「役員に外国籍の方がいるが、本籍地がないので身分証明書が取れない」「外国籍の個人事業主だが、許可申請で何を用意すればいい?」——外国籍の方が経営に関わる建設業者から、こうしたご相談をいただくことがあります。
愛知県の建設業許可の手引には、外国人住民の方の場合の書類の扱いがいくつか定められています。この記事では、その内容を整理します。
本記事の範囲について
本記事は、愛知県の「建設業許可申請の手引(申請手続編)」「同(申請書記載例編)」「建設業法による変更届等の手引(変更届出書編)」(いずれも令和8年4月)に記載されている、外国人住民の方の書類の扱いに限って解説します。在留資格の種類や要件、経営者としての在留資格の手続きなど、出入国管理に関する制度は、本記事の範囲外とします。
1. 日本人の場合に必要な2つの証明書
建設業許可の申請や役員の就任の変更届では、役員等や令3条使用人などについて、欠格要件に該当しないことを確認するため、次の2つの証明書が求められます(愛知県 申請手続編、変更届出書編)。
| 証明書 | 発行元 | 証明する内容 |
|---|---|---|
| 登記されていないことの証明書(後見等登記事項証明書) | 法務局・地方法務局(本局)の戸籍課 | 成年被後見人・被保佐人とする記録がないこと |
| 身分証明書(身元証明書) | 本籍地の市区町村役場 | 成年被後見人・被保佐人とみなされる者に該当しないこと、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないこと |
外国人住民の方は、日本に本籍地がないため、2つ目の身分証明書の扱いが異なります。
2. 身分証明書の代わりに「住民票」
愛知県の手引では、外国人住民の方は、本籍地の市区町村が発行する身分証明書に代えて、住民票を持参(原本提示)することとしています(申請手続編、申請書記載例編、変更届出書編)。
住民票は、次の事項が確認できるものが必要です。
- 氏名
- 通称名
- 生年月日
- 住所
- 国籍 など
申請手続編では、申請時3か月以内のものとされています。また、住民票はすべて個人番号(マイナンバー)の記載がないものを取得するよう案内されています。
3. 登記されていないことの証明書の申請書の書き方
法務局で「登記されていないことの証明書」を請求する際、証明を受ける方の記載事項として、通常は①氏名、②生年月日、③住所(または④本籍)が必要です。
愛知県の手引では、外国人住民の方は次のように記載するよう案内しています(申請手続編、申請書記載例編)。
- 本国名を記載し、通称名を( )書き
- 生年月日
- 住所
- 本籍:国籍欄に☑し、国籍名を記載
4. 個人事業主の場合の住民票
個人事業主については、通常、住民票または住民基本台帳ネットワークシステムで確認されます。愛知県の手引では、外国人住民の方は住民票(氏名、通称名、生年月日、住所、国籍などが確認できるもの)が必要としています(申請手続編)。申請書記載例編では、個人事業主が外国人住民の場合は住民票の原本提示が必要としています。
5. 変更届の場面での扱い
愛知県の「建設業法による変更届等の手引(変更届出書編)」では、次の場面で外国人住民の方の扱いが示されています。
| 場面 | 外国人住民の方の扱い |
|---|---|
| 役員等の就任 | 身元(身分)証明書に代えて、住民票を持参(原本提示) |
| 営業所の新設で新たに令3条使用人を置く | 同上 |
| 個人事業主の氏名の変更 | 住民基本台帳ネットワークシステムでの確認ではなく、本人の確認資料が必要 |
| 個人事業主の主たる営業所の所在地変更(住民票の住所と同じ場合) | 住民票の提示が必要 |
役員変更の手続き全般は「【愛知県版】建設業許可の役員変更手続き完全ガイド」をご覧ください。
6. 申請書に書く氏名の文字
愛知県の申請書記載例編では、申請書に書く氏名の使用文字は、戸籍上の文字(身元(身分)証明に記載の文字)が原則とされ、外国人の場合は住民票に記載の文字とされています。
7. 外国での学歴・実務経験について(参考)
建設業法施行規則第30条では、国土交通大臣の権限を地方整備局長などに委任する規定の中で、建設業法第7条第2号ハの規定による認定のうち、外国における学歴または実務経験に関するものは、委任の対象から除かれています。つまり、外国での学歴や実務経験を営業所技術者等の要件として認めてもらうための認定は、国土交通大臣が行う仕組みになっています。
具体的な認定の要件や手続きは、本記事の元にした資料には記載がないため、本記事の範囲外とします。
8. まとめ
- 外国人住民の方は、本籍地の身分証明書に代えて住民票(氏名・通称名・生年月日・住所・国籍などが分かるもの)を原本提示する
- 登記されていないことの証明書の請求では、本国名+通称名、国籍欄への記載が必要
- 個人事業主の確認や、所在地・氏名の変更でも住民票や本人確認資料が必要になる
- 申請書の氏名は、住民票に記載の文字で書く
- 住民票はマイナンバーの記載がないものを取得する
「外国籍の役員がいて、どの書類を用意すればよいか分からない」という事業者様は、お気軽に当事務所へご相談ください。
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