産業廃棄物処理業の許可を受けている事業者が、これまで取り扱っていなかった種類の廃棄物を新たに取り扱おうとする場合や、新たな処理方法を追加しようとする場合には、既存の許可の範囲を広げる「事業範囲の変更許可」の手続きが必要です。

廃棄物処理法は、「産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者は、その産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業の範囲を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、その変更が事業の一部の廃止であるときは、この限りでない」と定めています(廃棄物処理法第14条の2第1項)。特別管理産業廃棄物処理業についても同様です(同法第14条の5第1項)。

変更許可の審査には、新規許可と同じ基準(施設・能力の基準、欠格要件)が準用され、生活環境の保全上必要な条件を付すこともできます(同法第14条の2第2項で準用する第14条第5項・第10項・第11項)。

事業範囲の変更許可が必要になるケース

たとえば、これまで廃プラスチック類のみの収集運搬を行っていた事業者が、新たに廃油の収集運搬も行いたい場合や、収集運搬業のみの許可を持つ事業者が、新たに積替え保管を行いたい場合、処分業者が新たな処分方法を追加したい場合などは、既存の許可の事業範囲を超える事業を行うことになるため、変更許可を受ける必要があります。無許可のまま事業範囲を広げてしまうと、その部分については無許可営業となってしまいます。変更許可を受けずに事業範囲を変更して事業を行った場合は、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科の対象です(廃棄物処理法第25条第1項第3号)。

国の通知では、許可の申請に係る事業の範囲は、収集運搬業では「積替えの有無」と「取り扱う産業廃棄物の種類」、処分業では「中間処理又は最終処分の区分」「焼却処分、埋立処分等の処分の内容」「取り扱う産業廃棄物の種類」により示されるものとされています(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の1)。これらのいずれかを広げる変更が、事業範囲の変更許可の対象と考えるとわかりやすいでしょう。

また、石綿含有産業廃棄物、自動車等破砕物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等を、これまで「除く」内容で許可を受けていた事業者が、新たに「含む」内容に変更する場合も、事業範囲の変更許可の対象となる典型例です(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q20)。

性状の限定を外す場合も要注意

許可の事業範囲は、施設によっては取り扱えない性状があることから、例えば「汚泥(含水率何パーセント以下の無機性のものに限る。)」のように限定されることがあります(許可事務通知第1の1)。こうした限定付きで許可を受けている場合、限定の範囲外のもの(例えば限定より含水率の高い汚泥)は、品目名が同じでも許可の事業の範囲に含まれていないことになります。扱う予定がある場合は、必要な手続を申請先に確認しましょう。許可証の「事業の範囲」欄は括弧書きまで確認することが大切です。

許可番号が変わる場合がある

許可番号の4桁目は業の種類を示し、収集運搬業では積替えを含まないものが「0」、含むものが「1」、処分業では中間処分のみ「2」、最終処分のみ「3」、中間・最終処分「4」などとされています(「産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033022号)別添2(1)③)。業の種類の変更を伴う変更許可を行った場合は、許可番号の変更が登録されます(同別添4(2)②イ)。例えば積替え保管を追加すると許可番号の4桁目が変わり得るため、車両表示(下6桁)への影響はなくても、委託契約書などに記載している許可番号を確認しておくとよいでしょう。なお、6〜11桁目の固有番号は、変更許可を行っても変更しないとされています(同別添3②)。

「変更許可」と「変更届出」「廃止届出」の違い

実務上、産業廃棄物処理業に関する変更の手続きは、内容によって次の3種類に区分されるのが一般的です(愛知県「手続きQ&A」Q20)。

  • 変更許可:申請品目の追加、積替え保管の追加(収集運搬業)、処分方法の追加(処分業)、石綿含有産業廃棄物等を「除く」から「含む」に変更する場合など、許可の実質的な内容を広げる変更
  • 変更届出:氏名・名称、住所、役員(相談役・顧問を含む)、法定代理人、一定割合以上の株式を有する株主、使用人、事務所・事業場の所在地、車両、積替え保管施設・保管に関する所在地や面積・保管計画の変更など
  • 廃止届出:品目の削除、積替え保管施設の廃止、処分方法の廃止、または業自体の廃業(廃業の場合は許可証原本の返納が必要)

このように、同じ「変更」であっても、内容によって手続きの種類が異なるため、変更しようとしている事項がどの区分に該当するかを事前に整理しておくことが重要です。なお、変更届出は変更後10日以内(登記事項証明書の添付が必要な場合は30日以内)、廃止届出は廃止後10日以内という提出期限が設けられています(廃棄物処理法第14条の2第3項で準用する第7条の2第3項、施行規則第10条の10第2項、愛知県「手続きQ&A」Q8)。

変更届出の対象事項(施行規則第10条の10第1項)

法令上、変更届出が必要な事項は次のとおりです。

  1. 氏名または名称(住所の変更も届出の対象(法第7条の2第3項))
  2. 法定代理人、役員、5%以上の株主・出資者、政令使用人
  3. 事務所及び事業場の所在地
  4. 事業の用に供する施設(運搬容器等を除く)、その設置場所、構造または規模
  5. 収集運搬業者の積替え・保管の場所の所在地、面積、品目、保管上限、積み上げ高さ
  6. 処分業者の保管の場所の所在地、面積、品目、保管上限、積み上げ高さ
  7. 収集運搬業者が、許可を受けた都道府県内の政令市で積替えを行う収集運搬業の許可(積替え許可)を新たに受けたかどうか

変更届出書には、変更内容に応じて、登記事項証明書、新たな役員等の住民票の写しと欠格要件の審査書類、変更後の事務所・事業場の見取図、変更に係る施設の構造図・使用権原を証する書類などを添付します(施行規則第10条の10第3項)。愛知県では、役員・株主の変更の場合は任意様式の新旧対照表を別紙として添付するよう求めています(愛知県「手続きQ&A」Q23-2)。変更届出書と廃止届出書は、必要部数と返信用封筒を同封して郵送でも提出できます(同Q23-1)。

変更届出の事項が許可証の記載事項に該当する場合は、許可証の書換えを受けることができます(施行規則第10条の10の2、許可事務通知第1の12)。変更届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です(廃棄物処理法第30条第2号)。

政令使用人については、複数の処理業や複数の都道府県の許可を持つ場合、いずれかに政令使用人を置くときは全ての許可に関する申請書等にその使用人を記載する必要があり、変更届出書も同様とされています(愛知県「手続きQ&A」Q15)。

廃止する場合の委託者への通知

事業の全部または一部を廃止した者で、その事業に係る産業廃棄物の処理を終えていないものは、廃止した日から10日以内に、処理を終えていない産業廃棄物の処理を委託した者に対し、廃止の年月日と事由の内容を書面で通知しなければなりません。通知の写しは5年間保存する必要があります(廃棄物処理法第14条の2第4項・第5項、施行規則第10条の10の4・第10条の10の5)。品目の削除など「一部廃止」の場合も対象になるため、廃止届出とあわせて委託者への通知の要否を確認しましょう。通知をしなかった場合は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です(廃棄物処理法第29条第4号)。

変更許可申請に必要な書類

事業範囲の変更許可の申請にあたっては、新たに追加する廃棄物の種類・処理方法に対応した施設があることを示す書類や、新規許可申請時と同様の事業計画書・資金計画書などの提出が求められます。追加する廃棄物の種類によっては、新たな設備投資や、取り扱いに関する知識・技能の確認が必要になる場合もあります。

申請書の記載事項(施行規則第10条の9第1項)

変更許可の申請書(様式第10号)には、次の事項を記載します。

  1. 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
  2. 許可の年月日及び許可番号
  3. 変更の内容
  4. 変更の理由
  5. 変更に係る事業の用に供する施設の種類、数量、設置場所、設置年月日、処理能力
  6. 変更に係る施設について処理施設の設置許可を受けている場合は、その許可年月日・許可番号
  7. 変更に係る施設の処理方式、構造及び設備の概要
  8. 法定代理人、役員、5%以上の株主、政令使用人に関する事項

添付書類

添付書類は、新規許可申請の規定(施行規則第9条の2第2項、第10条の4第2項)が準用され、「変更後の事業計画」の概要、「変更に係る事業」の用に供する施設の図面、技術的能力の説明書類、資金計画、財務書類、欠格要件関係の書類などが必要です(施行規則第10条の9第2項・第3項)。住民票の写し等に代えて先行許可証を提出できる場合があることも新規申請と同様です(同条第2項で準用する第9条の2第8項、許可事務通知第1の10(3)③)。

講習会修了証

変更許可申請に使える講習会修了証は、直前の許可申請で修了したもの、または直前の許可申請後に修了したものとされています(愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)2(2)イ(ウ))。新規講習・更新講習のどちらの修了証でも、変更許可申請に使えます(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「各講習会の概要と受講料」)。

手数料(愛知県の例)

許可の種類変更許可申請手数料
産業廃棄物収集運搬業71,000円
産業廃棄物処分業92,000円
特別管理産業廃棄物収集運搬業72,000円
特別管理産業廃棄物処分業95,000円

(愛知県「手続きQ&A」Q9。届出には手数料は不要)

処理施設の変更許可とは別の手続

処分業者が新たな処分方法を追加するために処理施設を新設・変更する場合、その施設が産業廃棄物処理施設(施行令第7条)に該当すれば、処分業の事業範囲の変更許可とは別に、処理施設の設置許可または変更許可が必要です(廃棄物処理法第15条第1項、第15条の2の6第1項)。申請書にも、変更に係る施設について処理施設の設置許可を受けている場合はその許可年月日・許可番号を記載することになっています(施行規則第10条の9第1項第6号)。

許可の有効期間との関係

事業範囲の変更許可は、許可の内容を変更する手続であり、有効期間の更新(廃棄物処理法第14条第2項)とは別の手続です。変更許可を受けても、更新の手続が不要になるわけではない点に注意しましょう。変更許可後の許可証の有効期限の表記については、申請先の都道府県に確認しておくと安心です。なお、変更許可を行って新たな許可証が交付される場合は、従前の許可証は返納するものとされています(許可事務通知第1の13(1))。

更新許可申請と変更許可申請を同日に行う場合には、更新許可申請の内容が変更許可申請の内容を含まないようにするなど、申請内容の重複を避ける整理が必要になることもあります(この場合、手数料はそれぞれの申請ごとに発生します)(愛知県「手続きQ&A」Q21)。

まとめ

事業範囲を拡大する際は、既存の許可内容を超える部分について、必ず変更許可の手続きを行う必要があります。ポイントを整理すると次のとおりです。

  • 品目の追加、積替え保管の追加、処分方法の追加、石綿含有等の「除く」→「含む」、性状限定の拡大は変更許可
  • 事業範囲の一部廃止は許可不要だが、廃止届出(10日以内)と、未処理廃棄物がある場合の委託者への通知(10日以内)が必要
  • 役員・株主・使用人・事務所・施設・保管場所の変更は変更届出(10日以内、登記事項証明書が必要な場合は30日以内)
  • 変更許可には新規と同じ審査基準が準用され、講習会修了証は直前の許可申請以降のものが使える
  • 処理施設の設置許可・変更許可が別途必要になる場合がある
  • 無許可での事業範囲の拡大は5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金

「変更許可」「変更届出」「廃止届出」の違いを正しく理解したうえで、新しい廃棄物の種類や処理方法を扱う計画がある場合は、早めに変更許可の要件を確認しておきましょう。


出典:

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第7条の2、第14条、第14条の2、第14条の5、第15条、第15条の2の6、第25条、第29条、第30条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第9条の2、第10条の4、第10条の9、第10条の10、第10条の10の2、第10条の10の4、第10条の10の5)
  • 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
  • 産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033022号)
  • 愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)
  • 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」
  • 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「各講習会の概要と受講料」