産業廃棄物処理業の許可は、一度取得すれば永続するものではなく、有効期間が定められた更新制の許可です。有効期間が切れる前に更新の手続きを行わなければ、許可は失効してしまいます。本記事では、許可の有効期間と更新手続きの基本を整理します。
廃棄物処理法は、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可について、「五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めています(廃棄物処理法第14条第2項・第7項)。特別管理産業廃棄物の収集運搬業・処分業も同様です(同法第14条の4第2項・第7項)。
許可の有効期間は原則5年
廃棄物処理法施行令では、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可の有効期間は原則として5年と定められています。具体的には、次のように区分されています(廃棄物処理法施行令第6条の9、第6条の11)。
| 区分 | 有効期間 |
|---|---|
| 新たに許可を受けた者 | 5年 |
| 更新を受けた者のうち、優れた能力及び実績を有する者の基準に適合すると認められたもの(優良産廃処理業者) | 7年 |
| 上記以外の更新を受けた者 | 5年 |
特別管理産業廃棄物の収集運搬業・処分業についても同じ区分です(施行令第6条の13、第6条の14)。有効期間の満了までに更新の申請を行い、許可を受けなければ、期間満了とともに許可の効力は失われます。更新の際は、新規申請時とほぼ同様に、施設基準・能力基準・欠格要件などが改めて審査されます。
審査中に有効期限を迎えた場合
更新の申請をしたにもかかわらず、有効期間の満了日までに許可・不許可の処分がされない場合は、従前の許可は、有効期間の満了後も処分がされるまでの間は効力を有します(廃棄物処理法第14条第3項・第8項)。期限ギリギリの申請でも、期間内に申請さえしていれば無許可状態にはならないということです。
この場合、更新後の許可の有効期間は、実際に更新の許可がされた日からではなく、従前の許可の有効期間の満了日の翌日から起算されます(同条第4項・第9項)。許可証には、「許可の年月日」として実際に更新の許可を行った日が、「許可の有効年月日」として従前の有効期限の翌日から起算して5年以内の日が記載されます(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の11(5))。
更新審査中に欠格要件が判明した場合
上記のように有効期間満了後も許可の効力が継続している間に、更新申請者が欠格要件に該当することが明らかになった場合は、更新前の許可が取り消され、更新申請に対しては不許可処分が行われます(許可事務通知第1の5(1)、「行政処分の指針について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033028号)第2の5)。更新の時期は、役員の変更や過去の違反歴の有無をあらためて点検する機会と考えておくべきです。
許可番号(固有番号)は更新しても変わらない
許可番号は11桁で構成され、そのうち6〜11桁目は許可業者に付与される全国統一の「固有番号」です。一度付与した固有番号は、更新許可や変更許可を行った場合でも変更しないとされています(「産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033022号)別添3②)。ただし、許可が失効して全ての都道府県市で業が行われなくなると、その固有番号は失効し欠番となります(同③)。更新を失念して失効すると、許可番号も含めてゼロからのやり直しになります。
優良産廃処理業者は7年に延長
一定の基準を満たし「優良産廃処理業者」として認定された事業者については、許可の有効期間が7年に延長される特例が設けられています。これは、コンプライアンスの遵守状況や情報公開の状況などについて高い水準を満たしている業者を評価する制度で、更新の事務負担軽減にもつながります(優良認定制度の詳細は別記事で解説します)。
優良認定は「更新」の際に判断される仕組みで、施行令上も「法第十四条第二項の許可の更新を受けた者であつて、当該許可の更新に際し、従前の許可の有効期間において法第十四条の三の規定による命令を受けていないことその他の…基準に適合すると認められたもの」が7年とされています(施行令第6条の9第2号)。新規許可の段階でいきなり7年の許可を受けることはできません。
優良認定での更新を希望する場合は、優良基準に適合することを誓約する書面と、基準に適合することを証する書類を更新申請書に添付します(廃棄物処理法施行規則第9条の2第2項第15号)。有価証券報告書で財務書類に代える場合、通常は直前の事業年度分で足りますが、優良認定での更新の場合は直前の2事業年度分が必要です(同条第7項、許可事務通知第1の8)。
更新手続きの提出期間の目安
許可の更新申請は、有効期間満了の一定期間前から受け付けられるのが一般的です。実務上の運用例として、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)収集運搬業の更新許可申請は許可期限の3か月前から許可期限日まで、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)処分業の更新許可申請は許可期限の4か月前から許可期限日までとされている自治体もあります(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q7)。処分業の方が収集運搬業よりも早い段階から受付が始まる(審査に時間がかかる)傾向がある点は覚えておくとよいでしょう。
許可期限が切れてから申請した場合は、更新許可申請ではなく新規許可申請として扱われてしまいます(同Q7)。無許可の状態が生じてしまうと、その間は事業を継続できなくなるため、提出期間内に確実に申請を行うことが重要です。なお、行政庁側から更新期限に関する案内・通知が行われるとは限らないため(愛知県は「更新期限に関する通知等の案内は行っておりません」と明記しています(同Q7))、事業者自身で許可の有効期限を管理しておく必要があります。
更新申請の手数料(愛知県の例)
愛知県の更新許可申請手数料は次のとおりです(愛知県「手続きQ&A」Q9)。
| 許可の種類 | 更新許可申請 | (参考)新規許可申請 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業 | 73,000円 | 81,000円 |
| 産業廃棄物処分業 | 94,000円 | 100,000円 |
| 特別管理産業廃棄物収集運搬業 | 74,000円 | 81,000円 |
| 特別管理産業廃棄物処分業 | 95,000円 | 100,000円 |
更新時に省略できる書類・できない書類
更新申請では、事業計画の概要、施設の構造図等、施設の使用権原を証する書類について、内容に変更がない場合に限り添付を要しないとされています(施行規則第9条の2第9項)。一方で、財務書類、納税証明書、住民票の写し等の欠格要件関係書類は改めて提出が必要です。
住民票の写し等に代えて他の許可の許可証(先行許可証)を提出する方法もありますが、更新しようとしている許可そのものの許可証は、先行許可証として使うことができません(同条第8項括弧書き、許可事務通知第1の10(2)②)。
証明書類は申請日より3か月以内に取得したものである必要があるため(愛知県「手続きQ&A」Q12)、講習会の修了時期と書類の取得時期を合わせてスケジュールを組むことが大切です。
経理的基礎の特例(新型コロナウイルス感染症の影響)
愛知県の経理的基礎に関する審査基準では、許可の更新申請に限り、当面の間、通常の経理的基礎の基準のいずれにも該当しない者であっても、経営診断書を添付し、経営悪化の原因が新型コロナウイルス感染拡大の直接的・間接的な影響によること、及び今後5年以内に健全な経営の軌道に乗ることが証明できれば、経理的基礎を有するものとする特例が設けられています(愛知県「産業廃棄物収集運搬業(積替保管を除く。)の経理的基礎に関する審査基準」「同(積替保管を含む。)」「産業廃棄物処分業の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)第4)。
変更許可と更新許可を同時に申請する場合
更新の時期に品目追加などの変更許可も予定している場合、愛知県では、同日に変更許可申請と更新許可申請を行うときは、更新許可申請の内容は変更許可申請の内容を含まない内容で申請するよう求めています。手数料は更新許可申請・変更許可申請のそれぞれにかかります(愛知県「手続きQ&A」Q21)。
更新後の許可証の返納
更新の許可を受けて新たな許可証が交付される際は、従前の許可証は返納するものとされています(許可事務通知第1の13(1))。
更新時に必要となる講習会修了証
更新許可申請では、新規許可講習または更新許可講習の修了証の提出が必要です。有効な修了証は「許可の有効期限の翌日から起算して5年前の日(当日を含む)から許可の有効期限の日までの間」に修了したものとされ、直前の更新許可申請で使用した修了証は再度使うことができません(愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)2(2)イ(イ))。つまり、更新のたびに新たに講習を受講する必要があるという点は、スケジュール管理上、特に注意が必要です。万一、更新申請の時点で講習修了証が手元にない場合には、受講票(有効期限日までに修了する見込みのもの)と、修了できなかった場合に不許可処分を受けても不服を申し立てない旨の誓約書を提出することで、暫定的に申請を進められる運用もあります(愛知県「手続きQ&A」Q13-4)。この場合、修了証の写しを提出し、原本の確認を受けた後に許可証が交付されます(同)。
更新講習は、収集運搬業の場合「収運課程」、処分業の場合「処分課程」で、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物のいずれの更新許可申請・変更許可申請にも使える修了証が発行されます(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「各講習会の概要と受講料」)。講習会の申込みはWeb申込のみで、2026年度は3月24日から申込受付が始まっています(同センター「2026年度講習会の開催日程の公表について」)。受講対象者は、法人の代表者・業務を行う役員(監査役を除く)・政令使用人に限られる点も新規申請と同じです(愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」2(2)ア)。
変更届出・廃止届出の提出期限
許可の更新とあわせて押さえておきたいのが、変更届出・廃止届出の期限です。変更届出書は変更後10日以内(登記事項証明書の添付が必要な変更は30日以内)、廃止届出書は廃止後10日以内とされています(廃棄物処理法施行規則第10条の10第2項、愛知県「手続きQ&A」Q8)。氏名・名称、住所、役員、使用人、車両などの変更は「変更届出」の対象ですが、取り扱う品目の追加や処分方法の追加など、許可の内容そのものを変える場合は「変更許可申請」が必要になる点に注意しましょう(愛知県「手続きQ&A」Q20。事業範囲の変更許可については別記事で解説します)。
また、申請者や役員等が一定の欠格要件に該当するに至った場合は、該当するに至った日から2週間以内に届け出る義務があります(廃棄物処理法第14条の2第3項で準用する第7条の2第4項、施行規則第10条の10の3)。
まとめ
産業廃棄物処理業の許可は原則5年、優良認定業者は7年という有効期間があり、期間満了前に更新手続きを行う必要があります。押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 更新申請の受付開始時期は、収集運搬業が3か月前、処分業が4か月前が目安(愛知県の例)
- 期限内に申請していれば、審査中に期限を迎えても従前の許可は有効。期限後の申請は新規扱い
- 更新のたびに講習会の受講が必要で、直前の更新で使った修了証は使えない
- 優良認定による7年の許可は「更新」の際にのみ受けられ、財務書類も2事業年度分が必要
- 行政から更新の案内が来るとは限らないため、有効期限の管理は事業者自身で行う
出典:
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第14条、第14条の2、第14条の4)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第6条の9、第6条の11、第6条の13、第6条の14)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第9条の2、第10条の10、第10条の10の3)
- 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
- 行政処分の指針について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033028号)
- 産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033022号)
- 愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)
- 愛知県「産業廃棄物収集運搬業(積替保管を除く。)の経理的基礎に関する審査基準」「同(積替保管を含む。)」「産業廃棄物処分業の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)
- 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」
- 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「各講習会の概要と受講料」「2026年度講習会の開催日程の公表について」
