「優良産廃処理業者認定制度」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。これは、一定水準以上のコンプライアンス・情報公開・環境配慮等を満たす産業廃棄物処理業者を「優良」として評価する制度で、認定を受けることでいくつかのメリットが得られます。本記事ではその概要を紹介します。

制度は平成23年4月から開始されており(「行政処分の指針について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033028号。以下「行政処分指針」)第10の2(3)③)、法令上は、許可の更新の際に「優れた能力及び実績を有する者」の基準に適合すると認められた処理業者について、許可の有効期間を7年とする仕組みとして定められています(廃棄物処理法施行令第6条の9第2号、第6条の11第2号)。

制度の目的

産業廃棄物処理業者の中には、真面目に法令を遵守し、情報公開にも積極的に取り組んでいる事業者がいる一方で、排出事業者側からは処理業者の実態が見えにくいという課題があります。優良産廃処理業者認定制度は、そうした優良な事業者を可視化し、排出事業者が委託先を選定する際の判断材料を提供するとともに、優良な事業者自身にもインセンティブを与えることを目的としています。

国の通知では、制度の趣旨を「優良な産業廃棄物処理業者に優遇措置を講ずるとともに、排出事業者が優良な産業廃棄物処理業者を選択しやすい環境を整備することで、産業廃棄物処理業全体の優良化を図り、産業廃棄物の適正処理を積極的に推進するためのもの」と説明しています(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の7(1))。

産業廃棄物処理業の許可は都道府県・政令市ごとに与えられますが、優良認定も同様にそれぞれの許可行政庁が、許可の更新の際に審査・付与する仕組みです(施行令第6条の9第2号)。収集運搬業・処分業、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の別に、それぞれ基準が設けられています(廃棄物処理法施行規則第9条の3、第10条の4の2、第10条の12の2、第10条の16の2)。

認定は「更新」のときにしか受けられない

優良認定は、施行令上「許可の更新を受けた者であつて、当該許可の更新に際し…基準に適合すると認められたもの」の有効期間を7年とする仕組みです(施行令第6条の9第2号)。新規に許可を取得する段階で優良認定を受けることはできず、また基準の一部は「従前の許可の有効期間」中の実績(行政処分を受けていないこと)で判断されるため、少なくとも1回は通常の許可期間を経験している必要があります。

認定を受けるメリット

優良産廃処理業者として認定されると、産業廃棄物処理業の許可の有効期間が、通常の5年から7年に延長されます(施行令第6条の9第2号、第6条の11第2号)。更新手続きの頻度が減ることは、事務負担・コストの両面で事業者にとって大きなメリットとなります。更新申請の準備(決算書類の整理、講習会の再受講、各種証明書の再取得など)には相応の手間がかかるため、その頻度が3割以上少なくなる効果は実務上小さくありません。

また、優良認定を受けていること自体が、排出事業者に対する信頼性のアピール材料にもなります。優良認定業者には専用の様式の許可証が交付されるため(施行規則第10条の2、第10条の6)、委託先を選ぶ排出事業者も許可証で認定の有無を確認できます。

法令上・運用上のその他のメリットとしては、次のようなものがあります。

  • 申請書類の一部省略:都道府県知事は、申請者が優良基準に適合すると認めるときは、事業計画の概要、財務書類、定款または寄附行為の添付を要しないとすることができます(施行規則第9条の2第6項、第10条の4第5項)
  • 廃プラスチック類の保管上限の緩和(処分業):処分業者の保管量は原則として処理能力の14日分までですが、優良産業廃棄物処分業者が廃プラスチック類の処理施設で処分・再生のために保管する場合は、1日当たりの処理能力×28日分まで保管できます(施行令第6条第1項第2号ロ(3)、施行規則第7条の8第1項第3号)
  • 排出事業者の注意義務の判断要素:行政処分指針では、排出事業者が優良認定業者の公表情報を十分に比較・吟味したうえで委託先を選定している場合、排出事業者の注意義務の履行に関する一つの要素として考慮できるとしています(行政処分指針第10の2(3)③)。排出事業者にとって「優良認定業者を選ぶこと」が合理的な選択理由になるということです

認定基準の全体像

優良認定を受けるためには、廃棄物処理法施行規則で定められた複数の基準を満たす必要があります。国の通知では、制度の概要を「遵法性、事業の透明性、環境配慮の取組の実施、電子マニフェストの利用及び財務体質の健全性に係る5つの基準に適合する…産業廃棄物処理業者を都道府県知事が認定」するものと説明しています(許可事務通知第1の7(2))。整理すると、次の5つの観点から審査が行われます。

  1. 遵法性(従前の許可期間中に事業停止命令・改善命令・措置命令等の特定不利益処分を受けていないこと)
  2. 事業の透明性(インターネットを利用した情報公開の状況)
  3. 環境配慮の取組状況(ISO14001やエコアクション21等の環境マネジメント認証)
  4. 電子マニフェストの利用(情報処理センターに加入し、電子マニフェストが使用可能であること)
  5. 財務体質の健全性(自己資本比率・利益などの財務指標、税金・社会保険料等の滞納がないこと)

それぞれの具体的な基準や、申請時に必要となる証明書類(ISO14001の登録証、エコアクション21の認定書、国税・地方税・社会保険料・労働保険料の未納のないことの証明書など)については、別記事「優良産廃処理業者になるための基準」で詳しく解説します。

なお、国の通知は、優良産廃処理業者については、産業廃棄物処理業者として有するべき経理的基礎と、優良基準における財務体質の健全性に係る基準の「双方を満たしている必要がある」としています(許可事務通知第1の4(6)⑨)。優良基準の財務要件を満たせば通常の経理的基礎の審査が不要になるわけではありません。

制度の詳細な運用については、環境省作成の「優良産廃処理業者認定制度運用マニュアル」(平成23年3月)と「優良産廃処理業者認定制度運用マニュアルQ&A集」(平成27年3月)を参照するよう通知されています(許可事務通知第1の7(3))。

認定申請にあたっての実務上のポイント

優良認定の申請にあたっては、情報公開の状況や環境配慮の取組を証明する書類など、通常の許可更新申請よりも添付書類の種類が多くなる傾向があります。法令上は、更新申請書に、遵法性の基準に適合することを誓約する書面と、情報公開・環境認証・電子マニフェスト・税等の滞納がないことの基準に適合することを証する書類を添付することとされています(施行規則第9条の2第2項第15号)。

実務上の主な留意点は次のとおりです。

  • 税金・社会保険料・労働保険料の未納がないことの証明書は、申請日から3か月以内に取得したものであることが求められます(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q12)
  • ISO14001の登録証、エコアクション21の認定書等はコピーを提出し、申請時に原本と照合されます。未納がないことの証明書は原本またはコピーを提出し、コピーの場合は原本照合が必要です(同Q11)
  • 有価証券報告書で財務書類に代える場合、優良認定での更新申請では直前の2事業年度分の有価証券報告書が必要です(施行規則第9条の2第7項、許可事務通知第1の8)
  • 情報公開は、更新申請の日前6か月間継続して行っている必要があるため(施行規則第9条の3第2号)、申請直前にホームページを整備しても間に合いません

書類の収集に時間を要するため、更新のタイミングに合わせて優良認定を目指す場合は、通常の更新申請よりも早めに準備を始めることをおすすめします。

認定情報の行政間での共有

優良認定の有無は、許可の更新時に環境省の産業廃棄物行政情報システムに登録されます。「産廃情報ネット」を利用して情報公開を実施している優良認定業者については、このシステム登録によって行政側の環境省への報告作業を省略できる運用とされています(「産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033022号)別添4(2)②ア)。

まとめ

優良産廃処理業者認定制度は、許可更新の負担軽減だけでなく、排出事業者からの信頼獲得にもつながる制度です。ポイントを整理すると次のとおりです。

  • 認定は許可の「更新」の際に行われ、認定されると許可の有効期間が7年になる
  • 基準は「遵法性・事業の透明性・環境配慮・電子マニフェスト・財務体質」の5つ
  • 申請書類の一部省略や、処分業者の廃プラスチック類の保管上限緩和といった優遇措置もある
  • 情報公開は申請前6か月間の継続実施が必要なため、早めの準備が欠かせない

認定基準は多岐にわたり、証明書類の収集にも時間がかかるため、自社の取組状況を棚卸しした上で、余裕を持ったスケジュールで認定取得の可否を検討してみてはいかがでしょうか。


出典:

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第6条、第6条の9、第6条の11)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第7条の8、第9条の2、第9条の3、第10条の2、第10条の4、第10条の4の2、第10条の6、第10条の12の2、第10条の16の2)
  • 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
  • 行政処分の指針について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033028号)
  • 産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033022号)
  • 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」