就労系の在留資格を持つ親などに扶養されて「家族滞在」の在留資格で日本に暮らす方が、進学のために「留学」への在留資格変更を希望するケースがあります。その背景には、「家族滞在」のままでは奨学金を受けられないという事情があることも少なくありません。このような事情は、在留資格変更許可申請において考慮してもらえるのでしょうか。
本記事では、出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q47の内容をもとに、この点を整理します。
「家族滞在」は奨学金の対象外になり得る
まず前提として理解しておきたいのが、「家族滞在」の在留資格を持つ方は、一部の奨学金制度の対象外とされているという点です。出入国在留管理庁のQ&Aでは、次のように説明されています。
「『家族滞在』の在留資格をお持ちの方については、独立行政法人『日本学生支援機構』等、一部の団体が支給する奨学金の対象外となっていますが、進学・通学を目的として、奨学金の対象となる『留学』への変更許可申請があった場合、このような事情も踏まえつつ、弾力的に審査を行っています。」(出入国審査・在留審査Q&A Q47より)
つまり、日本学生支援機構をはじめとする一部の奨学金制度は、「家族滞在」の在留資格を持つ方を支給対象としていません。そのため、進学にあたって奨学金を必要とする方は、「家族滞在」のままでは経済的に就学を継続することが難しくなる可能性があります。
在留資格変更審査で事情は考慮される
このような事情を踏まえ、出入国在留管理庁は、進学・通学を目的として「家族滞在」から「留学」への在留資格変更許可申請があった場合には、奨学金を受けられないという事情も踏まえつつ、弾力的に審査を行うとしています。
つまり、「家族滞在のままでは奨学金の対象にならず、経済的に進学・通学が難しい」という事情は、審査において考慮される要素の一つとして扱われるということです。これは、進学を希望する家族滞在者にとって心強い運用方針といえます。
「弾力的に審査」の意味を正しく理解する
ここで注意したいのは、「弾力的に審査を行う」という表現は、無条件に在留資格変更が認められることを意味するものではないという点です。あくまで、奨学金を受けられないという事情も考慮要素のひとつとして審査される、ということであり、進学先の学校の状況や、これまでの在留状況、資力の見込みなど、他の要素も総合的に勘案されたうえで、最終的な許可・不許可が判断されることになります。
「奨学金が必要だから」という理由だけを主張すれば必ず許可されるわけではないため、申請にあたっては、進学の目的や進学先の学校、就学計画などを含めて、しっかりと準備をしたうえで申請することが大切です。
申請時に準備しておきたいポイント
家族滞在から留学への在留資格変更許可申請を検討する場合、次のような点を整理しておくと良いでしょう。
- 進学先の入学許可書や在学予定証明書などの学校関係書類:進学の意思と受け入れ先が明確であることを示す資料です。
- 奨学金の申込状況や、対象外となる事情を示す資料:「家族滞在」のままでは奨学金の対象外となることを示す資料や、奨学金の申込状況を示す資料があれば、事情の説明に役立ちます。
- これまでの在留状況を示す資料:届出義務の履行状況など、これまでの在留に問題がなかったことを示す資料も重要な判断材料になります。
- 経費支弁能力を示す資料:奨学金以外にも、学費や生活費をどのように賄う予定なのかを説明できる資料を準備しておくと、審査がスムーズに進みやすくなります。
まとめ
「家族滞在」の在留資格を持つ方が進学・通学のために「留学」への在留資格変更を希望する場合、日本学生支援機構等の奨学金の対象外となっているという事情は、審査において考慮される要素の一つとされています。ただし、これは「弾力的な審査」の一要素であり、無条件に許可されるわけではない点には注意が必要です。進学を検討している家族滞在者の方は、進学先の資料や奨学金に関する事情を整理したうえで、早めに在留資格変更許可申請の準備を進めることをおすすめします。申請書類の準備や事情説明の仕方に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することも検討してみてください。