国際結婚をした後、外国籍の配偶者の方が「日本人の配偶者等」への在留資格変更許可申請を行う際、多くの方が悩まれるのが必要書類の準備です。特に「日本の市区町村への婚姻届」と「配偶者の母国で発行される婚姻証明書」の両方が本当に必要なのか、という点は問い合わせの多いポイントです。
今回は、出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q50・Q51の内容をもとに、必要書類とその取得が難しい場合の対処法について解説します。
婚姻届と婚姻証明書は両方必要
出入国審査・在留審査Q&AのQ50では、「就労資格でいる外国人女性と結婚して、その後彼女の在留資格の変更申請をする予定だが、日本の市区町村への婚姻届と彼女の国の婚姻証明書の両方が必要か」という質問が取り上げられています。
これに対する回答は次のとおりです。
「日本人の配偶者等」への在留資格変更許可申請には、婚姻事実が記載された日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻事実の記載がない場合には、戸籍謄本に加え婚姻届出受理証明書の提出をしていただきます。)と駐日外国公館等で発行される婚姻証明書が必要となります。(出入国審査・在留審査Q&A Q50より)
つまり、原則として次の2種類の書類がセットで必要になるということです。
- 日本側の証明書類:婚姻事実が記載された日本人配偶者の戸籍謄本。戸籍にまだ婚姻事実が反映されていない場合は、戸籍謄本に加えて婚姻届出受理証明書を提出します。
- 外国側の証明書類:駐日外国公館等(配偶者の国の大使館や領事館)で発行される婚姻証明書。
日本国内で先に婚姻届を提出したからといって、それだけで手続きが完了するわけではなく、配偶者の本国側での婚姻の事実確認も併せて求められる点に注意が必要です。国際結婚は日本と相手国、双方の法制度に基づいて婚姻の効力が認められる必要があるため、こうした二段構えの証明が求められるのです。
本国から婚姻証明書が発行されないときはどうする
もっとも、国によっては「日本で先に婚姻届を提出した場合、本国の機関から婚姻証明書が発行されない」という制度上の事情があるケースも少なくありません。出入国審査・在留審査Q&AのQ51では、まさにこの点が取り上げられています。
日本にて先に婚姻届出を行った場合、本国機関からは申請に必要な書類である「国籍国の機関から発行された結婚証明書」が発行されません。どうしたらよいでしょうか。
(回答)結婚証明書が提出できない事情について、任意の書面に記載して提出してください。(出入国審査・在留審査Q&A Q51より)
つまり、婚姻証明書がどうしても取得できない場合には、その理由を説明する書面(任意様式)を作成し、提出することで対応が可能とされています。「書類が取得できないから申請自体を諦めなければならない」というわけではなく、事情を丁寧に説明することで代替できる仕組みが用意されているのです。
実務上のポイントと注意点
婚姻証明書の取り扱いは国によって手続きが大きく異なるため、実務では次のような点に注意が必要です。
- 先に日本で婚姻届を出すか、本国での手続きを先に行うか:国によっては、本国での婚姻手続きを先に済ませた方が証明書を取得しやすい場合があります。結婚前に、配偶者の国の制度を確認しておくと安心です。
- 戸籍への反映にはタイムラグがある:市区町村に婚姻届を提出しても、戸籍にその事実が反映されるまでには数日から数週間かかることがあります。急いでいる場合は婚姻届出受理証明書を活用しましょう。
- 理由書は具体的に書く:婚姻証明書が発行されない理由書を提出する場合は、「なぜ発行されないのか」を制度的な背景も含めて具体的に記載すると、審査がスムーズに進みやすくなります。
- 翻訳が必要な書類がある:外国語で作成された書類には日本語訳を添付する必要があります(出入国管理及び難民認定法施行規則第62条)。
まとめ
- 「日本人の配偶者等」への在留資格変更には、原則として日本人配偶者の戸籍謄本(または婚姻届出受理証明書)と、配偶者の本国が発行する婚姻証明書の両方が必要です。
- 日本で先に婚姻届を出したために本国の婚姻証明書が発行されない場合は、その事情を説明する任意の書面を提出することで対応できます。
- 国によって婚姻手続きの順序や必要書類が異なるため、結婚前・結婚後の早い段階で専門家に相談し、書類の準備を計画的に進めることをおすすめします。
書類の不備は審査の遅れにつながることもあります。ご自身のケースでどの書類が必要か迷われた場合は、行政書士にご相談ください。
出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q50、Q51