外国人の採用を検討する際、人事担当者がまず不安に感じるのが「この方を採用して本当に大丈夫なのか」という点ではないでしょうか。日本で働くことができるかどうかは、その外国人が持っている「在留資格」によって決まります。在留資格の種類や条件を誤って確認してしまうと、意図せず不法就労をさせてしまい、会社側が処罰の対象になることもあります。
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」のQ67では、まさに「会社の人事担当ですが、面接に来た外国人を雇用するに当たり、気をつける点を教えてください」という質問に対する回答が示されています。本記事では、この回答内容をもとに、面接時に確認すべきポイントを整理してご説明します。
在留資格・在留カードの確認が出発点
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」によると、外国人を雇用するに当たっては、まず旅券(パスポート)や在留カード等により在留資格を確認することが基本とされています。在留資格は全部で38種類あり(同庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q18参照)、それぞれ日本国内で行うことができる活動が法律で定められています。在留資格を確認せずに採用してしまうと、その方が実際には就労が認められていない在留資格であった場合、結果的に不法就労をさせてしまうことになりかねません。
在留カードは、中長期在留者(3か月を超えて日本に在留する外国人など)に交付されるカードで、氏名・生年月日・国籍・在留資格・在留期間の満了日・就労制限の有無などが記載されています。面接の際にはこのカードを提示してもらい、記載内容をしっかり確認することが第一歩です。
在留資格の種類ごとの確認ポイント
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q67では、在留資格の種類に応じて、確認すべき内容が異なることが説明されています。それぞれのパターンを整理すると、以下のようになります。
1. 就労に制限のない在留資格
在留資格が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」または「永住者」であれば、職種を問わず雇用することが可能です。これらは身分・地位に基づく在留資格であり、就労活動の内容に制限がありません。
2. 「留学」「家族滞在」の場合は資格外活動許可の確認が必須
「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ方は、本来は就労を目的とした在留資格ではありません。そのため、出入国在留管理庁から「資格外活動許可」を受けていれば雇用できますが、就労時間や活動内容に制限があるため注意が必要です。特に留学生のアルバイトについては、週28時間以内といった就労時間の制限があり、これを超えて働かせてしまうと不法就労に該当するおそれがあります(この点については別記事「留学生アルバイトの就労時間の上限」で詳しく解説しています)。
3. 「特定活動」の場合は「指定書」の確認
「特定活動」の在留資格を持つ方については、旅券に添付等されている、出入国在留管理庁が発行した「指定書」を確認する必要があります。たとえば「ワーキングホリデー」等を目的として入国している場合には、指定書に記載されている範囲内で雇用することができます。指定書に記載のない業務に従事させることはできませんので、内容をしっかり読み込むことが重要です。
4. その他の就労系在留資格の場合
「技術・人文知識・国際業務」や「技能」など、その他の就労に係る在留資格を持つ外国人については、従事しようとする業務内容がその在留資格に該当していれば雇用が可能です。一方で、従事させたい業務内容が当該在留資格に該当しない場合には、該当する在留資格に変更するか、資格外活動許可を受ける必要があります。
この「業務内容が在留資格に該当するかどうか」の判断は、実務上非常に判断が難しい場面が多くあります。判断に迷う場合には、就労資格証明書の交付申請を行うことで、その方が行うことができる就労活動の範囲を出入国在留管理庁に確認してもらうことができます(就労資格証明書については別記事で詳しく解説しています)。
在留期限の確認も忘れずに
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q67では、「永住者」以外の在留資格については、在留期限が経過していないかどうかも、一緒に確認するよう案内されています。在留カードには在留期間の満了日が記載されていますので、面接時だけでなく、雇用契約を締結する段階でも改めて確認しておくことをおすすめします。在留期限が近い場合は、採用後に本人が更新手続を行う必要があることも念頭に置いておきましょう。
面接時にチェックすべき項目のまとめ
ここまでの内容を踏まえ、面接時に確認すべき項目を整理すると、次のようになります。
- 旅券(パスポート)と在留カードの提示を求め、氏名・国籍・在留資格の種類を確認する
- 在留資格が就労制限のない身分系資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)かどうかを確認する
- 「留学」「家族滞在」の場合は、資格外活動許可の有無と、その許可の範囲(就労時間・業務内容)を確認する
- 「特定活動」の場合は、指定書の内容を確認する
- その他の就労系在留資格の場合は、従事させる予定の業務内容がその在留資格に該当する活動かどうかを確認する
- 判断が難しい場合は、本人に就労資格証明書の取得を促す、または専門家に相談する
- 在留期間の満了日を確認し、期限切れになっていないかチェックする
よくある質問
Q. 在留カードのコピーだけを保管しておけば十分ですか。
在留カードの提示を受けてコピーを保管しておくこと自体は望ましい対応ですが、それだけで安心せず、記載内容(在留資格・在留期間・就労制限の有無)を都度確認し、必要に応じて資格外活動許可の内容や指定書の内容まで踏み込んで確認することが重要です。
Q. 面接の段階でここまで細かく確認する必要があるのでしょうか。
採用選考の初期段階からすべてを確認する必要はありませんが、内定を出す前、遅くとも雇用契約を締結する前には、在留資格の内容が業務内容と合致しているかを必ず確認しておくべきです。採用後に問題が発覚すると、会社側にも不法就労助長罪のリスクが生じるため、早い段階でのチェックが望まれます。
まとめ
外国人採用の場面では、在留カードの提示を求めて在留資格の種類を確認するだけでなく、その在留資格で認められている活動の範囲や、資格外活動許可・指定書の内容まで踏み込んで確認することが欠かせません。判断に迷う場合は、就労資格証明書の活用や専門家への相談も検討しましょう。個別の採用ケースについては、状況によって判断が異なりますので、詳細は行政書士等の専門家にご相談されることをおすすめします。
