「事務所を移転したけど、建設業許可の手続きは必要?」「支店を出すことになった。何を準備すればいい?」——許可を取った後の営業所の変更は、多くの建設業者が経験する場面です。
許可を取るときの営業所の要件については、「建設業許可の「営業所」要件とは?写真の撮り方と必要設備を解説」で解説しました。この記事では、許可を取った後に営業所が変わったときの届出を、愛知県の「建設業法による変更届等の手引(変更届出書編)」(令和8年4月)に沿って解説します。
1. 届出の期限
建設業法第11条第1項では、許可申請書の記載事項(営業所の名称・所在地などを含む)に変更があったときは、30日以内に変更届出書を提出しなければならないと定めています。
愛知県の手引の「許可を受けたあとの届出等一覧」でも、次の届出は事実発生後30日以内とされています。
- 既存の営業所の名称、所在地または業種の変更
- 営業所の新設、廃止
ただし、営業所の新設・廃止などに伴う営業所技術者等の届出は、事実発生後2週間以内です。期限が異なるので注意しましょう。
2. 営業所の所在地を変更(移転)したとき
2-1. 必要書類
- 変更届出書(第一面)(様式第二十二号の二)
- 営業所の写真(直近3か月以内に撮影したもの。住居表示のみの変更の場合は不要)
さらに、次の書類が必要です。
| 移転する営業所 | 追加で必要な書類 |
|---|---|
| 法人の「主たる営業所」が登記上の本店所在地と同じ場合 | 変更日の記載された登記事項証明書(履歴事項全部証明書) |
| 個人事業主の「主たる営業所」が住民票の住所と同じ場合 | なし(住民基本台帳ネットワークシステムで確認。外国人住民の方は住民票の提示が必要) |
| 「従たる営業所(支店など)」の場合 | 上記に加え、変更届出書(第二面) |
2-2. 所在地の書き方
変更届出書には、市区町村に続く町名・街区以下を記入し、マンション名などがある場合はマスを空けずに続けて記載します。「棟」や「号室」なども省略せずに記載します。
令和8年4月版の手引では、営業所の所在地の変更について、変更後の所在地に建物名と部屋名を記載するよう追記されています(「令和8年4月版建設業許可申請の手引等の主な変更点」)。
2-3. 管轄が変わる場合の提出先
主たる営業所の移転に伴って管轄の窓口が変わる場合は、変更届出書は移転する前の管轄の窓口へ提出します。
2-4. 県外への移転や県外への営業所設置
愛知県知事許可の業者が、他の都道府県に営業所を移したり、他の都道府県にも営業所を設けたりする場合は、許可行政庁が変わるため、変更届ではなく許可換えの手続きが必要になります(建設業法第9条)。詳しくは「【愛知県】許可換え新規申請とは?」をご覧ください。
3. 営業所を新設したとき
3-1. 新設には「人」の手当てが必要
愛知県のFAQ Q4-9では、営業所を新設したときは、その営業所の令第3条の使用人を定めるとともに、営業所技術者等を置く必要があるとしています。
3-2. 必要書類
手引では、営業所の新設について次の書類を挙げています。
- 変更届出書(第一面・第二面)
- 誓約書(様式第六号)
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第十一号)
- 新たに置かれる令第3条使用人の住所、生年月日等に関する調書(様式第十三号)
- 新たに置かれる令第3条使用人の後見等登記事項証明書(発行から3か月以内)
- 新たに置かれる令第3条使用人の身元(身分)証明書(発行から3か月以内。外国人住民の方は、これに代えて住民票を持参(原本提示))
- 新たに置かれる営業所技術者等の営業所技術者等証明書(様式第八号 区分「3」)
- 健康保険等の加入状況(様式第七号の三)
- 営業所の写真(直近3か月以内に撮影したもの)
令第3条使用人については「【愛知県版】建設業許可の「令3条使用人」とは?」をご覧ください。
3-3. 健康保険等の加入状況も2週間以内に
手引では、健康保険等の加入状況(様式第七号の三)について、保険加入の有無に変更があった場合や、新たに営業所を追加した場合は、変更の事実発生後2週間以内に届け出ることとしています。
4. 営業所を廃止したとき
手引では、営業所の廃止について次の書類を挙げています。
- 変更届出書(第二面)
- 営業所技術者等証明書(様式第八号 区分「5」)または届出書(様式第二十二号の三)
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第十一号)
廃止する営業所の営業所技術者等が、自社の他の営業所の営業所技術者等になる場合で担当業種などに変更がなければ「区分5」、他の営業所の営業所技術者等にならない場合は届出書(様式第二十二号の三)で削除の届出をします。
5. 営業所の業種を変更したとき
すでに許可を受けている業種の範囲で、営業所で営業する業種を変更する場合は、変更届出書(第二面)を提出します。あわせて、別受付で営業所技術者等の変更(追加)届または届出書が必要になります。
許可を受けていない業種を追加する場合は、変更届ではなく業種追加の申請が必要です。詳しくは「建設業許可の「業種追加」とは?」をご覧ください。
6. 営業所の写真の撮り方
手引では、営業所の写真として、直近3か月以内に撮影した次のものを求めています。
- 営業所の外観(建物の全景が分かるもの)。ビル内などの場合は、建物入口部分、テナント表示(ない場合は商号が判読できる集合郵便受け)も別途必要
- 営業所の名称が確認できる入口付近
- 営業所の内部(建設業で使う事務用品や電話などを含む事務スペースの様子が分かるもの)
- 建設業法第40条に規定する標識(掲示状況と記載内容が分かるもの)
写真には撮影日を印字するか、台紙などに撮影日を記載し、台紙などに建物の権利関係(自己所有、賃貸借など)も記載します。
なお、愛知県のFAQ Q3-12では、営業所の確認資料は、新規申請、許可換え新規申請、営業所の所在地変更、営業所の新設など、営業所の新設や変更を伴う場合に必要としています。標識については「建設業許可票(標識)の掲示義務」の記事をご覧ください。
7. 電話番号の変更は?
愛知県のFAQ Q4-10では、電話番号の変更は変更届出事由ではないものの、連絡先は正しく登録されることが望ましいため、様式第二十二号の二に変更内容を記載して管轄の窓口に提出するよう案内しています。
8. まとめ
| 変更内容 | 期限 | 主な書類 |
|---|---|---|
| 営業所の移転 | 30日以内 | 変更届出書、営業所の写真、(主たる営業所が登記上の本店と同じなら)登記事項証明書 |
| 営業所の新設 | 30日以内(営業所技術者等・保険は2週間以内) | 変更届出書、令3条使用人の書類、営業所技術者等証明書、保険加入状況、写真 |
| 営業所の廃止 | 30日以内(営業所技術者等は2週間以内) | 変更届出書(第二面)、営業所技術者等の届出、使用人一覧表 |
| 営業所の業種変更 | 30日以内(営業所技術者等は2週間以内) | 変更届出書(第二面)、営業所技術者等の届出 |
営業所の変更は、令3条使用人や営業所技術者等の届出とセットになることが多く、期限も異なります。「移転に伴う手続きをまとめて任せたい」「支店の新設を検討している」という事業者様は、お気軽に当事務所へご相談ください。