令和の永住許可制度の見直しにより、「故意に公租公課の支払をしない」「一定の重大な刑罰法令違反をした」などの事情がある永住者については、在留資格が取り消されたり、永住者以外の在留資格に変更されたりする場合があることが明確化されました。こうした制度変更を知った永住者の方やそのご家族から、「もし自分(あるいは配偶者)の永住者資格が取り消されたら、家族の在留資格はどうなってしまうのか」というご相談をいただくことが増えています。

今回は、出入国在留管理庁が公表している「永住許可制度の適正化Q&A」のQ14をもとに、永住者の配偶者や子への影響について解説します。

家族だからといって連鎖的に取消し・変更の対象になるわけではない

永住許可制度の適正化Q&AのQ14では、次のような質問が取り上げられています。

「永住者」の在留資格が取り消された場合や「永住者」以外の在留資格へ変更された場合、その配偶者や子といった家族の在留資格はどうなるのでしょうか。(永住許可制度の適正化Q&A Q14より)

これに対する回答のポイントは、まず大前提として次のように説明されています。

在留資格の取消し又は変更の対象となるのは、在留資格取消事由に該当する者だけであり、当該対象者の家族であることを理由として、在留資格の取消し又は「永住者」以外の在留資格への変更の対象となるわけではありません。(永住許可制度の適正化Q&A Q14より)

つまり、たとえば夫が公租公課(税金や社会保険料など)を故意に支払わず、永住者の在留資格を取り消される事態になったとしても、それだけを理由に妻や子の在留資格まで自動的に取り消されるわけではない、ということです。あくまで取消し・変更の対象となるのは、取消事由に該当する本人のみです。

子の在留資格への影響

具体的に、永住者の子どもの在留資格がどうなるかについては、次のように説明されています。

そのため、永住者の子の在留資格が「永住者」、「永住者の配偶者等」である場合、その在留資格に影響はありません。(永住許可制度の適正化Q&A Q14より)

つまり、親が永住者であっても、子ども自身がすでに「永住者」や「永住者の配偶者等」の在留資格を得ている場合には、親の在留資格の取消しによって子の在留資格が直接的に影響を受けることはないとされています。それぞれの在留資格は、あくまで本人ごとに個別に判断されるという原則が貫かれているわけです。

配偶者の在留資格への影響──「永住者」と「永住者の配偶者等」で違いがある

一方、配偶者については、配偶者自身がどの在留資格を持っているかによって扱いが分かれます。

また、配偶者の在留資格が「永住者」の場合もその在留資格に影響はありませんが、「永住者の配偶者等」の場合は、「定住者」などの在留資格に変更していただくことになります。(永住許可制度の適正化Q&A Q14より)

ここが実務上、特に注意すべきポイントです。整理すると次のようになります。

  • 配偶者自身が「永住者」の在留資格を持っている場合:本人が取消事由に該当しない限り、その在留資格に影響はありません。
  • 配偶者が「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている場合:永住者本人(配偶者)の永住資格が取り消されたり、他の在留資格に変更されたりすると、「永住者の配偶者等」という在留資格の前提が崩れてしまうため、「定住者」などの在留資格に変更する必要が生じます。

「永住者の配偶者等」という在留資格は、その名のとおり永住者を扶養者とする身分に基づくものです。そのため、扶養者である永住者本人の地位が変われば、それに連動して配偶者の在留資格も見直しを迫られることになります。

職権による在留資格の変更の仕組み

なお、永住許可制度の適正化Q&AのQ12によれば、永住者本人が取消事由に該当する場合であっても、直ちに在留資格を取り消して出国させるのではなく、「当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合」を除き、法務大臣が職権で永住者以外の在留資格への変更を許可することとされています。その際に付与される在留資格は、多くの場合「定住者」になると考えられています。

配偶者が「永住者の配偶者等」から「定住者」に変更する場合も、同様の枠組みの中で扱われると考えられます。永住者本人・配偶者双方の在留状況を踏まえて、それぞれに最適な在留資格が個別に検討されることになります。

実務上のポイント

  • 永住者本人に取消事由に該当する事情(公租公課の不払いなど)がある場合、本人だけでなく、家族の在留資格にも間接的な影響が及ぶ可能性があることを理解しておく必要があります。
  • 特に「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ配偶者は、永住者本人の状況が家族全体に波及する可能性があるため、早めに公租公課の支払状況などを確認しておくことが望ましいでしょう。
  • 再度永住許可を受けることも制度上可能とされているため、一時的に「定住者」などへ変更になった場合でも、その後、公的義務を適正に履行していることが確認できれば、改めて永住許可を申請することができます。

まとめ

  • 永住者の在留資格が取り消されたり変更されたりしても、家族であるというだけで連鎖的に在留資格が取り消されるわけではありません。
  • 子の在留資格が「永住者」「永住者の配偶者等」であれば、親の状況にかかわらず影響はありません。
  • 配偶者の在留資格が「永住者」であれば影響はありませんが、「永住者の配偶者等」の場合は「定住者」などへの変更が必要になります。

ご家族の中に永住者の方がいる場合、制度の仕組みを正しく理解しておくことは、将来の不安を減らすことにつながります。ご心配な点があれば、お早めに行政書士へご相談ください。

出典:出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」Q12、Q14