育成就労制度の施行(令和9年4月1日)を目前に控え、すでに技能実習生を受け入れている企業がもっとも気になるのは「今受け入れている技能実習生はどうなるのか」「施行後も技能実習生の受入れを続けられるのか」という点でしょう。

この記事では、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」の記述に基づき、技能実習生の経過措置と、技能実習から育成就労・特定技能への移行に関するルールを整理します。

施行日時点で来日している技能実習生は継続可能

出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」によると、入管法等一部改正法(令和6年法律第60号)の施行日である令和9年4月1日の時点で既に来日している技能実習生については、原則として引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けることができます。

また、令和9年3月31日までに技能実習計画の認定の申請がなされ、施行日から起算して3か月を経過するまで(令和9年6月30日まで)に技能実習を開始する技能実習生についても、同様に技能実習を継続できるとされています。

つまり、令和9年4月1日という施行日をまたぐタイミングであっても、

  • 施行日時点で既に来日している人
  • 施行日前に計画認定の申請が済んでおり、令和9年6月30日までに実習を開始する人

については、育成就労制度への切り替えを待たずに、そのまま技能実習を続けられるということです。

1号・2号・3号への移行はどうなるか

同Q&Aでは、技能実習の段階移行についても具体的に説明されています。

  • 令和9年4月1日時点で技能実習を行っている1号技能実習生は、施行後も技能実習計画の認定を受けたうえで、2号技能実習へ移行することが可能です。
  • 令和9年4月1日時点で技能実習を行っている2号技能実習生のうち、2号技能実習を1年以上行っている者は、施行後も3号技能実習へ移行することが可能です。

つまり、施行日をまたいでも、一定の要件を満たせば技能実習の段階移行自体は継続して行えるということです。技能実習3号への移行要件の詳細については、「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」及び「技能実習3号移行リーフレット」で確認するよう案内されています。

施行日時点で計画を中断している場合はどうなるか

一方で注意が必要なのは、施行日時点で技能実習計画を「中断」している技能実習生のケースです。同Q&Aでは、次のいずれかに該当しない場合、技能実習生として再度入国することはできないとされています。

  • 令和9年4月1日時点で既に来日している技能実習生であること
  • 令和9年3月31日までに技能実習計画の認定の申請がなされ、原則として令和9年6月30日までに技能実習を開始する技能実習生であること

これに該当しない場合、技能実習生としての再入国はできませんが、技能実習の内容によっては、育成就労計画の認定を受ければ、育成就労外国人として入国できる可能性があるとされています。中断している技能実習計画を抱えている企業は、この経過措置のタイミングを踏まえて、早めの対応を検討する必要があります。

技能実習制度は施行後も並行して存続する

育成就労制度が施行されても、既存の技能実習生を受け入れ続けている企業がすぐに育成就労制度へ一斉に移行しなければならないわけではありません。技能実習生を受け入れている企業が、育成就労制度施行後も受入れを継続できるかという問いに対し、同Q&Aでは前述の経過措置の内容(施行日時点で来日済み、または施行日前申請かつ令和9年6月30日までに開始)に該当する場合は、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられると回答されています。

つまり、しばらくの間は「技能実習制度」と「育成就労制度」が同じ企業内で並行して存在する状態が生じることになります。前述のとおり、受入れ人数枠の計算においても、経過措置期間中は技能実習生の数を育成就労外国人の数として合算してカウントする仕組みになっているため、両制度の人材を一体的に管理する視点が必要です。

施行後も技能実習から特定技能1号への移行は可能

もう一つ重要なポイントとして、育成就労制度の運用開始後であっても、当分の間は、技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合には、特定技能1号への移行が可能とされています。育成就労制度への一本化が進んでも、既存の技能実習ルートからの特定技能移行がすぐになくなるわけではない、という点は実務上安心材料と言えるでしょう。

企業として今すべきこと

技能実習生を受け入れている企業は、次の点を確認しておくことをおすすめします。

  1. 現在受け入れている技能実習生が、施行日(令和9年4月1日)の時点でどの段階(1号・2号・3号)にあるか
  2. 中断している技能実習計画がある場合、施行日前申請・実習開始のタイムリミット(令和9年6月30日)に間に合うか
  3. 施行後、技能実習から育成就労、あるいは特定技能1号への移行をどのタイミングで進めるか

まとめ

技能実習制度から育成就労制度への移行には、丁寧な経過措置が設けられており、施行日時点で来日済みの技能実習生や、施行日前に計画認定の申請を行い令和9年6月30日までに実習を開始する技能実習生は、引き続き技能実習を継続できます。1号から2号、2号から3号への移行も一定の要件のもとで可能です。中断している技能実習計画がある企業は、経過措置のタイムリミットを踏まえた早めの対応が必要です。

技能実習生の受入れ継続や育成就労制度への移行準備について、外国人材の在留手続に詳しい行政書士までお気軽にご相談ください。