浄化槽の工事を行うための「浄化槽工事業者の登録」については、「【愛知県版】浄化槽工事業者登録の完全ガイド」で解説しました。

一方、浄化槽の保守点検を業として行う場合は、工事業者の登録とは別に、浄化槽保守点検業者の登録が必要です。浄化槽の工事から維持管理へ事業を広げたい事業者様に向けて、この記事では、愛知県の「浄化槽保守点検業者の登録に関する条例」「同条例施行規則」「愛知県浄化槽指導要領」(令和7年4月1日)に沿って、登録制度を解説します。


1. 工事業者の登録との違い

項目浄化槽工事業者の登録浄化槽保守点検業者の登録
対象となる業務浄化槽の設置などの工事浄化槽の保守点検
根拠浄化槽法浄化槽法第48条第1項に基づく愛知県条例
置くべき資格者(工事業者登録の記事をご参照ください)営業所ごとに浄化槽管理士
有効期間(同上)3年(優良事業者は5年)

浄化槽保守点検業者の登録に関する条例は、浄化槽法第48条第1項の規定に基づき、浄化槽保守点検業者の登録に関して必要な事項を定めたものです(条例第1条)。


2. 登録が必要な人と対象区域

2-1. 登録が必要な人

愛知県内で浄化槽の保守点検を行う事業(浄化槽保守点検業)を営もうとする者は、知事の登録を受けなければなりません(条例第2条第1項)。

2-2. 対象外の区域(5市)

ただし、次の5市の区域は、この条例の対象から除かれています(条例第2条第1項)。

  • 名古屋市
  • 豊橋市
  • 岡崎市
  • 一宮市
  • 豊田市

条例施行規則第1条では、これらの市にもそれぞれ浄化槽保守点検業者の登録に関する条例があることが示されています。これらの市で営業する場合は、各市の制度を確認する必要があります。

2-3. 無登録営業には罰則

登録を受けずに浄化槽保守点検業を営んだ者は、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処せられます(条例第17条第1号)。


3. 有効期間:3年または5年

登録の有効期間は、次の区分に応じて定められています(条例第2条第2項)。

区分有効期間
浄化槽保守点検業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者(優良事業者)5年
それ以外の者3年

有効期間が満了した後も引き続き営業する場合は、更新の登録を受けなければなりません(同条第3項)。更新の申請をしていれば、有効期間の満了日までに処分がなくても、処分があるまでは従前の登録が有効です(同条第4項)。

優良事業者の基準

優良事業者として5年の登録を受けるには、条例施行規則第1条で定める次の基準をすべて満たす必要があります。

  1. 5年以上引き続き県内で浄化槽保守点検業を営んでいること
  2. 過去5年間に、浄化槽法に基づく改善措置命令、登録・許可の取消しや事業停止命令、条例や5市の条例に基づく登録の取消しや事業停止命令を受けていないこと
  3. 氏名・名称、営業所、法人の設立年月日・資本金・役員、営業区域、業務内容をインターネットで公表していること
  4. 法人税、消費税、住民税、事業税、固定資産税など各種税金と、社会保険料・労働保険料を滞納していないこと
  5. 申請年度の前2年度のいずれかで、県内で知事が定める回数以上の保守点検を行い、水質検査や保守点検・清掃が必要な回数行われている浄化槽の割合が、知事が定める割合以上であること
  6. 営業所に置く浄化槽管理士が、過去5年間、県などが行う研修を2年を超えない期間ごとに受けていること

優良事業者として申請する場合は、今後5年間の事業計画の提出も求められます(愛知県浄化槽指導要領 第10)。


4. 登録の要件

4-1. 営業所と浄化槽管理士

浄化槽保守点検業者は、県内に営業所を設置し、営業所ごとに、次の要件をいずれも満たす浄化槽管理士を置かなければなりません(条例第9条第1項)。

  • その浄化槽保守点検業者の専属であること
  • その営業所の専任であること

4-2. 器具の備付け

営業所には、規則で定める器具を備えなければなりません(条例第9条第2項)。条例施行規則別表では、次の器具が定められています。

マンホールふたあけ用具、スカム厚測定器具、汚泥厚測定器具、パイプ及びスロット掃除器具、きよう雑物かき上げ用具、メスシリンダー、透視度計、温度計、水素イオン濃度指数測定器具、溶存酸素計、残留塩素測定器具、塩素イオン濃度測定器具、亜硝酸性窒素測定器具、テスター、水準器、グリースガン

登録後に、浄化槽管理士や器具の要件を満たさなくなった場合は、3週間以内に必要な措置をとらなければなりません(条例第9条第3項)。

4-3. 登録を拒否される場合

次のような場合は登録が拒否されます(条例第5条第1項)。

  • 浄化槽法や条例に違反して罰金以上の刑に処せられ、2年を経過しない者
  • 条例により登録を取り消され、2年を経過しない者(法人の場合、取消し前30日以内にその役員だった者を含む)
  • 事業の停止を命じられ、その期間が経過しない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 役員に上記のいずれかに該当する者がいる法人
  • 営業所や浄化槽管理士、器具の要件を欠く者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者 など

申請書などに重要な事項の虚偽記載や記載漏れがある場合も、登録が拒否されます。


5. 申請書類

登録の申請書には、次のような事項を記載します(条例第3条第1項)。

  • 氏名・名称、住所、法人の代表者の氏名
  • 営業所の名称・所在地
  • 法人の役員の氏名
  • 営業区域に係る市町村名
  • 営業所ごとの浄化槽管理士の氏名、免状の交付番号、担当区域
  • 営業区域の市町村ごとに、浄化槽の清掃について連絡をとる浄化槽清掃業者の氏名・名称と営業所の所在地

添付書類として、次のものが必要です(条例第3条第2項、規則第1条の2第2項)。

  • 登録の拒否事由に該当しないことを誓約する書類
  • 器具の明細書
  • 浄化槽管理士の免状の写し
  • 事業計画の概要を記載した書類(様式第二)
  • 営業所の平面図と付近の見取図
  • 法人:登記事項証明書と役員の住民票の写し/個人:住民票の写し
  • 浄化槽管理士の研修の計画の概要を記載した書類
  • 優良事業者として申請する場合は、基準への適合を誓約・証明する書類

提出部数は正本1部・副本1部で、主たる営業区域を管轄する東三河総局または県民事務所の長を経由して提出します(規則第13条)。


6. 登録後の主な義務

6-1. 保守点検の実施

  • 保守点検は、浄化槽管理士に行わせるか実地に監督させる(または資格を持つ業者自らが行う・監督する)(条例第10条第1項)
  • 浄化槽管理士には、資格を証する書類(浄化槽管理士免状またはその写し、日本環境整備教育センターが発行する浄化槽管理士証)を携帯させる(同条第2項、規則第7条)
  • 保守点検を行ったら、速やかに浄化槽の管理者に、点検結果、清掃すべき時期、水質検査を受けるべき時期などを書面で通知する(同条第3項)
  • 清掃時期を通知した場合、管理者が清掃を委託する清掃業者がいれば、その業者に通知した旨を連絡する(同条第4項)
  • 受託した保守点検を他人に再委託してはならない(管理者の承諾を得て、過去3年間の点検結果の写しを送付するなど、規則の基準に従う場合を除く)(同条第5項、規則第9条)

愛知県浄化槽指導要領 第4では、保守点検は環境省令や維持管理ガイドライン、各型式の維持管理要領書、保守点検チェック項目に基づいて実施し、保守点検記録票を作成すること、保守点検の契約をしたときは、業者名と契約年月(複数年契約なら期間)を記載した浄化槽保守点検契約済証をブロワー等に貼付することとしています。

6-2. 研修

浄化槽管理士に研修の機会を与えなければなりません(条例第9条の2)。指導要領 第8では、登録の有効期間ごとに1回以上、県内で開催される一般社団法人全国浄化槽団体連合会の研修システムを用いた研修や、県が認めた県内の浄化槽関係団体などの研修を受講させることとしています。

6-3. 標識の掲示

営業所の見やすい場所に、氏名・名称、登録番号、登録の年月日・有効期限、優良事業者の認定の有無などを記載した標識を掲げなければなりません(条例第11条、規則第10条)。

6-4. 帳簿の備付け

営業所に帳簿を備え、保守点検の年月日、浄化槽管理者の氏名・名称、設置場所・処理対象人員・処理方式、担当した浄化槽管理士の氏名、点検結果を記載し、各事業年度末に閉鎖後3年間、営業所ごとに保存しなければなりません(条例第12条、規則第11条)。電子データでの作成・保存も可能です。

6-5. 変更・廃業などの届出

  • 申請書の記載事項に変更があったときは、30日以内に届出(条例第6条)
  • 廃業・死亡・合併による消滅・破産・解散のときは、所定の者が30日以内に届出(条例第7条)

6-6. 市町村への報告

浄化槽保守点検業者は、営業区域を管轄する市町村長の求めに応じて、保守点検業務について報告することとされています(指導要領 第6第2項)。


7. 違反したときの処分

不正な手段での登録、拒否事由への該当、届出義務違反、浄化槽管理士によらない保守点検などがあった場合、知事は登録の取消し、または6か月以内の事業の全部・一部の停止を命ずることができます(条例第13条)。浄化槽管理士によらない保守点検、帳簿の不備、立入検査の拒否などには罰金の規定もあります(条例第18条)。


8. まとめ

  • 愛知県内(名古屋・豊橋・岡崎・一宮・豊田の5市を除く)で保守点検業を営むには、知事の登録が必要
  • 工事業者の登録とは別の制度
  • 営業所ごとに専属・専任の浄化槽管理士と、所定の器具が必要
  • 有効期間は3年、優良事業者の基準を満たせば5年
  • 登録後は、管理者への書面通知、標識、帳簿(3年保存)、研修などの義務がある

「浄化槽の保守点検に事業を広げたい」「工事業者の登録と保守点検業者の登録をまとめて相談したい」という事業者様は、お気軽に当事務所へご相談ください。

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