育成就労制度では、監理支援機関の許可基準の一つとして「外部監査人の設置」が新たに義務づけられます。これは技能実習制度における監理団体の外部監査人制度をさらに強化したもので、監理支援機関にとって欠かせない体制要素になります。同時に、行政書士や社会保険労務士といった専門職にとっては、外部監査人としての新たな役割を担う可能性がある重要なテーマでもあります。

この記事では、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」の記述に基づき、外部監査人になるための要件を整理します。

外部監査人の設置は監理支援機関の許可要件

まず前提として、監理支援機関の許可基準の一つに「外部監査人を設置していること」が新たに設けられています。監理支援機関は、これまでの監理団体以上に、監理・支援・保護の機能を強化することが求められており、その実効性を担保する仕組みとして外部監査人の設置が義務化されます。

外部監査人となるための要件

出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」によると、外部監査人となるための要件として、次のようなものが挙げられています。

1. 養成講習を受講していること

外部監査人になるためには、所定の養成講習を受講している必要があります。これは、外部監査人としての業務を適正に遂行するための知識を習得することを目的とした講習と考えられます。

2. 弁護士・社会保険労務士・行政書士その他育成就労の知見を有する者であること

同Q&Aでは、外部監査人の資格要件として「弁護士、社会保険労務士、行政書士その他育成就労の知見を有する者であること」と明記されています。さらに、個人としての資格者だけでなく、弁護士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人も可とされている点が重要です。

つまり、行政書士(または行政書士法人)は、外部監査人としての資格要件の一つに明示的に位置づけられており、育成就労制度における外部監査という新たな業務領域に参画できる可能性があるということです。

3. 監理支援を行う育成就労実施者と密接な関係を有さないこと

外部監査人としての独立性・中立性を確保するため、監理支援機関が監理支援を行う育成就労実施者と密接な関係を有していないことが要件とされています。監査対象と利害関係のある者が監査を担ってしまうと、監査の実効性が損なわれるおそれがあるための規定です。

4. 外部性を担保していること

外部監査人という名称のとおり、監理支援機関の内部の人間ではなく、外部から独立した立場でチェック機能を果たすことが求められます。この「外部性」を担保する具体的な運用のあり方については、養成講習等を通じて示されるものと考えられます。

5. 欠格事由に該当しないこと

その他、外部監査人としてふさわしくないとされる一定の欠格事由に該当しないことも要件とされています。

なぜ外部監査人の役割が重要視されるのか

監理支援機関は、育成就労外国人の保護と受入れ機関の適正な監理という重要な役割を担う一方で、監理支援機関自身が不適切な運営を行うリスクもゼロではありません。技能実習制度でも、監理団体による不正な監理や外国人保護の不徹底が問題視されてきた経緯があります。

育成就労制度では、監理支援機関の許可基準そのものを厳格化するとともに、外部監査人という第三者の目によるチェック機能を制度的に組み込むことで、監理支援機関の適正な運営を担保しようとしていると考えられます。

行政書士・社会保険労務士にとっての意味

行政書士や社会保険労務士は、これまでも外国人材の在留手続や労務管理の専門家として、技能実習制度・特定技能制度に深く関わってきました。育成就労制度における外部監査人の要件に、行政書士・社会保険労務士が法人形態も含めて明示的に位置づけられていることは、これらの専門職が監理支援機関の適正な運営を支える重要な役割を担うことを意味します。

監理支援機関としての許可取得を目指す法人にとっても、外部監査人をどのように確保するかは体制整備の重要な検討事項です。養成講習の受講状況や、密接な関係の有無といった独立性の要件を踏まえ、早い段階から外部監査人候補との連携を検討しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

育成就労制度における外部監査人になるための要件は、養成講習の受講、弁護士・社会保険労務士・行政書士その他育成就労の知見を有する者であること(法人形態も可)、監理支援を行う育成就労実施者と密接な関係を有さないこと、外部性の担保、欠格事由に該当しないことの5点が挙げられています。行政書士・社会保険労務士は、外部監査人としての要件に明示的に含まれる専門職であり、育成就労制度における監理支援機関の適正な運営を支える重要な役割を担うことが期待されます。

外部監査人の要件や監理支援機関の体制整備について詳しく知りたい企業様・専門職の方は、外国人材の在留手続に詳しい行政書士までお気軽にお問い合わせください。