育成就労制度では、監理団体に代わる「監理支援機関」と、受入れ企業である「育成就労実施者」の双方について、技能実習制度よりも厳格な基準や評価の仕組みが導入されます。特に「優良」と認められるかどうかは、受入れ人数枠の拡大などに直結する重要なポイントです。
この記事では、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」の記述に基づき、監理支援機関の許可基準と、優良な監理支援機関・優良な受入れ機関の評価項目について整理します。
監理支援機関とは何か
出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」によると、監理支援機関は、技能実習制度の監理団体と同様に、主務大臣の許可を受けたうえで、国際的なマッチング、受入れ機関(育成就労実施者)に対する監理・指導、育成就労外国人の支援・保護等を行う存在です。
育成就労制度では、これらの監理・支援・保護の機能をより適切に果たせるよう、許可の要件が見直され、厳格化されています。また、育成就労制度で新たに可能となる本人意向による転籍について、転籍を希望する申出があった際には、監理支援機関が関係機関との連絡調整等の役割を担うこととされています。
なお、既存の監理団体が育成就労制度でそのまま監理支援機関として業務を行うことはできず、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。
監理支援機関の許可基準:技能実習より厳格化される点
同Q&Aでは、監理支援機関の体制に関する許可基準として、次のような要件が新たに設けられていると説明されています。
- 外部監査人を設置していること(外部監査人の要件については別記事で詳しく解説しています)
- 債務超過がないこと
- 監理支援を行う受入れ機関(育成就労実施者)の数が原則として2者以上であること
- 監理支援事業の実務に従事する常勤の役職員が2人以上であり、かつ、
- 監理支援を行う受入れ機関の数を8で割って得た数を、当該役職員の数が超えていること
- 監理支援を行う育成就労外国人の数を40で割って得た数を、当該役職員の数が超えていること
これらは、監理支援機関の体制の実効性を確保するための数値基準であり、技能実習制度の監理団体許可基準よりも厳格になっています。監理団体から監理支援機関への移行を検討している法人は、常勤職員の増員や体制強化が必要になる可能性があります。
優良な監理支援機関になるとどうなるか
技能実習制度における監理団体の優良要件と同様に、育成就労制度でも監理支援機関に対する優良要件があります。同Q&Aによれば、優良な監理支援機関は、次の事項を総合的に評価して判断されます。
- 監理型育成就労の実施状況の監査その他の業務を行う体制及び実施状況
- 監理支援に係る監理型育成就労における技能及び日本語能力の修得に係る実績
- 出入国又は労働に関する法令への違反、監理型育成就労外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況
- 監理型育成就労外国人からの相談対応その他の保護及び支援の体制並びに実施状況
- 監理型育成就労外国人と地域社会との共生に向けた取組状況
そして、優良な監理支援機関から地方に所在する優良な受入れ機関(育成就労実施者)が監理支援を受ける場合、当該受入れ機関の受入れ人数枠は基本人数枠の3倍になるとされています(この点は指定区域制度と併せて理解すると分かりやすくなります。詳しくは別記事をご覧ください)。
なお、優良な監理支援機関として認められるための具体的な基準や手続の方法については、決まり次第、運用要領の中で示される予定とされており、現時点では詳細な数値基準は確定していません。
優良な受入れ機関(育成就労実施者)になるための評価項目
受入れ企業側にも、技能実習制度の実習実施者優良要件と同様の仕組みがあります。同Q&Aでは、優良な受入れ機関になるためのインセンティブとして、次の要素を考慮した受入れ人数枠の拡大等が用意されていると説明されています。
- 技能及び日本語能力の修得に係る実績
- 育成就労を行わせる体制
- 育成就労外国人の待遇
- 出入国又は労働に関する法令への違反、育成就労外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況
- 育成就労外国人からの相談対応その他の保護及び支援の体制並びに実施状況
- 育成就労外国人と地域社会との共生に向けた取組の状況
こちらも、優良な育成就労実施者として認められるための具体的な基準は、決まり次第、運用要領の中で示される予定です。
監理団体の許可の有効期限が切れる場合の扱い
施行日(令和9年4月1日)後も引き続き技能実習生の受入れを行っている場合、施行日後に監理団体の許可の有効期間が切れるケースも想定されますが、育成就労制度の監理支援機関の許可を受けている場合には、技能実習制度における一般監理事業に係る許可を受けたものとみなされ、別途、監理団体の許可の有効期間を更新する必要はないとされています。これは、監理団体から監理支援機関へ移行する法人にとって実務上重要なポイントです。
まとめ
監理支援機関の許可基準は、外部監査人の設置や常勤役職員数の要件など、技能実習制度の監理団体よりも厳格化されます。また、監理支援機関・受入れ機関のいずれについても「優良」認定を受けることで受入れ人数枠が拡大する仕組みが用意されており、特に地方の優良な受入れ機関が優良な監理支援機関の支援を受ける場合は人数枠が3倍になります。具体的な優良基準は今後公表される予定のため、継続的な情報収集が必要です。
監理支援機関への移行準備や優良認定に向けた体制整備について、外国人材の在留手続に詳しい行政書士までお気軽にご相談ください。