国際結婚をした外国籍の方から、当事務所にもっとも多く寄せられるご相談のひとつが「日本人と結婚したのですが、在留資格を変更しなければいけませんか」というものです。結婚は人生の大きな節目ですが、同時に在留資格という「日本に住み続けるための手続き」も見直す必要があるのではないかと不安に思う方が多いようです。

結論から言うと、出入国在留管理庁のQ&Aによれば、必ずしも在留資格の変更が必要というわけではありません。ただし、変更した方が生活の自由度が広がるケースも多く、状況に応じた判断が必要です。今回は、出入国在留管理庁が公表している「出入国審査・在留審査Q&A」のQ34を根拠に、わかりやすく解説します。

結婚しても今の在留資格のままでいられる場合がある

出入国審査・在留審査Q&AのQ34では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持ち、在留期間もまだ1年ほど残っている方が、まもなく日本人の女性と結婚する予定であるものの、在留資格の変更手続きをしなければならないか、という質問が取り上げられています。

これに対する出入国在留管理庁の回答は次のとおりです。

日本での仕事に変更がなく、引き続き同じ仕事に従事されるのであれば、現在有している「技術・人文知識・国際業務」の在留資格のままで在留することも可能ですし、また、日本人と結婚された後に「日本人の配偶者等」の在留資格へ在留資格変更許可申請を行うことも可能です。(出入国審査・在留審査Q&A Q34より)

つまり、結婚をしても、それまでの仕事内容や生活状況に変化がなければ、今の在留資格のまま暮らし続けることが認められているのです。「結婚=在留資格の変更が必須」というわけではない、という点をまず押さえておきましょう。

「日本人の配偶者等」に変更するとどうなるか

一方で、同じQ&Aでは、「日本人の配偶者等」への在留資格変更許可が認められた場合には、就労活動(職種)に制限がなくなるとも説明されています。

「技術・人文知識・国際業務」などの就労系の在留資格では、従事できる仕事の内容があらかじめ限定されています。たとえば専門的な知識や技術を必要とする業務でなければ、その在留資格の範囲外の活動とみなされてしまう可能性があります。これに対して「日本人の配偶者等」は身分に基づく在留資格であるため、原則としてどのような職業に就いても構いません。パートやアルバイト、単純作業を含む幅広い仕事に就くことができるようになるのは、大きなメリットといえるでしょう。

また、将来的に転職を考えている方、配偶者の扶養に入りたい方、あるいはより柔軟な働き方を希望する方にとっては、「日本人の配偶者等」への変更を検討する価値は十分にあります。

変更するかどうかを判断するポイント

実務上、在留資格の変更を検討する際には、次のような点を確認するとよいでしょう。

  • 今の仕事を続けるか、転職・退職の予定があるか:仕事を変えずに続けるなら、変更しなくても差し支えありません。
  • 将来的に幅広い職種で働きたいか:制限のない働き方を希望するなら「日本人の配偶者等」への変更が有利です。
  • 配偶者の扶養に入る予定があるか:扶養に入る場合、身分系の在留資格の方が手続き上スムーズなことが多いです。
  • 在留期間があとどれくらい残っているか:在留期限が近い場合は、更新のタイミングに合わせて検討するのも一つの方法です。

なお、在留資格の変更許可申請は義務ではありませんが、状況によっては手続きをしておいた方が、後々のトラブルを避けられることもあります。たとえば、転職を機に「技術・人文知識・国際業務」としての活動内容から外れてしまうと、在留資格の取消しの対象になりかねません。結婚を機に生活スタイルが変わる予定がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

  • 日本人との結婚だけを理由に、在留資格の変更が法律上義務付けられているわけではありません。
  • 仕事内容に変化がなければ、それまでの在留資格のまま在留を続けることも可能です。
  • 「日本人の配偶者等」に変更すると、就労できる職種の制限がなくなるというメリットがあります。
  • 今後のライフプラン(転職・扶養・働き方など)に応じて、変更するかどうかを検討しましょう。

在留資格の変更は、一人ひとりの状況によって最適な選択肢が異なります。ご自身のケースで判断に迷う場合は、行政書士など専門家に相談しながら手続きを進めることをおすすめします。

出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q34