「新しく付き合う下請業者が、本当に建設業許可を持っているのか確認したい」「発注を検討している会社が、過去に処分を受けていないか知りたい」——取引先の確認は、元請にとっても発注者にとっても大切なリスク管理です。
この記事では、他社の建設業許可や行政処分歴を調べる方法を、愛知県のFAQや建設業法の規定に沿って解説します。
1. なぜ取引先の許可を確認する必要があるのか
建設業法では、次のような下請契約を結ぶと、発注した側の建設業者が指示処分の対象になります(建設業法第28条第1項)。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 第6号 | 許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を結んだとき(軽微な工事を超えるもの) |
| 第7号 | 特定建設業者以外の者と、下請代金の額が特定建設業の基準額以上となる下請契約を結んだとき |
| 第8号 | 情を知って、営業停止中・営業禁止中の者と、その範囲の下請契約を結んだとき |
また、国土交通省の通知「下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について」(令和7年12月16日)では、社会保険加入が許可要件であることを踏まえ、元請は下請を選ぶ際、建設業許可を適切に取得していることを確認するよう求めています。
2. 調べる方法の使い分け
| 知りたいこと | 方法 |
|---|---|
| 許可の有無・業種・有効期限など | 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」 |
| 許可申請書や変更届などの提出書類の内容 | 許可行政庁の閲覧制度 |
| 行政処分を受けていないか | 国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」、建設業者監督処分簿の閲覧 |
3. 企業情報検索システムで許可を確認する
愛知県の「建設業許可に関するよくある質問と回答」(令和8年4月1日版)A1-16では、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、次のような建設業許可情報を常時、確認・出力できると案内しています。
- 許可番号
- 商号または名称
- 代表者氏名
- 所在地
- 許可の有効期限
- 許可を受けた建設業の種類 など
特に「許可を受けた建設業の種類」は重要です。許可を持っていても、発注しようとする工事の業種の許可がなければ意味がありません。また、下請代金が大きい場合は、一般か特定かも確認しましょう。
4. 閲覧制度で提出書類を確認する
4-1. 閲覧できる書類
建設業法第13条では、国土交通大臣または都道府県知事は、次の書類などを公衆の閲覧に供する閲覧所を設けなければならないとしています。
- 許可申請書
- 許可申請書の添付書類の一部
- 変更届出書
- 毎事業年度終了後に提出する書類の一部
大臣許可業者の書類は国土交通大臣の閲覧所で、知事許可業者の書類はその都道府県知事の閲覧所で閲覧できます(建設業法施行令第5条)。
4-2. 愛知県の場合
愛知県のFAQ A7-1では、閲覧場所や受付時間、閲覧できる書類は、愛知県Webページの「閲覧制度について」を確認するよう案内しています。また、デジタルカメラなどで許可申請書などを撮影することはできないとされています。
5. 行政処分歴を確認する
5-1. ネガティブ情報等検索サイト
愛知県のFAQ A7-2では、建設業法に基づく行政処分は、国土交通省Webページの「ネガティブ情報等検索サイト」で確認できると案内しています。
5-2. 建設業者監督処分簿
国土交通省と都道府県には建設業者監督処分簿が備えられ、指示処分や営業停止処分を受けた建設業者について、処分の年月日や内容が登載されます。監督処分簿は公衆の閲覧に供されます(建設業法第29条の5第2項〜第4項)。
また、営業停止処分や許可取消処分は公告されます(同条第1項)。
6. 自社の許可を証明したいときは
逆に、自社が取引先から「許可を受けていることを証明してほしい」と言われることもあるでしょう。
愛知県のFAQ A1-16では、許可通知書の再発行はできないが、愛知県知事許可業者については、本人からの申請により許可証明書を発行していると案内しています。
- 手数料:証明書1通につき400円
- 窓口:主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所等
- 本人確認:許可通知書・許可申請書副本・届出書副本のいずれかの原本を提示(提示できない場合は名刺・社員証、登記事項証明書と役員の運転免許証などで確認)
- 行政書士が提出する場合は、委任状の添付と、様式への記名・職印の押印が必要
7. 無許可業者の疑いがある場合
「建設業法の各基本事項や法令違反に関するよくあるご質問」No.29では、無許可業者が工事を請け負っている場合の扱いを次のように説明しています。
- 500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の工事の場合は、建設業法違反のおそれがある。許可を持たない業者の違反の疑いは、その業者の所在地を管轄する都道府県が対応するため、その都道府県に通報する
- 500万円(建築一式工事は1,500万円)未満の軽微な工事のみの場合は、許可は不要
許可が不要な軽微な工事の範囲は「【建設業者向け】建設業許可が不要な「軽微な工事」とは?」で解説しています。
8. まとめ
- 無許可業者や営業停止中の業者と下請契約を結ぶと、発注した側も指示処分の対象になり得る
- 許可の有無・業種・有効期限は、国土交通省の企業情報検索システムで確認できる
- 許可申請書や変更届などは、許可行政庁の閲覧制度で確認できる(愛知県では撮影不可)
- 行政処分歴は、ネガティブ情報等検索サイトや監督処分簿で確認できる
「取引先の確認ルールを社内で作りたい」「自社の許可証明書を取りたい」という事業者様は、お気軽に当事務所へご相談ください。