「1級の第一次検定に合格して『技士補』になった社員がいるけれど、どう活かせばいいの?」——こうしたご質問をいただくことがあります。

その代表的な活かし方が「監理技術者補佐」です。監理技術者補佐を現場に専任で置くと、監理技術者が2つの現場を兼務できるようになります(いわゆる専任特例2号)。

専任特例の全体像は「配置技術者とは?主任技術者・監理技術者の違いと建設業許可に必要な要件」で解説しました。この記事では、監理技術者補佐の資格要件・職務・書類上の扱いを、監理技術者制度運用マニュアル(最終改正 令和7年1月28日)に沿って詳しく解説します。


1. 監理技術者補佐とは

建設業法第26条第3項第2号では、専任が必要な工事の現場に、監理技術者の職務を補佐する者を専任で置く場合は、その監理技術者は専任でなくてもよいと定めています。この補佐する者を「監理技術者補佐」といいます(監理技術者制度運用マニュアル 一(1))。

同じ監理技術者が兼務できる工事現場の数は2です(建設業法第26条第4項、建設業法施行令第30条)。


2. 監理技術者補佐になれる人

監理技術者補佐は、次のいずれかに該当する者でなければなりません(建設業法施行令第29条、マニュアル 一(2)③)。

No.要件
1)請け負った工事の種類に係る主任技術者の資格を有する者のうち、一級の技術検定の第一次検定に合格した者(一級施工管理技士補。工事の種類に応じて指定された検定種別に限る)
2)請け負った工事の種類に係る監理技術者の資格を有する者

注意:1)が使えない4業種

工事の種類が機械器具設置工事、さく井工事、消防施設工事、清掃施設工事の場合は、2)(監理技術者の資格を有する者)に限られます(マニュアル 一(2)③)。

主任技術者資格とは

1)の「主任技術者の資格」とは、建設業法第7条第2号イ・ロ・ハ(指定学科卒業+実務経験、10年以上の実務経験、国家資格など)に該当することをいいます。一般建設業の営業所技術者等の要件と同じ考え方です。詳しくは「【令和7年最新版】愛知県の一般建設業許可:「営業所技術者等(旧専任技術者)」に必要な資格・要件一覧まとめ」をご覧ください。


3. 監理技術者補佐の職務

マニュアルでは、監理技術者補佐と監理技術者の役割を次のように整理しています(二-三)。

  • 監理技術者補佐は、監理技術者の指導監督の下、監理技術者の職務を補佐する
  • 監理技術者は、補佐を受けて職務を実施できるが、職務が適正に実施される責務は監理技術者にある
  • 監理技術者は、職務を適正に実施できるよう、監理技術者補佐を適切に指導する
  • 監理技術者が現場に不在の場合でも職務が円滑に行えるよう、監理技術者と補佐が常に連絡を取れる体制を構築しておく

兼務できる範囲

監理技術者が兼務できる現場の範囲は、工事内容・規模・施工体制などを考慮し、主要な会議への参加、現場の巡回、主要な工程の立会いなど、元請としての職務が適正に遂行できる範囲とされています(マニュアル 三(2)②)。

ICTの活用方針や監理技術者補佐が担う業務などについて、あらかじめ発注者に説明し、理解を得ることが望ましいとされています。


4. 押さえておきたい運用上のルール

4-1. 補佐は「専任」

専任特例2号の場合、現場に置く監理技術者補佐は専任でなければなりません(マニュアル 三)。

4-2. 現場が1つでも置けるが、その場合は兼務不可

現場が1つでも監理技術者補佐を置くことはできますが、その場合、監理技術者が他の現場を兼務することはできません(同 三(2)②)。

4-3. 主任技術者は対象外

専任特例2号は監理技術者に関する特例であり、主任技術者は対象になりません(同 三(2)②)。

4-4. 1号との兼務はできない

同じ技術者が、専任特例1号を使った現場と専任特例2号を使った現場を兼務することはできません(同 三(2)⑤)。

4-5. 途中で監理技術者が必要になる場合

工事途中で下請代金が増えて監理技術者が必要になることが予想される場合は、当初から監理技術者になり得る技術者を置くとともに、専任特例2号を使う場合は監理技術者補佐となり得る技術者もあわせて置く必要があります(同 二-二(3))。


5. 雇用関係の要件

監理技術者補佐も、監理技術者等と同じく、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です(マニュアル 二-四)。

公共工事では、元請の監理技術者補佐について、入札の申込みのあった日などの前に3か月以上の雇用関係が必要とされています(同 二-四(3)①)。

出向社員の扱いについては「出向社員を現場の主任技術者・監理技術者にできる?」の記事で解説しています。


6. 書類・掲示での扱い

6-1. 施工体制台帳

施工体制台帳には、監理技術者補佐の氏名と監理技術者補佐資格を記載します(建設業法施行規則第14条の2第1項第2号ヘ)。

「施工体制台帳の作成等について(通知)」では、資格の欄に「実務経験(土木)」などの主任技術者資格と、称号(例:「1級土木施工管理技士補」)を記載するとしています。添付書類として、資格を証する書面(1級技術検定の第一次検定の合格証明書の写しなど)と、雇用期間を限定せず雇用されていることを証する書面が必要です(建設業法施行規則第14条の2第2項第3号)。

6-2. 工事現場の標識

現場に掲げる標識の「専任の有無」欄には、「非専任(監理技術者を補佐する者を配置)」と記載します(マニュアル 図-3記載要領)。

6-3. 監理技術者講習

監理技術者補佐についても、監理技術者を適切に補佐し資質を高める観点から、監理技術者講習を受講することが望ましいとされています(マニュアル 四(3)②)。


7. まとめ

  • 監理技術者補佐を現場に専任で置くと、監理技術者は2現場まで兼務できる
  • 補佐になれるのは「主任技術者資格+1級第一次検定合格(技士補)」または「監理技術者資格」を持つ人
  • 機械器具設置・さく井・消防施設・清掃施設の4業種は、監理技術者資格者に限られる
  • 主任技術者には使えず、1号の現場との兼務もできない
  • 施工体制台帳・標識への記載、雇用関係の確認も忘れずに

「技士補の社員をどう配置すれば効果的か」「専任特例2号を使う際の書類を整えたい」という事業者様は、お気軽に当事務所へご相談ください。

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