永住許可の取消事由に該当する可能性があると言われたとき、「一方的にすぐ在留資格を取り消されてしまうのではないか」「不服がある場合はどうすればいいのか」と不安に感じる方は多いでしょう。実際には、取消しなどの判断に至るまでに、法律で定められた手続を経ることになっています。
本記事では、出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」の内容をもとに、永住許可取消しに至るまでの手続の流れと、処分に不服がある場合の対応方法について解説します。
取消しの判断に至るまでの手続の流れ
出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」によると、法務大臣は、取消事由の有無などの事実関係を正確に把握するために、入国審査官または入国警備官に事実の調査を行わせることとされています。いきなり結論を出すのではなく、まず事実確認のための調査が行われるという点が重要です。
さらに、入国審査官には、対象となっている外国人からの意見の聴取を行わせることとされています。この意見聴取の場では、当該外国人本人またはその代理人が、意見を述べたり、証拠を提出したりする機会が与えられています。つまり、一方的に処分が決定されるのではなく、本人側の言い分や証拠を示す機会が制度的に保障されているということです。
慎重に行われる最終判断
法務大臣は、事実の調査や意見聴取を通じて得られた事実などを踏まえたうえで、対象者が取消事由に該当するかどうか、そして該当する場合に永住者の在留資格を取り消すのか、それとも永住者以外の在留資格に変更するのかを慎重に判断することとされています。
このように、永住許可の取消しに関する判断は、単純な機械的処理ではなく、事実調査、意見聴取、そして慎重な判断という複数の段階を経て行われる仕組みになっています。
処分に不服がある場合は取消訴訟が可能
それでは、実際に在留資格の変更や取消しの処分が下され、その内容に納得できない場合はどうすればよいのでしょうか。出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」は、職権による在留資格の変更や永住者の在留資格の取消処分に不服がある場合は、取消訴訟等を提起することが可能であるとしています。
つまり、行政による最終判断がそのまま確定するのではなく、司法の場でその処分の当否を争う道が用意されています。処分に納得がいかない場合には、法的な手続を通じて争うことができるという点は、押さえておくべき重要なポイントです。
日本での定着性・生活状況への配慮
長年日本で生活してきた永住者の中には、「本国に帰る場所がない」という方も少なくありません。こうした事情は、取消しの判断において考慮されないのでしょうか。
この点について、出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」は重要な考え方を示しています。改正法の附則第25条では、公租公課の不払いを理由とする取消事由(新入管法第22条の4第1項第8号に係る部分)の適用にあたっては、永住者の適正な在留を確保する観点から、対象者の従前の公租公課の支払状況や現在の生活状況など、その外国人が置かれている状況に十分配慮するものとされています。
この趣旨を踏まえ、取消しの対象となるかどうかを判断する際には、対象者の日本への定着性や生活状況等にも十分配慮したうえで、慎重に運用することとされています。長年日本で生活を築いてきたことや、現在の生活基盤といった事情は、判断にあたって考慮される要素として位置づけられているのです。
まとめ
永住許可の取消しに関する手続は、事実調査、本人による意見陳述・証拠提出の機会の保障、そして法務大臣による慎重な判断という段階を経て行われます。また、処分の内容に不服がある場合には、取消訴訟などを通じて争うことも可能です。
さらに、公租公課の不払いを理由とする取消事由については、対象者の日本での定着性や生活状況にも十分配慮して、慎重に運用する方針が示されています。長く日本で生活してきた方にとっては、こうした配慮の仕組みがあることを知っておくことが、いざというときの安心材料になるはずです。手続の進め方や意見聴取での対応方法など、具体的な対応にお困りの際は、弁護士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。