産業廃棄物処理施設の構造や設備を変更しようとする場合、原則として都道府県知事等の許可(変更許可)が必要です。しかし、変更の内容によっては、許可を受けずに届出のみで足りる「軽微な変更」として扱われるケースがあります。両者の違いを理解しておくことは、施設の維持管理を行ううえで重要です。
根拠となるのは廃棄物処理法第15条の2の6です。産業廃棄物処理施設の設置者は、設置許可の申請書に記載した次の事項を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならず、ただし環境省令で定める軽微な変更であるときはこの限りでない、とされています(廃棄物処理法第15条の2の6第1項)。
- 処理する産業廃棄物の種類(法第15条第2項第4号)
- 処理能力(最終処分場は埋立地の面積と埋立容量)(同第5号)
- 位置、構造等の設置に関する計画(同第6号)
- 維持管理に関する計画(同第7号)
変更許可が必要な場合
処理能力の増加や、処理方式の変更など、施設の処理能力・機能に実質的な影響を与えるような変更は、原則として変更許可の対象となります。変更許可の手続きでは、新規の設置許可申請と同様に、生活環境影響調査などが必要となる場合があり、一定の時間を要します。
「軽微な変更」に当たらない変更(施行規則第12条の8)
施行規則は、軽微な変更を「次の各号のいずれにも該当しない変更」と定めています。つまり、次のいずれかに当たる変更は、変更許可が必要です。
- 処理能力の変更で、処理能力が10%以上増大するもの(第1号)
- 施設の位置、または処理方式に係る変更(第2号。施行規則第11条第2項第1号・第2号の事項)
- 施設の構造・設備に係る変更のうち、施設の種類ごとに定められた主要設備に係るもの、または変更に伴って設計計算上の排ガス性状・放流水質等の数値が変化し生活環境への負荷を増大させるもの(第3号)
- 排ガス・排水の排出の方法または量の増大に係る変更(第4号)
- 維持管理に関する計画の変更(第5号)。ただし、周辺地域の生活環境への影響を減らす方向での数値の変更や、測定頻度を高くする変更のみを行う場合は除く
第3号の「主要設備」は、施設の種類ごとに次のように定められています(施行規則第12条の8第3号)。
| 施設の種類 | 変更許可の対象となる設備 |
|---|---|
| 汚泥の脱水施設 | 脱水機 |
| 汚泥の乾燥施設 | 乾燥設備 |
| 焼却施設(汚泥・廃油・廃プラスチック類・PCB・その他) | 燃焼室 |
| 廃油の油水分離施設 | 油水分離設備 |
| 廃酸・廃アルカリの中和施設 | 中和槽 |
| 廃プラスチック類、木くず・がれき類の破砕施設 | 破砕機 |
| 有害物質を含む汚泥のコンクリート固型化施設 | 混練設備 |
| 水銀を含む汚泥のばい焼施設 | ばい焼室 |
| シアン化合物の分解施設 | 熱分解設備または分解槽 |
| 廃石綿等・石綿含有産業廃棄物の溶融施設 | 溶融炉または破砕設備 |
| PCB廃棄物の分解施設 | 反応設備 |
| PCB汚染物等の洗浄施設・分離施設 | 洗浄設備または分離設備 |
| 遮断型最終処分場 | 外周仕切設備 |
| 安定型最終処分場 | 擁壁またはえん堤 |
| 管理型最終処分場 | 遮水層または擁壁若しくはえん堤 |
例えば、がれき類の破砕施設で破砕機そのものを入れ替える場合は、処理能力が変わらなくても第3号に当たるため、原則として変更許可が必要になります。一方、破砕機以外の付帯設備(例えば搬送コンベア)の変更で、処理能力の増加が10%未満にとどまり、排ガス・排水等の負荷も増えないものであれば、軽微な変更に当たり得ることになります。
変更許可の申請手続
変更許可の申請書には、施設の設置場所・種類、許可年月日・許可番号、変更の内容と理由、変更のための工事の着工予定年月日と変更後の使用開始年月日などを記載し、変更後の設計計算書、変更後の維持管理計画、処理工程に変更がある場合の変更後の処理工程図、維持管理に関する技術的能力・資金の説明書類などを添付します(施行規則第12条の9)。
変更許可には、設置許可の規定が準用されます(廃棄物処理法第15条の2の6第2項)。そのため、次のような手続が必要になります。
- 生活環境影響調査書の添付(法第15条第3項の準用、施行規則第12条の9第2項)
- 焼却施設・最終処分場など縦覧等を要する施設では、告示・1か月の縦覧、関係市町村長の意見聴取、利害関係者の意見書提出、専門家の意見聴取(法第15条第4項〜第6項、第15条の2第3項の準用)
- 変更後の施設について、都道府県知事の使用前検査に合格するまで使用できない(法第15条の2第5項の準用)
住民票の写し等の添付書類については、他の許可証(先行許可証)の提出で代えることができる場合があります(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号)第1の10(1)(3)⑧)。
無許可で変更した場合
変更許可を受けずに処理する産業廃棄物の種類、処理能力、設置計画、維持管理計画を変更した場合は、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科の対象になります(廃棄物処理法第25条第1項第10号)。
軽微な変更として届出で足りる場合
これに対し、上記のいずれにも該当しない変更は「軽微な変更」として、許可を受けずに行うことができ、変更後に届出(産業廃棄物処理施設の軽微変更等届出書。様式第23号)を行えば足ります(廃棄物処理法第15条の2の6第3項で準用する第9条第3項、施行規則第12条の10の2)。軽微な変更に該当する範囲は、施設の種類や変更の内容ごとに細かく定められているため、個別の変更内容が軽微な変更に当たるかどうかは、条文・通知に照らして慎重に判断する必要があります。
届出は「遅滞なく」行うこととされており(廃棄物処理法第15条の2の6第3項で準用する第9条第3項)、愛知県も産業廃棄物処理施設の軽微変更等届出書は「変更後、遅延なく提出すること」としています(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q8)。
軽微変更以外にも届出が必要な事項
軽微変更等届出書は、軽微な変更のほか、次のような場合にも提出が必要です(廃棄物処理法第15条の2の6第3項で準用する第9条第3項、施行規則第12条の10、第12条の10の2)。
- 設置者の氏名または名称、住所、法人の代表者の氏名の変更
- 焼却施設の焼却灰等の処分方法、油水分離施設・中和施設・シアン分解施設の汚泥等の処分方法、廃水銀等の硫化施設や石綿溶融施設から生ずる廃棄物の処分方法の変更
- 最終処分場の埋立処分の計画、災害防止のための計画の変更
- 産業廃棄物の搬入・搬出の時間及び方法に関する事項の変更
- 着工予定年月日、使用開始予定年月日の変更
- 設置者の法定代理人、役員、5%以上の株主・出資者、政令使用人の変更
- 施設を廃止・休止したとき、休止した施設を再開したとき
役員等の変更の場合は、新たな役員等の住民票の写しや欠格要件の審査書類を添付します(施行規則第12条の10の2第2項第4号)。設置計画や維持管理計画に変更があった場合は、変更後の計画を記載した書類や設計計算書を添付します(同項第2号・第3号)。
届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です(廃棄物処理法第30条第2号)。
最終処分場の埋立終了
最終処分場の埋立処分が終了したときは、終了した日から30日以内に届け出る必要があります(廃棄物処理法第15条の2の6第3項で準用する第9条第4項、施行規則第12条の11)。
判断に迷う場合は事前相談を
変更許可が必要な内容を、軽微な変更の届出のみで済ませてしまうと、無許可での施設変更として法令違反になるおそれがあります。逆に、軽微な変更に該当するにもかかわらず変更許可の手続きを行うと、不要な時間とコストがかかってしまいます。施設の変更を検討する際は、事前に管轄行政庁や専門家に相談し、必要な手続きを見極めることが望ましいでしょう。
判断の際は、次の順序で確認すると整理しやすくなります。
- 変更は処理する廃棄物の種類・処理能力・設置計画・維持管理計画のいずれかに関わるか
- 処理能力は10%以上増えるか
- 位置・処理方式の変更を伴うか
- 施設の種類ごとの主要設備(破砕機、燃焼室、脱水機など)の変更か
- 設計計算上の排ガス・放流水の数値が悪化するか、排ガス・排水の方法や量が増えるか
- 維持管理計画の変更は、改善方向(数値の改善・測定頻度の増加)のみか
いずれかに当たれば変更許可、いずれにも当たらなければ軽微な変更として事後の届出、というのが基本的な考え方です。
処理業の許可(品目・処理方法の変更)との違いにも注意
「施設」の軽微な変更・変更許可と、「処理業(収集運搬業・処分業)」としての事業範囲の変更許可・変更届出は、それぞれ別の手続きとして整理されています。たとえば、取り扱う産業廃棄物の品目を追加する場合や、処分方法を追加する場合は、処理業としての「変更許可申請」の対象となる一方、氏名・住所・役員などの変更は処理業の「変更届出」の対象です(愛知県「手続きQ&A」Q20)。処理施設そのものの構造・規模の変更(軽微な変更を除く)は、施設設置許可の変更許可として扱われます。
処分業者の場合は、施設の変更が処分業の許可にも影響する点に注意が必要です。処分業者の事業の用に供する施設、その設置場所、構造または規模の変更は、処分業の変更届出の対象とされています(廃棄物処理法施行規則第10条の10第1項第4号、愛知県「手続きQ&A」Q20)。したがって、処理施設の変更を行う処分業者は、「施設の変更許可または軽微変更届」と「処分業の変更届(場合によっては事業範囲の変更許可)」の両方の手続が必要になることがあります。どの手続きに該当するかを混同しないよう、変更内容ごとに区分して整理しておくことをおすすめします(事業範囲の変更許可については別記事で解説しています)。
まとめ
産業廃棄物処理施設の変更には、許可が必要なものと、届出で足りる「軽微な変更」があります。ポイントを整理すると次のとおりです。
- 処理能力10%以上の増大、位置・処理方式の変更、主要設備の変更、排ガス・排水の増大、維持管理計画の変更(改善方向を除く)は変更許可が必要
- 上記に当たらない変更は軽微な変更として、変更後遅滞なく届出
- 氏名・役員等の変更、搬入搬出時間の変更、廃止・休止・再開なども届出の対象
- 変更許可では生活環境影響調査、縦覧対象施設では縦覧等、変更後の使用前検査が必要
- 無許可での変更は5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、届出違反は30万円以下の罰金
変更内容がどちらに該当するかを正しく見極め、必要な手続きを漏れなく行いましょう。処理業としての事業範囲変更の手続きと混同しないよう、あわせて整理しておくことが実務上のポイントです。
出典:
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第9条、第15条、第15条の2、第15条の2の6、第25条、第30条)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第10条の10、第11条、第12条の8〜第12条の11)
- 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
- 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」
