育成就労制度で外国人を受け入れる際、企業が必ず把握しておかなければならないのが「受入れ人数枠」です。これは、受入れ機関(育成就労実施者)が同時に受け入れることのできる育成就労外国人の人数に関するルールで、技能実習制度における受入れ人数の考え方を踏まえつつ、いくつかの点で見直しが行われています。
この記事では、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」の記述に基づき、受入れ人数枠の基本的な計算の考え方を解説します。
受入れ人数枠の基本的な仕組み
出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」によると、育成就労制度では、育成就労実施者の常勤職員数に応じた育成就労外国人の受入れ上限、すなわち「受入れ人数枠」が設けられています。技能実習制度と同様に、企業の規模(常勤職員数)に比例した受入れ人数の上限が定められる仕組みです。
また、育成就労実施者が「優良」と認められる場合には、受入れ人数枠の拡大が認められるとされています。優良な育成就労実施者として認められるための具体的な基準については、決まり次第、運用要領の中で示される予定とされており、詳細は今後の公表を待つ必要があります。
技能実習との違い:1号~3号の区分廃止による計算方法の変化
育成就労制度で特に注意したいのが、技能実習制度における「1号・2号・3号」という段階区分が廃止されることに伴う、受入れ人数枠の考え方の変化です。
同Q&Aでは、技能実習制度における1号から3号までの区分廃止に伴い、育成就労制度では1年目から3年目までの育成就労外国人の合計をもって受入れ人数枠を定めていると説明されています。
これはどういうことかというと、技能実習制度では1号・2号・3号それぞれの区分ごとに受入れ可能な人数が管理される仕組みでしたが、育成就労制度ではそうした段階分けがなくなり、1年目の人材も2年目の人材も3年目の人材もまとめて「育成就労外国人」として、その合計人数が受入れ人数枠の中に収まっているかどうかで判断されることになります。
その結果として、同Q&Aでは「例えば同一の事業年度に受入れ人数枠の上限まで育成就労外国人を受け入れることも可能」であると明記されています。技能実習制度のように段階ごとに枠が分かれていないため、企業側からすると、ある年度に集中して人材を受け入れるといった柔軟な運用がしやすくなる可能性があります。
経過措置:技能実習生も人数としてカウントされる
もう一つ押さえておきたいのが、制度移行期における経過措置です。同Q&Aによれば、受入れ人数枠の計算においては、経過措置として引き続き技能実習を行っている1号技能実習生と2号技能実習生の数についても、育成就労外国人の数として数えることとされています。
つまり、育成就労制度施行後もしばらくの間は、技能実習生と育成就労外国人が同じ企業内に混在するケースが想定されますが、その場合、受入れ人数枠の計算上は両者を合算してカウントする必要があるということです。これは、育成就労制度における受入れ人数枠を、技能実習生も含めた「外国人材全体の受入れキャパシティ」として管理する考え方に基づくものと考えられます。
なお、より詳細な数値や計算式については、出入国在留管理庁が公表している「育成就労制度の関係省令等について(概略図)」の該当ページを参照するよう案内されています。人数枠の具体的な算出式や上限値については、今後公表される主務省令や運用要領で確定的な内容が示される見込みですので、制度の詳細が固まり次第、改めて確認することをおすすめします。
優良な受入れ機関になることのメリット
前述のとおり、優良な育成就労実施者と認められれば受入れ人数枠の拡大が認められます。また、後述する「指定区域」(地方への配慮に基づく制度)にある優良な育成就労実施者が、優良な監理支援機関から監理支援を受ける場合には、受入れ人数枠が基本人数枠の3倍になるという仕組みも用意されています(指定区域制度については別記事で詳しく解説しています)。
地方で人材確保に苦労している企業にとっては、優良な受入れ機関としての実績を積み重ねることが、受入れ枠の拡大という実利にもつながる制度設計になっていると言えるでしょう。
まとめ
育成就労制度の受入れ人数枠は、常勤職員数に応じた上限を基本としつつ、技能実習制度のような段階区分がなくなったことで、1年目から3年目までの合計人数で管理される仕組みに変わります。また、経過措置期間中は技能実習生の数も合算してカウントされる点に注意が必要です。優良な受入れ機関として認められることで人数枠の拡大が見込めるため、日頃からの適正な受入れ実績の積み重ねが重要になります。
受入れ人数枠の具体的な計算や制度移行に伴う実務対応について不安がある企業様は、外国人材の在留手続に詳しい行政書士までご相談ください。
