特別永住者の方は、有効な旅券と特別永住者証明書を所持していれば、原則として再入国許可を取得しなくても出国・再入国できる「みなし再入国許可」の制度を利用できます。しかし、この制度には見落としがちな「2年ルール」があり、これを超えてしまうと特別永住者としての地位そのものを失ってしまう重大なリスクがあります。
本記事では、出入国在留管理庁「Q&A特別永住者の制度について!よくある質問」の内容に基づき、みなし再入国許可の仕組みと注意点を解説します。
みなし再入国許可には旅券と証明書の両方が必要
まず前提として、みなし再入国許可を利用して出国するには、有効な旅券だけでなく特別永住者証明書も所持していることが必要です。同資料によると、入管特例法上、みなし再入国許可の対象となる特別永住者は、有効な旅券及び特別永住者証明書を所持する方に限定されており、出国確認の際にはこの両方を提示することが法務省令で定められています。証明書に常時携帯義務がないことから、自宅に保管したまま出国してしまうケースも想定されますが、みなし再入国許可を希望する場合には必ず両方を携帯する必要があります。
なお、出国確認時に証明書を持っていない場合は、再入国許可の取得を案内されることになります。
「2年」を過ぎると特別永住者の地位を失う
ここが最も重要なポイントです。同資料によると、みなし再入国許可の有効期間(出国の日から2年)を経過すると、特別永住者の地位が失われるとされています。そして、この2年という期間を延長することはできません。
うっかり海外に長期滞在してしまい、気づいたときには2年が経過していた――というような事態は、単なる証明書の失効にとどまらず、特別永住者としての在留資格そのものを失う極めて重大な結果を招きます。海外赴任や留学、長期の里帰りなどで長く日本を離れる予定がある方は、この2年という期限を強く意識しておく必要があります。
2年を経過して再入国する場合の手続き
万が一、出国の日から2年を経過した後に日本に入国しようとする場合、どうなるのでしょうか。同資料によると、この場合はもはや特別永住者として入国することはできず、査証(ビザ)を必要とする在留資格の場合は新たに査証を取得することも含め、新規の上陸許可を受けなければなりません。
さらに重要なのは、新規の上陸許可を受けて入国できたとしても、新たに特別永住者の地位を得ることはできないという点です。つまり、一度失った特別永住者の地位は、再入国したからといって自動的に回復するものではなく、事実上、別の在留資格での入国を強いられることになります。これは特別永住者にとって極めて重い制度上の帰結であり、うっかりミスでは済まされない問題です。
海外で証明書を紛失した場合はどうすればよいか
出国中に特別永住者証明書を紛失してしまった場合の扱いについても確認しておきましょう。同資料によると、みなし再入国許可により再入国する際には証明書の所持自体は要件とされていないため、出国している間に証明書を紛失した場合であっても、みなし再入国許可による再入国自体は可能です。再入国後は速やかに居住地の市区町村で再交付の手続きを行いましょう。
なお、航空機の搭乗手続等で在留資格の証明が必要になることが見込まれる場合には、代理の方を通じて最寄りの地方入国管理局で再入国許可期限の証明を受けることができるとされています。
自動化ゲートの利用について
みなし再入国許可による出入国は、事前に自動化ゲート利用者登録をしていれば、自動化ゲートを利用して行うことも可能です。なお、平成24年7月8日以前に登録された方は、「みなし再入国」対応の利用者登録への変更が必要ですが、この変更に際して指紋情報を再提供する必要はないとされています。
実務上のポイント
- 出国日を必ず記録しておく。2年の起算点は「出国の日」であるため、正確な日付管理が重要です。
- 長期の海外滞在予定がある場合は要注意。2年以内に一時帰国するか、事前に別途の在留手続きを検討する必要があります。
- 旅券と証明書は必ずセットで携帯。みなし再入国許可を利用する前提条件です。
- 証明書を紛失しても再入国自体は可能だが、帰国後は速やかに再交付を。
まとめ
特別永住者のみなし再入国許可には「出国の日から2年以内に再入国する」という厳格なルールがあり、これを過ぎると延長は認められず、特別永住者としての地位自体を失うという重い結果を招きます。長期間海外に滞在する予定のある方は、この2年ルールを必ず意識し、不安がある場合は早めに行政書士など専門家に相談することをおすすめします。