「使っていない畑に太陽光パネルを並べたい。農地でも発電所にできる?」
「太陽光発電の用地として農地を借りたいと、事業者から地主さんに話が来ている」

太陽光発電事業者の方や、用地を探している方、話を持ちかけられた地主さんから、こうしたご相談をいただきます。

農地に架台を組んでパネルを並べる、いわゆる「野立て」の太陽光発電設備を設置することは、農地を農地以外のものにする農地転用に当たります。そのため、農地法第4条(自己所有の農地)または第5条(他人の農地を借りる・買う)の許可が必要です(市街化区域内は届出)。

ただし、太陽光発電の転用には、一般の転用にはない特有の論点がいくつかあります。この記事では、国の「農地法の運用について」(以下「運用通知」)と、愛知県の「農地法関係許可申請等取扱ハンドブック(第八版)」(以下「愛知県ハンドブック」)に沿って、次の点を解説します。

  • 農地区分ごとの許可の見通し(特に第1種農地)
  • 太陽光特有の添付書類
  • 再エネ法の計画を使うルート
  • 営農型太陽光発電との違い

まず確認:「野立て」か「営農型」か

農地に太陽光パネルを設置する方法は、大きく2つに分かれます。

方式内容転用の性質
野立て(この記事の対象)農地をやめて、発電設備の敷地にする恒久的な転用
営農型(ソーラーシェアリング)支柱を立てて上部にパネルを設置し、下で営農を続ける支柱部分の一時転用

営農型は要件も手続きもまったく異なります。「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の許可要件と毎年の報告義務」で別に解説しています。


農地区分ごとの見通し─ 太陽光で「第1種農地」が特に難しい理由

農地転用の許可は、まず立地基準(農地がどの区分に当たるか)で可否の大枠が決まります(農地法第4条第6項第1号・第2号、運用通知 第2の1(1))。立地基準の概要は「自分の農地に家を建てるには?農地法第4条の許可基準」でも解説していますが、太陽光で問題になる点を中心に整理します。

農地区分原則野立て太陽光の見通し
農用地区域内農地(青地)原則不許可農振除外が前提。除外の要件は厳格
甲種農地・第1種農地原則不許可例外に該当しにくい(下記参照)
第2種農地周辺の他の土地で目的を達成できるなら不許可代替地がないことの説明が必要
第3種農地許可できる一般基準を満たせば許可の見込み

第1種農地の例外から「太陽光」が外されている

第1種農地は原則として転用できませんが、例外的に許可できる場合の一つに、「公益性が高いと認められる事業」があります。その筆頭が、次の事業です。

土地収用法その他の法律により土地を収用し、又は使用することができる事業(太陽光を電気に変換する設備に関するものを除く。)(運用通知 第2の1(1)イ(イ)g(a)、農地法施行規則第37条)

括弧書きで「太陽光を電気に変換する設備に関するものを除く」と明記されているため、太陽光発電は、この「公益性の高い事業」の例外を使って第1種農地を転用することができません。

「発電事業は公益性があるから、第1種農地でも大丈夫だろう」という見込みは通用しない、という点をまず押さえてください。

実務上のポイント
用地選定の段階で、候補地の農地区分を確認することが最優先です。第1種農地・青地の候補地は、後述する再エネ法の計画ルートなどの特別な枠組みがない限り、野立て太陽光の用地としては現実的ではありません。青地の調べ方は「開発予定の農地が青地か白地か調べる方法」をご覧ください。


再エネ法・温対法の計画に基づくルート

一方、運用通知は、第1種農地の「公益性が高い事業」の例外として、次の2つを挙げています。

① 農山漁村再生可能エネルギー法の「設備整備計画」

農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律第5条第1項に規定する基本計画に定められた同条第2項第2号に掲げる区域(農業上の土地利用との調整が調ったものに限る。)内において同法第7条第1項に規定する設備整備計画(中略)に従って行われる同法第3条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備の整備(運用通知 第2の1(1)イ(イ)g(l))

市町村が作る基本計画で再エネ発電設備の整備を促進する区域が定められ、農業上の土地利用との調整が調っている区域内で、協議会での協議を経た設備整備計画に従って行われる整備が対象です。

② 地球温暖化対策推進法の「促進区域」

地球温暖化対策の推進に関する法律第21条第5項第2号に規定する促進区域(農業上の土地利用との調整が調ったものに限る。)内において(中略)認定を受けた設備整備計画に従って行われる同法第3条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備の整備(運用通知 第2の1(1)イ(イ)g(m))

どちらも、市町村などが地域ぐるみで計画を作り、農業との調整を事前に済ませた区域での整備に限られます。事業者が個別に申請すれば使える例外ではありません。候補地の市町村でこうした計画があるかどうかを確認することになります。

なお、農山漁村再エネ法の所有権移転等促進計画に基づいて権利が設定・移転される場合は、農地法第3条の許可が不要とされています(農地法第3条第1項第9号の2)。


一般基準─ 太陽光で特に問われる「事業の確実性」

立地基準を満たしても、一般基準を満たさなければ許可されません(農地法第4条第6項第3号〜第6号、運用通知 第2の1(2))。太陽光で特に重要なのは、申請どおりに確実に事業が行われるかという点です。

一般基準では、次のような場合に「転用して申請用途に供することが確実と認められない」とされます(運用通知 第2の1(2)ア、農地法施行規則第47条)。

  • 転用行為に必要な資力・信用がない
  • 転用の妨げとなる権利を持つ人の同意がない
  • 許可後遅滞なく申請用途に供する見込みがない
  • 事業に必要な他法令の許可等が得られる見込みがない
  • 面積が事業の目的からみて適正でない

太陽光特有の添付書類:「設置の確実性を証する書類」

愛知県ハンドブックの「農地転用許可申請チェックリスト」では、太陽光発電について次の書類が挙げられています。

27 太陽光発電設備設置の確実性を証する書類
認定通知書の写し及び接続契約申込済であることを確認できる書類(農転許可申請時には認定通知書に代えて、認定申請済みであることを確認できる書類を添付し、許可処分までに認定通知書の写しを追加提出することとしてもよい。)
(根拠:農地法施行規則第47条第1号、第57条第1号)

つまり、次の2点を書類で示す必要があります。

チェック:太陽光の確実性を示す書類(愛知県ハンドブック)
– 発電事業の認定通知書の写し(申請時は認定申請済みの書類でも可。許可処分までに認定通知書を追加提出)
– 電力会社への系統接続契約を申し込み済みであることを確認できる書類

「土地だけ先に押さえて、認定や系統接続はこれから」という段階では、許可後遅滞なく事業を始められる見込みを示せず、許可が難しくなります。

その他の添付書類

一般の転用と同様に、次の書類も必要です(愛知県ハンドブック チェックリスト)。

書類太陽光でのポイント
利用計画図パネル配置、フェンス、管理用通路など(建物を伴わない転用)
取水・排水系統図建物を伴わない場合は排水のみ。パネルからの雨水の流れに注意
資力及び信用を証する書面設備費用を含めた資金計画の裏付け
事業計画書1,000㎡以上など
土地所有者の同意書借地で行う場合
土地改良区の意見書受益地の場合

周辺の営農条件への配慮

転用によって周辺農地の営農条件に支障を生ずるおそれがある場合も不許可になります(農地法第4条第6項第4号)。運用通知は、土砂の流出・崩壊、農業用用排水施設への支障、日照・通風への支障、農道・ため池など農業用施設の機能への支障などを挙げています(運用通知 第2の1(2)イ)。

パネル面に集まった雨水が一か所に集中して流れ出し、隣の田んぼや水路に土砂が入り込む、といった事態がないよう、排水計画と造成計画を丁寧に作りましょう。

地域計画の区域内では「地域計画の達成への支障」も審査

市町村の地域計画の区域内の農地では、転用によって地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがある場合も不許可事由になります(農地法施行規則第47条の3、運用通知 第2の1(2)ウ)。担い手が決まっている農地や、集積の目標がある区域での野立て太陽光は、この点が大きな壁になりえます。地域計画については「【開発事業者必見】農地法「下限面積廃止」と「地域計画」の壁」もご覧ください。


補足:農業用施設の屋根などに付ける太陽光は扱いが違う

畜舎や農業用倉庫などの農業用施設に附帯して太陽光発電設備を設ける場合は、次の条件をすべて満たせば、その設備も農業用施設として扱われます(運用通知 第2の1(1)イ(イ)c(a)ⅴ)。

  • 農業用施設等と一体的に設置される
  • 発電した電気をその農業用施設等に直接供給する
  • 発電能力が施設の瞬間的な最大消費電力を超えない(かつ施設の床面積を超えない規模)

これは「売電目的の野立て」とは別の扱いです。農業用施設の転用については「農業用倉庫・畜舎・ハウスを自分の農地に建てるとき転用許可は要る?」で解説しています。


補足:耕作放棄地と「非農地判断」

国は、再生可能エネルギーの導入促進という観点からも、再生利用が困難な荒廃農地について農業委員会が速やかに非農地判断を行うよう求めています(「非農地判断の徹底について」令和3年4月1日 2経営第3505号)。

すでに森林の様相を呈しているなど、農地に戻すことが著しく困難な土地は、農業委員会の判断により農地に該当しないとされる場合があります。ただし、判断は農業委員会が現況を客観的に行うもので、事業者や所有者の希望で決まるものではありません。また、青地の場合は非農地判断後も農用地区域に残る場合があります。詳しくは「山林化した耕作放棄地の「非農地判断」と地目変更登記」をご覧ください。


まとめ

  • 野立て太陽光は恒久的な農地転用。4条・5条許可(市街化区域は届出)が必要
  • 第1種農地では、公益性事業の例外から太陽光が除外されているため、原則として転用できない
  • 例外として、農山漁村再エネ法の設備整備計画や温対法の促進区域など、地域で農業との調整を済ませた計画に基づく整備がある
  • 申請には、認定通知書(または認定申請済みの書類)と系統接続契約の申込を示す書類で設置の確実性を示す(愛知県ハンドブック)
  • 排水・土砂流出など周辺農地への影響、地域計画との関係も審査される
  • 営農型(ソーラーシェアリング)は別の制度

太陽光発電用地としての農地転用は、用地選定の段階で見通しがほぼ決まる案件です。当事務所では、候補地の農地区分や農振・地域計画の状況の調査から、確実性を示す書類の整理、許可申請までサポートします。

「この農地で太陽光はできる?」用地選定の段階からご相談ください。


参考資料

  • 農地法(令和7年6月1日施行版)第3条第1項、第4条第6項、第5条
  • 農地法施行規則(令和7年7月28日施行版)第37条、第47条、第47条の3、第57条
  • 「農地法の運用について」の制定について 第2の1(1)イ、第2の1(2)
  • 非農地判断の徹底について(令和3年4月1日 2経営第3505号 農林水産省経営局農地政策課長通知)
  • 愛知県農業水産局農政部農業振興課「農地法関係許可申請等取扱ハンドブック(第八版)」(令和7年3月)参考資料「農地転用許可申請チェックリスト」、添付書類一覧