には、廃棄物処理法には委託契約、マニフェスト、帳簿、届出、報告など、日常業務に関わる違反についても細かく罰則が定められています。この記事では、それらを違反の種類ごとに一覧で整理し、法人に科される罰金の範囲(両罰規定)もあわせて解説します。

※「拘禁刑」は、刑法改正により従来の「懲役」「禁錮」が一本化されたものです(現行の廃棄物処理法の条文は「拘禁刑」と表記しています)。

第1章|罰則の全体像

廃棄物処理法の罰則は、第25条から第34条に定められています。重さの順に整理すると次のとおりです。

条文法定刑
第25条5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科
第26条3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科
第27条2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科
第27条の21年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
第28条1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
第29条6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
第30条30万円以下の罰金
第33条20万円以下の過料

第2章|委託・受託に関する罰則(排出事業者・許可業者)

排出事業者と許可業者の双方にとって、最も身近なのが委託・受託に関する罰則です。

違反の内容罰則条文
許可業者等以外の者(無許可業者など)に産業廃棄物の処理を委託した5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項6号(12条5項違反)
許可業者以外の者が産業廃棄物の処理を受託した5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項13号(14条15項違反)
委託基準(書面契約・所定の記載事項・許可証の写しの添付・5年保存など)に違反して委託した3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金法26条1号(12条6項違反)
再委託の禁止に違反して他人に委託した3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金法26条1号(14条16項違反)
自己の名義で他人に処理業を行わせた(名義貸し)5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項7号(14条の3の3違反)

「許可業者に委託したが、契約書に最終処分の場所を書いていなかった」「許可証の写しを添付していなかった」といった形式面の不備も、委託基準違反として第26条の対象になり得ます(委託契約書の記載事項は「産業廃棄物の委託契約書に必要な記載事項と保存期間」、再委託は「産廃の再委託は禁止?」、名義貸しは「産業廃棄物処理業の名義貸しはなぜ禁止?」参照)。

第3章|不法投棄・不法焼却・施設に関する罰則

違反の内容罰則条文
法16条に違反して廃棄物を捨てた(不法投棄)※未遂も処罰5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項14号・2項
法16条の2に違反して廃棄物を焼却した(不法焼却)※未遂も処罰5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項15号・2項
不法投棄・不法焼却の目的で廃棄物の収集・運搬をした3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金法26条6号
設置許可を受けずに産業廃棄物処理施設を設置した5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項8号
変更許可を受けずに処理施設の処理能力・設置計画等を変更した5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項10号
譲受け等の許可を受けずに処理施設を譲り受け・借り受けた3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金法26条3号
使用前検査を受けずに処理施設を使用した6月以下の拘禁刑・50万円以下の罰金法29条2号

第4章|許可・命令に関する罰則

違反の内容罰則条文
許可を受けずに処理業を行った(無許可営業)5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項1号
不正の手段で許可(更新を含む)を受けた5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項2号
変更許可を受けずに事業の範囲を変更して事業を行った5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項3号
事業停止命令・措置命令に違反した5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金法25条1項5号
改善命令、処理施設の改善・使用停止命令、廃業後の保管等に係る命令に違反した3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金法26条2号

事業の範囲外の品目を扱うことは、無許可営業と同じ第25条の対象になります。品目の追加や積替え保管の追加をする場合は、必ず事前に変更許可を受けましょう(「産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可の手続き」参照)。

第5章|マニフェストに関する罰則

マニフェスト関係の違反は、原則として1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(法第27条の2)。

違反の内容条文
マニフェストを交付しない、記載事項を記載しない・虚偽記載をして交付した法27条の2第1号
運搬受託者が写しを送付しない・虚偽記載をした、処分受託者へ回付しなかった同2号・3号
処分受託者が写しを送付しない・虚偽記載をした同4号
マニフェストやその写しを保存しなかった同5号
受託していないのに虚偽の記載をしてマニフェストを交付した同6号
マニフェストの交付を受けずに廃棄物の引渡しを受けた同7号
処理を終了していないのに終了した旨の送付・報告をした同8号
電子マニフェストで虚偽の登録・報告をした、報告しなかった同9号・10号
マニフェストに関する知事の命令に違反した同11号

この罰則は、平成29年の法改正で引き上げられたものです(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の施行について(通知)」(平成30年3月30日環循適発第18033010号・環循規発第18033010号)第七)。収集運搬業者側の違反(写しの不送付、交付を受けずに引渡しを受ける等)も含まれている点に注意しましょう(「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の基本」参照)。

第6章|届出・通知・帳簿・報告に関する罰則

日常の手続に関する違反にも、罰則があります。

違反の内容罰則条文
欠格要件に該当するに至った旨の届出をしなかった・虚偽の届出をした6月以下の拘禁刑・50万円以下の罰金法29条1号
事業場外保管(300㎡以上)の事前届出をしなかった・虚偽の届出をした6月以下の拘禁刑・50万円以下の罰金法29条1号
処理困難通知・廃止時・許可取消時の委託者への通知をしなかった・虚偽の通知をした6月以下の拘禁刑・50万円以下の罰金法29条4号
上記通知の写しを保存しなかった6月以下の拘禁刑・50万円以下の罰金法29条5号
帳簿を備えない・記載しない・虚偽記載・保存しない30万円以下の罰金法30条1号
変更届・廃止届をしなかった・虚偽の届出をした30万円以下の罰金法30条2号
産業廃棄物処理責任者・特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなかった30万円以下の罰金法30条5号
有害使用済機器の保管等の届出をせずに業を行った・虚偽の届出をした30万円以下の罰金法30条6号
報告徴収に対して報告しない・虚偽の報告をした30万円以下の罰金法30条7号
立入検査・収去を拒み、妨げ、忌避した30万円以下の罰金法30条8号
処理施設の技術管理者を置かなかった30万円以下の罰金法30条9号
非常災害時の事業場外保管の事後届出(14日以内)をしなかった20万円以下の過料法33条1号
多量排出事業者が処理計画を提出しない、実施状況を報告しない20万円以下の過料法33条2号・3号

罰金が「30万円以下」と比較的軽い違反でも、許可業者の場合は行政処分とセットで考える必要があります。例えば、国の行政処分の指針は、許可業者による報告拒否・虚偽報告は、たとえ初めての違反でも直ちに事業停止処分を課すのが相当としています(「行政処分の指針について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033028号。以下「指針」)第6の2(4))。

第7章|法人に対する罰金(両罰規定)

両罰規定とは

法人の代表者や従業者などが、その法人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑が科されます(廃棄物処理法第32条第1項)。これを「両罰規定」といいます。

3億円以下の罰金が科される違反

法人の罰金の上限は、違反の種類によって異なります(廃棄物処理法第32条第1項)。

違反法人の罰金
無許可営業、不正の手段による許可取得、変更許可を受けない事業範囲の変更、不正の手段による変更許可(第25条第1項第1号〜第4号)3億円以下
法第10条第1項等に違反した廃棄物の輸出(同第12号)3億円以下
不法投棄(同第14号)、不法焼却(同第15号)、これらの未遂(同条第2項)3億円以下
上記以外の第25条の違反(無許可業者への委託、名義貸し、無許可での受託、命令違反、施設の無許可設置など)各本条の罰金(1,000万円以下)
第26条〜第30条の違反各本条の罰金

「法人は一律3億円」ではなく、3億円の対象は無許可営業・不正許可・事業範囲の無許可変更・違法な輸出・不法投棄・不法焼却に限られています。一方で、無許可業者への委託や名義貸しも、法人に1,000万円以下の罰金が科される重い違反です。

第8章|罰則が「許可の取消し」に直結する仕組み

罰金刑で欠格要件に

廃棄物処理法等の生活環境保全法令に違反して罰金の刑に処せられた場合、その執行を終わった日等から5年を経過しない者は、欠格要件に該当します(廃棄物処理法第7条第5項第4号ニ、第14条第5項第2号イ)。法人の役員がこれに該当すれば、法人も欠格要件に該当します(同法第14条第5項第2号ニ)。許可業者が欠格要件に該当するに至ったときは、許可を取り消さなければなりません(同法第14条の3の2第1項)。

つまり、マニフェスト違反(第27条の2)や帳簿の不備(第30条)といった、一見軽く見える違反でも、罰金刑が確定すれば許可の取消しにつながり得る、ということです(欠格要件の詳細は「産業廃棄物処理業の欠格要件とは?」参照)。

第25条〜第27条の違反は「情状が特に重い」

国の指針は、廃棄物処理法第25条から第27条までに掲げる違反行為を行った場合は、業務停止命令等を経ずに直ちに許可を取り消すことが相当な「情状が特に重いとき」(同法第14条の3の2第1項第5号)に該当すると解して差し支えないとしています(指針第2の2(5))。また、行政処分は刑事処分を待たずに行うべきとされており、起訴猶予で不起訴になった場合でも違反の事実が明らかであれば厳正な行政処分を行うべきとされています(指針第1の3、第2の2(1)①)。刑事罰を免れたとしても、許可への影響が残ることがあります(「産業廃棄物処理業の行政処分(取消し・停止)の指針とは」参照)。

第9章|コンプライアンス体制づくりは行政書士へ

ポイントをまとめます。

  • 無許可営業・不法投棄だけでなく、委託基準違反・再委託・名義貸し・マニフェスト・帳簿・届出・報告拒否にも罰則がある
  • 法人に3億円以下の罰金が科されるのは、無許可営業・不正許可・事業範囲の無許可変更・違法な輸出・不法投棄・不法焼却に限られ、それ以外は各本条の罰金
  • 廃棄物処理法違反で罰金刑を受けると5年間の欠格要件に該当し、許可の取消しにつながる
  • 第25条〜第27条の違反は、直ちに許可取消しとなり得る

三澤行政書士事務所では、許可取得後のマニフェスト・帳簿・届出の運用点検や、社内のコンプライアンス研修資料づくりもお手伝いしています。東海エリアの事業者様は、お気軽にご相談ください。


出典:

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第7条第5項、第12条、第12条の3〜第12条の6、第14条、第14条の2、第14条の3の2、第14条の3の3、第25条〜第33条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の施行について(通知)(平成30年3月30日環循適発第18033010号・環循規発第18033010号)
  • 行政処分の指針について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033028号)