優良産廃処理業者認定を受けるためには、廃棄物処理法施行規則で定められた具体的な基準をクリアする必要があります。本記事では、認定基準の主な内容と、申請時に必要となる証明書類を項目ごとに整理します。
基準は、収集運搬業については廃棄物処理法施行規則第9条の3、処分業については同第10条の4の2に定められており、次の9項目で構成されています(特別管理産業廃棄物の収集運搬業・処分業も同様の構成です(同第10条の12の2、第10条の16の2))。
| 号 | 基準の内容 | 観点 |
|---|---|---|
| 1号 | 従前の許可期間等において特定不利益処分を受けていないこと | 遵法性 |
| 2号 | 所定の情報をインターネットで公表し、定期的に更新していること | 事業の透明性 |
| 3号 | ISO14001またはエコアクション21等の認証を受けていること | 環境配慮 |
| 4号 | 情報処理センター(電子マニフェスト)に接続していること | 電子マニフェスト |
| 5号 | 直前3年の各事業年度の自己資本比率が0以上であること(法人) | 財務体質 |
| 6号 | 自己資本比率10%以上の年度がある、または前事業年度の営業利益+減価償却費が0超であること(法人) | 財務体質 |
| 7号 | 直前3年の経常利益+減価償却費の平均が0超であること(法人) | 財務体質 |
| 8号 | 法人税等・社会保険料・労働保険料を滞納していないこと | 財務体質 |
| 9号 | 特定廃棄物最終処分場の維持管理積立金を積み立てていること | 財務体質 |
以下、観点ごとに詳しく見ていきます。
情報公開に関する基準
優良認定の大きな柱のひとつが「情報公開」です。事業の実績に関する事項、事業場の状況、財務諸表の状況などを、インターネットを利用して公表していることが求められます。排出事業者が処理業者を選定する際に必要な情報を、事前に確認できる状態にしておくことが前提となっているのが特徴です。自社ホームページ等での公表体制が整っていない場合は、優良認定を目指す段階で新たに整備が必要になることもあります。
公表期間:申請前6か月間の継続公表が必要
情報は、許可の更新申請の日前6か月間(既に優良認定を受けている場合は、従前の許可を受けた日から申請の日までの間)、インターネットで公表し、かつ所定の頻度で更新している必要があります(施行規則第9条の3第2号)。つまり、更新申請の直前に公表を始めても基準を満たしません。
収集運搬業者が公表すべき事項と更新頻度(施行規則第9条の3第2号)
| 公表事項 | 更新すべき場合 |
|---|---|
| 法人の名称、事務所・事業場の所在地、設立年月日、資本金、代表者・役員・政令使用人の氏名と就任年月日、事業の内容(名称・資本金・事業内容は変更履歴も含む) | 変更の都度(代表者等の氏名等は1年に1回以上) |
| 個人の場合は氏名、住所、事業の内容 | 変更の都度 |
| 事業計画の概要 | 変更の都度 |
| 許可証の写し(他の許可を含む) | 変更の都度 |
| 運搬施設の種類・数量、運搬車の低公害車の導入状況、積替え・保管の場所ごとの所在地・面積・品目・保管上限 | 変更の都度(運搬施設・低公害車は1年に1回以上) |
| 直前3年間の各月の、産業廃棄物の種類ごとの受入量、種類ごと・運搬方法ごとの運搬量 | 1年に1回以上 |
| 法人の場合、直前3年の各事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表 | 少なくとも定時株主総会で承認・報告された都度 |
| 運搬を委託する事業者に対して料金を提示する方法 | 変更の都度 |
| 業務を所掌する組織及び人員配置 | 変更の都度(人員配置は1年に1回以上) |
| 利害関係者に対する事業場の公開の有無と頻度 | 変更の都度 |
処分業者はさらに公表事項が多い(施行規則第10条の4の2第2号)
処分業者の場合は、上記に相当する事項に加えて、次のような処理の実態に関する情報の公表が求められます。
- 処理施設ごとの設置場所、設置年月日、種類、処理する産業廃棄物の種類、処理能力、処理方式、構造・設備の概要、設置許可証の写し
- 事業場ごとの処理工程図
- 直前1年間に受け入れた産業廃棄物の最終処分までの一連の処理の行程(種類ごとの受入量、処分方法ごとの処分量、保管量、処分後の産業廃棄物の持出先ごとの持出量と持出先での処分方法、再生品の持出先ごとの持出量と利用方法)
- 直前3年間の各月の受入量・処分量・処分後の持出先ごとの処分量
- 直前3年間の処理施設の維持管理の状況に関する情報(施設の種類に応じた事項)
- 焼却施設ごとの熱回収により得られた熱量(電気に変換した場合はその電気の量)
- 処分後の産業廃棄物の持出先の氏名・名称及び住所を、委託しようとする者に開示することの可否
処分業者は、受け入れた廃棄物が最終処分までどう流れたかを示す必要があるため、日常の受入・処分・持出しの記録管理がそのまま公表の基礎になります。
事業の実施状況(コンプライアンス)に関する基準
過去一定期間、廃棄物処理法に基づく事業停止処分や措置命令等を受けていないことなど、法令遵守の実績が求められます。行政処分歴の有無は、優良認定の可否に直結する重要な要素です。行政処分の指針が示す「おそれ条項」の考え方とも関連するため、過去に指導・処分を受けたことがある事業者は、その内容が認定に影響しないかを事前に確認しておく必要があります。
「特定不利益処分」を受けていないこと
具体的には、従前の許可の有効期間、またはその有効期間を含む連続する5年間(許可を受けている期間に限る)のいずれか長い期間において、「特定不利益処分」を受けていないことが求められます(施行規則第9条の3第1号)。特定不利益処分とは、次のものをいいます。
- 事業停止命令(廃棄物処理法第7条の3、第14条の3)
- 処理施設の改善命令・使用停止命令(同法第9条の2、第15条の2の7)
- 改善命令(同法第19条の3)
- 措置命令(同法第19条の4第1項、第19条の4の2第1項、第19条の5第1項、第19条の6第1項、これらの準用規定を含む)
- 処理施設の設置許可の取消し(同法第9条の2の2、第15条の3)
- 再生利用認定、広域認定、無害化認定、二以上の事業者による処理の特例の認定の取消し(同法第9条の8第9項、第9条の9第10項、第9条の10第7項、第12条の7第10項等)
行政指導(指導文書・勧告など)は、ここでいう特定不利益処分には含まれていませんが、繰り返し累積すると「おそれ条項」による欠格要件の判断に影響し得る点には注意が必要です(「行政処分の指針について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033028号)第2の2(4)③)。
財務体質の健全性に関する基準
自己資本比率が一定水準以上であることなど、財務諸表に基づく健全性の基準が定められています。法人の場合、次のすべてを満たす必要があります(施行規則第9条の3第5号〜第7号)。
- 5号:直前3年の各事業年度における自己資本比率(純資産÷(純資産+負債))が0以上であること。つまり、3期のうち1期でも債務超過があると満たしません
- 6号:次のいずれかに該当すること
- 直前3年のいずれかの事業年度の自己資本比率が10%以上
- 前事業年度の「営業利益金額等」(営業利益+減価償却費)が0を超える
- 7号:直前3年の各事業年度における「経常利益金額等」(経常利益+減価償却費)の平均額が0を超えること
通常の許可の経理的基礎の審査基準では、例えば「直前事業年度において債務超過でない」ことだけでも基本要件を満たし得ますが(愛知県「産業廃棄物収集運搬業(積替保管を除く。)の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)第1の1)、優良基準は「3期連続で債務超過なし」かつ「3期平均で黒字(減価償却前)」を求めるなど、より厳しい水準になっています。なお、国の通知は、優良産廃処理業者は通常の経理的基礎と優良基準の財務体質の双方を満たしている必要があるとしています(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の4(6)⑨)。
税金・社会保険料・労働保険料の滞納がないこと
あわせて、法人税等を滞納していないことも要件とされています(施行規則第9条の3第8号)。ここでいう「法人税等」には、次のものが含まれます。
- 法人税、消費税、地方消費税
- 住民税(道府県民税、市町村民税、都民税、特別区民税)、事業税
- 不動産取得税、固定資産税、事業所税、都市計画税
- 社会保険料(所得税法第74条第2項に規定するもの)
- 労働保険料(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第10条第2項に規定するもの)
申請時にはそれぞれの未納のないことの証明書(原本またはコピー、コピーの場合は原本照合が必要)を添付します。これらの証明書は、申請日より3か月以内に取得したものであることが求められるのが一般的な運用です(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q11、Q12)。安定的に事業を継続できる財務基盤を有しているかどうかが確認されるイメージです。
最終処分場の維持管理積立金
事業の用に供する特定廃棄物最終処分場がある場合は、積み立てるべき維持管理積立金の積立てをしていることも要件です(施行規則第9条の3第9号、第10条の4の2第9号)。
環境配慮の取組に関する基準
ISO14001(環境マネジメントシステム)や、エコアクション21、あるいはエコアクション21と相互認証されている地域版EMS(一般財団法人持続性推進機構が発行する相互認証確認書が必要)のような環境配慮に関する認証を取得していることが、環境配慮の取組状況を示す基準のひとつとして位置づけられています。条文上は、「国際標準化機構が定めた規格第一四〇〇一号に適合している旨の認証」または「一般財団法人持続性推進機構による認証」を受けていることとされています(施行規則第9条の3第3号)。こうした第三者認証の有無が、審査における客観的な判断材料となります。申請時には、登録証・認定書のコピーを提出し、申請時に原本と照合するのが一般的な取り扱いです(愛知県「手続きQ&A」Q11)。
認証の取得には審査期間が必要なため、更新申請の時点で有効な認証を受けている状態になるよう、逆算して取り組む必要があります。
電子マニフェストへの対応
環境配慮とは別の基準として、申請者の入出力装置が情報処理センター(電子マニフェストシステム)の電子計算機と電気通信回線で接続されていること、つまり電子マニフェストを利用できる体制にあることが求められます(施行規則第9条の3第4号)。国の通知でも、「電子マニフェストの利用」は5つの基準の一つとして明示されています(許可事務通知第1の7(2))。
申請時に必要となる主な証明書類
優良認定の申請では、通常の許可更新申請の書類に加えて、おおむね次のような書類の準備が必要です。法令上は、遵法性(1号)の基準に適合することを誓約する書面と、情報公開(2号)、環境認証(3号)、電子マニフェスト(4号)、税等の滞納なし(8号)の基準に適合することを証する書類を添付することとされています(施行規則第9条の2第2項第15号)。
- ISO14001の登録証、エコアクション21の認定書、または地域版EMSの認定書等および相互認証確認書
- 国税・県税・市町村税の未納のないことの証明書
- 社会保険料・労働保険料の未納のないことの証明書
- 情報公開の状況を示す資料(ホームページの掲載内容等)
- 財務諸表に基づく自己資本比率等の算定資料
情報公開の基準に適合することを証する書類を申請者以外の者が作成する場合は、環境大臣が指定する者が作成した書類でなければならないとされています(施行規則第9条の2第4項)。また、有価証券報告書で財務書類に代える場合は、直前の2事業年度分が必要です(同条第7項)。
まとめ
優良認定基準は、情報公開・コンプライアンス・財務体質・環境配慮・電子マニフェストという複数の観点から構成されており、いずれも一朝一夕に整えられるものではありません。特に環境認証の取得や、6か月以上の継続が求められる情報公開体制の整備には一定の準備期間が必要です。認定取得を目指す場合は、早い段階から自社の状況を確認し、不足している部分を計画的に整備していくことが大切です。
出典:
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第9条の2、第9条の3、第10条の4の2、第10条の12の2、第10条の16の2)
- 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
- 行政処分の指針について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033028号)
- 愛知県「産業廃棄物収集運搬業(積替保管を除く。)の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)
- 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」
