卒業までに内定が得られなかった留学生は、「特定活動」の在留資格に変更することで最長1年間、日本国内で就職活動を続けられる制度があります。実はこれに加えて、地方公共団体が実施する就職支援事業に参加することで、卒業後2年目もさらに在留を延長できる仕組みが存在します。地方での人材確保を後押しする施策の一つとして注目される制度です。

本記事では、出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q44の後半部分の内容をもとに、この延長制度を解説します。

卒業後2年目もさらに1年間の在留が可能に

出入国在留管理庁のQ&Aでは、次のように説明されています。

「加えて、就職活動のための在留資格『特定活動』で就職活動を行っている留学生等が、地方公共団体が実施する就職支援事業(当庁の設定する要件に適合するものに限ります。)の対象となり、地方公共団体から当該事業の対象者であることの証明書の発行を受け、大学等を卒業後2年目に当該事業に参加してインターンシップへの参加を含む就職活動を行うことを希望される場合で、その方の在留状況に問題がないなどの場合は、当該事業に参加して行う就職活動のための在留資格(特定活動、在留期間は6月)への変更が認められ、更に1回の在留期間の更新が認められるため、当該事業に参加して行う就職活動のため、更に1年間(卒業後2年目)本邦に滞在することが可能です。」(出入国審査・在留審査Q&A Q44より)

つまり、卒業後1年目の就職活動(最長1年)で就職先が決まらなかった場合でも、地方公共団体が実施する就職支援事業に参加することで、卒業後2年目もさらに1年間、日本での在留を継続できる可能性がある、ということです。

制度を利用するための要件

この延長制度を利用するためには、次の要件を満たす必要があります。

  1. 就職活動のための「特定活動」の在留資格で在留していること
    まず前提として、卒業後1年目の就職活動のための在留資格(特定活動)を有していることが必要です。

  2. 地方公共団体が実施する就職支援事業の対象となっていること
    ここでいう就職支援事業は、どの地方公共団体の事業でもよいわけではなく、出入国在留管理庁が設定する要件に適合するものに限られます。

  3. 地方公共団体から対象者であることの証明書の発行を受けること
    単に事業に参加を希望するだけでなく、実際に参加対象者として地方公共団体から証明書の発行を受ける必要があります

  4. 大学等を卒業後2年目に、インターンシップへの参加を含む就職活動を行うこと
    この延長は、卒業後2年目のタイミングで、地方公共団体の事業に参加してインターンシップ等を含む就職活動を行うことを希望する場合に認められます。

  5. 在留状況に問題がないこと
    これまでの在留状況(届出義務の履行状況や資格外活動の範囲など)に問題がないことも要件のひとつです。

延長後の在留期間の仕組み

この制度による在留資格も「特定活動」で、在留期間は当初「6月」、その後さらに1回の更新が認められます。したがって、

  • 卒業後1年目:特定活動(6月+更新6月)で最長1年
  • 卒業後2年目:地方公共団体の就職支援事業に参加する特定活動(6月+更新6月)でさらに最長1年

という形になり、合計すると卒業後最長2年間にわたって、日本国内での就職活動を継続できる可能性があるということになります。地方での人材確保を目的とした施策と連動していることから、地方企業への就職を視野に入れている留学生にとっては、有力な選択肢のひとつといえるでしょう。

実務上のポイント

  • 地方公共団体への早めの相談:利用を希望する場合は、対象となる就職支援事業を実施している地方公共団体(都道府県・市区町村など)に早めに相談し、対象者としての証明書発行の手続きを確認しておく必要があります。
  • インターンシップの活用:この制度はインターンシップへの参加を含む就職活動を想定しているため、地元企業でのインターンシップを通じて採用につなげたいと考える留学生にとって有効な機会となります。
  • 在留状況の維持:延長の可否は在留状況にも左右されるため、資格外活動許可の範囲を守るなど、日頃から適正な在留を心がけることが重要です。

まとめ

卒業後の就職活動が長引いている留学生にとって、地方公共団体が実施する就職支援事業への参加は、在留期間をさらに1年間延長できる可能性のある重要な選択肢です。出入国在留管理庁が設定する要件に適合する事業への参加と、地方公共団体からの証明書発行が前提となるため、早めに情報収集を行い、自分の就職活動の方向性と照らし合わせながら活用を検討することをおすすめします。制度の詳細や自分自身が要件を満たすかどうかについては、地方出入国在留管理局等や行政書士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。