外国人が日本の企業で専門的な業務に就く際によく利用される在留資格が「技術・人文知識・国際業務」です。エンジニアなどの理系業務から、営業・企画・通訳翻訳などの文系業務、海外取引業務まで幅広くカバーする在留資格ですが、この資格を取得するためには、業務内容に応じた学歴要件や実務経験要件を満たす必要があります。

本記事では、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」に定められている「技術・人文知識・国際業務」の基準の内容を整理して解説します。

「技術・人文知識・国際業務」の基準の全体像

上陸基準省令は、「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄に掲げる活動について、申請人が次のいずれにも該当していることを求めています。

  1. 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務、あるいは外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務(国際業務)のいずれかについて、それぞれに定められた学歴要件・実務経験要件を満たしていること
  2. 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

以下、業務の類型ごとに要件を整理します。

技術・人文科学分野の業務(いわゆる「技術」「人文知識」部分)

自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していることが求められます。

  • イ 大学卒業等:当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと
  • ロ 専修学校の専門課程・専攻科修了:当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程又は専攻科を修了したこと(一定の要件に該当する場合に限る)
  • ハ 十年以上の実務経験:十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程若しくは専攻科において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む)を有すること

なお、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格し、または資格を有しているときは、上記の学歴・実務経験要件を満たしていなくても差し支えないとされています。この特例については、別記事「技術・人文知識・国際業務ビザの学歴要件の特例(試験合格による代替)」で詳しく解説しています。

国際業務(外国の文化に基盤を有する思考・感受性を要する業務)

翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務、いわゆる「国際業務」に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当することが必要です。

  • イ 該当業務への従事:翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること
  • ロ 三年以上の実務経験:従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない

つまり、国際業務については、大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導の業務に従事する場合を除き、原則として3年以上の実務経験が求められる点が、技術・人文知識分野とは異なる特徴です。

報酬要件も忘れずに

学歴要件・実務経験要件を満たしていても、それだけでは足りません。上陸基準省令では、いずれの業務類型についても「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が要件とされています。外国人であることを理由に、日本人よりも低い賃金水準で雇用することは認められていません。

「大学」「同等以上の教育」の範囲について

出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q38によれば、上陸基準省令でいう「大学」には外国の大学も含まれます。また「同等以上の教育」とは、教育制度上は正式には大学に当たらないものの、教育水準・編制等の点から大学と同視し得るほどの内容を有するような機関で教育を受けた場合などが該当するとされ、その該当性は各国の教育制度、学校制度の下における当該教育機関の性格、教育内容及び水準を踏まえ、個別に判断されます。

実務上のポイント

  • 業務内容と専攻科目の関連性を明確にする:技術・人文知識分野では、専攻科目と従事しようとする業務内容との関連性が審査上重要なポイントになります。
  • 実務経験の期間・内容を証明する資料の準備:実務経験によって要件を満たす場合は、在職期間や業務内容を証明する資料(在職証明書等)の準備が必要です。
  • 報酬水準の確認:雇用契約書等において、日本人従業員と同等以上の報酬が設定されているかを確認しておきましょう。

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、従事しようとする業務が技術・人文科学分野の業務なのか、国際業務なのかによって、求められる学歴要件・実務経験要件が異なります。前者は大学卒業(またはこれと同等以上の教育)、専修学校専門課程修了、あるいは10年以上の実務経験のいずれかを満たす必要があり、後者は原則として3年以上の実務経験(大学卒業者による語学関連業務は例外)が必要です。いずれの場合も、日本人と同等額以上の報酬が支払われることが前提条件となります。自分の学歴・職歴が要件を満たすか判断に迷う場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。