この記事では、出入国在留管理庁が公表している「監理措置に関するQ&A」の内容をもとに、監理人になるための要件や、監理人としての適格性が認められないケース、選定が取り消される場合などについて、行政書士の視点からわかりやすく整理します。
監理人になるための3つの要件
出入国在留管理庁「監理措置に関するQ&A」Q16によると、監理人は次の3つの要件を満たしていることが必要とされています(入管法第44条の3第1項又は第52条の3第1項)。
- 監理人の責務を理解していること
- 監理措置決定を受けようとする外国人の監理人となることを承諾していること
- 任務遂行の能力を考慮して、監理措置決定を受けようとする外国人の監理人として適当と認められること
この3つの要件は、いずれも欠けることなく満たされている必要があります。単に「引き受けたい」という意思があるだけでは足りず、監理人としての責務を正しく理解していることや、実際にその任務を遂行できる能力があることまで求められている点が特徴です。
「監理人の責務」とは何か
同Q&AのQ17によると、監理人の責務は次の4つとされています(入管法第44条の3第2項から第5項まで又は第52条の3第2項から第5項まで)。
- 被監理者の生活状況の把握、被監理者に対する指導・監督を行うこと
- 被監理者からの相談に応じ、被監理者に対し援助を行うよう努めること
- 届け出るべき事由が発生した場合には、主任審査官に届出を行うこと
- 主任審査官から報告を求められたときは、報告を行うこと
なお、Q18では、これらの責務について「常時、本人の生活状況を把握しなければならないなどの過度な負担を求めるものではありません」と説明されており、被監理者が届出義務や監理措置条件等を遵守するために必要な範囲内で行えばよいとされています。
監理人になることの承諾
要件の2つ目である「承諾」については、Q22で具体的な方法が示されています。監理措置決定を受けようとする外国人の監理人になることを承諾している場合には、「監理人承諾書兼誓約書」に必要な事項を記載する必要があるとされています。監理人になろうとする人の意思を書面で明確にすることが求められているわけです。
任務遂行の能力が認められないケース
要件の3つ目である「任務遂行の能力」について、Q23では、監理人になろうとする者の年齢、性格、職業、収入、容疑者等との関係性を総合的に勘案して判断されるとした上で、次のような者は任務遂行の能力があるとは認められないとされています。
- 未成年者
- 精神機能の障害により監理人としての任務を遂行するに当たっての必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 在留資格を有していない外国人
これらに該当する場合、そもそも監理人として選定されることができません。監理人を引き受けようとする方は、自分自身がこれらの要件に抵触しないか、事前に確認しておく必要があるでしょう。
監理人の選定が取り消されることもある
監理人になった後も、責務を果たせなくなった場合には、その選定が取り消されることがあります。Q24によると、主任審査官は次の場合に監理人の選定を取り消すことができるとされています(入管法第44条の3第6項又は第52条の3第6項)。
- 監理人が任務を遂行することが困難になったとき(Q25):例えば疾病等により責務や義務を果たせなくなったとき
- 監理人にその任務を継続させることが相当でないと認められるとき(Q26):例えば監理人が届出・報告義務に違反したときや、被監理者に対して不当に高額の報酬等を要求しているとき
また、Q27によると、監理人を辞任する場合はあらかじめ主任審査官にその旨を届け出る必要があり、辞任しようとする日の30日前までに、辞任理由や辞任年月日などを地方出入国在留管理官署に届け出るよう努めることとされています。
なお、Q28にあるとおり、監理人が被監理者等から報酬を受けること自体には特段の制限はなく、当事者の合意により報酬を受けることは可能です。ただし、不当に高額な報酬等を要求していることが判明した場合には、前述のとおり選定取消しの理由となり得ます。
実務上のポイント
監理人を引き受けることは、被監理者の生活を支える重要な役割である一方、届出義務や指導・監督といった継続的な責任を伴います。特に「届け出るべき事由が発生した場合の届出義務」は7日以内という期限が定められており(Q20参照)、これを怠ると監理人自身が過料の対象となることもあります(Q32参照)。監理人を引き受けるかどうかを検討する際には、こうした責務の内容を十分に理解した上で判断することが大切です。
まとめ
監理人になるためには、「責務の理解」「監理人となることの承諾」「任務遂行の能力」という3つの要件を満たす必要があります。未成年者や在留資格を有していない外国人などは任務遂行の能力が認められず、監理人にはなれません。また、就任後も責務を怠れば選定が取り消される可能性があるため、監理人としての役割を正しく理解した上で引き受けることが重要です。
監理措置制度や監理人としての対応についてご不明な点がある方は、外国人の在留手続に詳しい行政書士までお気軽にご相談ください。