「留学」の在留資格で日本に滞在していた方が学校を卒業した後、「まだ在留期限が残っているから、このままアルバイトを続けても大丈夫だろう」と考えてしまうケースがあります。しかし、これは大きな誤解であり、実際には卒業後にアルバイトを続けることはできません。
本記事では、出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q45の内容をもとに、なぜ卒業後のアルバイトが認められないのか、その理由と注意点を解説します。
在留期限が残っていても要注意
在留資格「留学」には在留期間が定められており、その期限内であれば形式上は日本に滞在し続けることができます。しかし、在留期限が残っているかどうかと、アルバイトができるかどうかは、まったく別の問題です。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、この点について次のように明確に述べられています。
「留学生に対する包括的な資格外活動許可は、教育機関に在籍している間に限り有効ですので、卒業後いずれの教育機関にも在籍していない場合には、アルバイトをすることは認められません。」(出入国審査・在留審査Q&A Q45より)
つまり、留学生が受けている資格外活動許可(週28時間以内などの就労を認める包括的な許可)は、あくまで「学校に在籍していること」を前提とした許可なのです。卒業によって教育機関への在籍という前提が失われた時点で、この資格外活動許可の効力もなくなってしまいます。在留カード上の在留期限がまだ先であっても、実質的にはアルバイトを続ける根拠を失っている状態になるということです。
なぜこのようなルールになっているのか
「留学」の在留資格は、あくまで日本の教育機関で学ぶことを目的とした在留資格です。資格外活動許可は、この「学業を行う」という本来の活動を続けながら、その傍らで収入を得る活動を例外的に認めるものにすぎません。したがって、卒業によって学業という本来の活動そのものが終了してしまえば、それに付随する形で認められていた資格外活動許可も当然に効力を失う、という考え方に基づいています。
卒業後にどうすればよいか
卒業後も日本に滞在を続けたい、あるいは帰国までの間の生活費を確保したいと考える方は、次のような選択肢を検討する必要があります。
- 帰国の準備をする:在留期限内に帰国の準備を進め、アルバイトをせずに滞在する。
- 就職が決まっている場合:内定を得ている企業がある場合は、「特定活動」への在留資格変更を申請することで、就労開始までの期間、一定の要件のもとで在留を継続できる場合があります(詳細は別記事「卒業後、就職の内定が出るまで日本に残るには」をご覧ください)。
- 就職活動を続ける場合:卒業までに就職が決まらなかった場合には、一定の要件のもとで「特定活動」(在留期間6月)への変更が認められ、就職活動を継続できる制度もあります(詳細は別記事「就職が決まらないまま卒業したらどうなるか」をご覧ください)。
いずれにしても、卒業後にそのままの状態でアルバイトを続けることは認められていないため、早めに今後の方針を決め、必要な在留資格の変更手続きを行うことが重要です。
無許可でアルバイトを続けるとどうなるか
卒業後、教育機関に在籍していないにもかかわらずアルバイトを続けた場合、それは資格外活動許可の範囲を超えた無許可就労、つまり不法就労にあたります。発覚した場合には、在留資格の取消しや退去強制手続きの対象となる可能性があるほか、雇用していた企業側も不法就労助長罪に問われるリスクを負うことになります。
「まだ在留期限が残っているから」という理由だけで安易にアルバイトを続けることは避け、卒業が近づいてきたら、早めに今後の在留資格についてどうするかを検討しておきましょう。
まとめ
「留学」の在留資格を持つ方が卒業した後は、たとえ在留カード上の在留期限が残っていたとしても、教育機関に在籍していない以上、包括的な資格外活動許可の効力は失われ、アルバイトを続けることはできません。これは出入国在留管理庁の公式Q&Aにも明記されているルールです。卒業を控えている留学生の方は、帰国するのか、就職活動を続けるのか、内定先への就職準備をするのかを早めに整理し、必要に応じて在留資格の変更手続きを進めるようにしましょう。手続きについて不明点がある場合は、早めに行政書士などの専門家や最寄りの地方出入国在留管理局等に相談することをおすすめします。