営業所技術者等(旧専任技術者)が退職したときに「2週間以内に届出が必要」であることは、「【令和7年最新・愛知県版】建設業許可の「専任技術者」が「営業所技術者等」に?法改正と実務の注意点を行政書士が解説」で解説しました。

この記事では、その続きとして、実際にどの様式・どの区分で届け出るのかを、愛知県の「建設業法による変更届等の手引(変更届出書編)」(令和8年4月)とFAQに沿って、ケース別に整理します。


1. 届出の期限と根拠

ケース期限根拠
営業所技術者等が置かれなくなり、代わりの者がいるとき2週間以内に、代わりの者について営業所技術者等証明書を提出建設業法第11条第4項
営業所技術者等の基準を満たさなくなったとき(代わりの者がいないなど)2週間以内に、その旨を書面で届出同条第5項

愛知県のFAQ A4-6でも、経営業務の管理責任者や営業所技術者等を変更したときは、変更の事由が発生してから14日以内に届出が必要としています。


2. 届出の区分の使い分け

愛知県の手引では、営業所技術者等の変更・追加・削除を、次のように区分しています。区分ごとに1枚ずつ作成します。

区分様式該当するケース
区分2営業所技術者等証明書(様式第八号)同じ営業所内で担当業種や有資格区分が変わる場合。営業所を移動して担当業種などが変わる場合も含む
区分3同上新たに営業所技術者等になった人。氏名が変わった人(変更後の氏名)
区分4同上営業所技術者等の交代に伴って削除される人。氏名が変わった人(変更前の氏名)
区分5同上担当業種・有資格区分は変わらず、置かれる営業所だけが変わる人
−届出書(様式第二十二号の三)交代者がいない削除。欠格要件に該当した場合など

注意点

  • 区分4では、その業種に後任の人がいなければならないとされています
  • 営業所を廃止し、その営業所の営業所技術者等が他の営業所の営業所技術者等にならない場合は、様式第八号ではなく届出書(様式第二十二号の三)で削除します
  • 営業所の一部業種の廃業に伴い、その営業所の営業所技術者等として残るが担当業種などが変わる場合は区分2
  • 営業所の一部業種の廃業に伴い、営業所技術者等を交代する場合は、届出書(様式第二十二号の三)で削除します

3. ケース別の届出

ケース1:Aさんが退職し、Bさんが後任になる

  • Bさん:営業所技術者等証明書(様式第八号)区分3(追加)
  • Aさん:営業所技術者等証明書(様式第八号)区分4(交代に伴う削除)

※担当業種が変わる場合などは、変更届出書(様式第二十二号の二)の添付が必要になることがあります。手引の「変更届出等添付・提示書類一覧」で、区分ごとの添付書類を確認してください。

ケース2:Aさんの担当業種を増やす・減らす(同じ営業所)

  • Aさん:営業所技術者等証明書(様式第八号)区分2

愛知県のFAQ A4-8では、1つの資格で複数業種の営業所技術者等になっている人が、担当する業種を減らす届出をする場合、資格証の写しの再添付は不要としています。ただし、営業所技術者等をやめた人が再び営業所技術者等になる場合は、前回と同じ資格でも資格証の写しが必要です。

ケース3:Aさんが本店から支店に異動する(担当は変わらない)

  • Aさん:営業所技術者等証明書(様式第八号)区分5

ケース4:Aさんが退職したが、後任がいない

後任がいない場合は、届出書(様式第二十二号の三)で営業所技術者等を削除する届出をします。そのうえで、その業種について営業所技術者等を置けないのであれば、その業種の一部廃業を検討することになります。

手引では、従たる営業所がない場合で、大工と内装を担当している営業所技術者Aを削除し、大工を担当する営業所技術者Bを追加し、内装を廃業する事例として、次の書類を挙げています。

  • Aを削除する届出書(様式第二十二号の三)
  • Bを追加する営業所技術者等証明書(様式第八号)
  • 内装を一部廃業する廃業届(様式第二十二号の四)
  • 業種廃止と営業所技術者等の変更の変更届出書(様式第二十二号の二 第一面・第二面)

一部廃業については「【愛知県版】建設業の廃業届」の記事で詳しく解説しています。


4. 常勤性の確認資料

区分2・3・5では、常勤性の確認書類が必要です。愛知県の手引では、次の①から順に確認し、最初にあてはまった資料を持参するよう案内しています(届出時直近のもの)。

  1. 健康保険・厚生年金保険標準報酬額決定通知書の写し、または厚生年金保険70歳以上被用者該当および標準報酬月額相当額のお知らせの写し
  2. 住民税特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)の写し(マイナンバー部分は隠す)
  3. 所得証明書(市区町村発行)+対応する年の源泉徴収票の写し
  4. 雇用保険被保険者証の写し+雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し(被保険者区分「1」のものに限る。「11」(高年齢被保険者)の場合は勤務状態を確認できる資料が必要)

健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定一覧表は、公的な資料ではないため、常勤性の確認資料として使用できません(令和8年4月版の手引で追記。「令和8年4月版建設業許可申請の手引等の主な変更点」)。

出向者の場合や、住所(居所)が営業所から著しく遠い場合などは、追加で確認資料を求められることがあります。住所と居所が異なる場合は、居所について本人宛ての公共料金の請求書などの写しが必要です。

常勤性の考え方は「【2026年最新】建設業許可の「常勤性」とは?」で詳しく解説しています。


5. 資格の確認資料

新たに営業所技術者等になる人については、資格や実務経験を確認する書類(資格者証などの写し、卒業証明書、実務経験証明書など)が必要です。

愛知県のFAQでは、次のような取扱いが示されています。

  • 資格免状の原本の提示は不要で、写しを提出する。既に写しを提出済みの人は省略できる(A3-9)
  • 監理技術者資格者証の有効期限が切れていても、資格や実務経験は認められる(A3-10)
  • 技術検定の合格後、合格証明書の交付までの間は、合格後6か月までは試験実施機関が発行する合格通知書で確認できる(A3-11。建設業法の技術検定の資格のみ)

6. 役員の退任と同時に営業所技術者等が変わる場合

愛知県のFAQ A4-4では、退任した役員が営業所技術者等で、同時に非常勤になったり退社したりした場合は、営業所技術者等も変更する必要があるため、営業所技術者等証明書(様式第八号)もあわせて提出するよう案内しています。

手引でも、役員等の退任や常勤から非常勤への変更の際、その人が営業所技術者等であった場合はその変更届も必要とし、不在の期間が発生すると許可が取り消されると注意を促しています。

役員変更の手続きは「【愛知県版】建設業許可の役員変更手続き完全ガイド」をご覧ください。


7. 届出を忘れていた場合

愛知県のFAQ A4-7では、営業所技術者等を変更したのに変更届を出していなかった場合、更新申請に現在の状況を記載しても変更届の提出を省略することはできないとしています。更新は「既に受けている許可を、そのままの内容で申請する」扱いのため、更新申請の前に変更届を提出しておく必要があります。


8. まとめ

  • 営業所技術者等の変更は、2週間(14日)以内に届け出る
  • 追加は区分3、交代に伴う削除は区分4、担当業種の変更は区分2、営業所だけの変更は区分5
  • 交代者がいない削除は、届出書(様式第二十二号の三)
  • 後任がいない業種は、一部廃業の検討が必要
  • 常勤性の確認資料は優先順位があり、標準報酬決定一覧表は使えない

営業所技術者等の退職は、許可の維持に直結します。「後任をどう確保すればよいか」「届出の組み合わせが分からない」という事業者様は、お早めに当事務所へご相談ください。

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