国際結婚をしたご夫婦の中には、就労等で日本に在留しているものの、出産のために配偶者が一時的に母国へ里帰りし、そのまま子どもと一緒にしばらく母国に滞在する、というケースが少なくありません。このような場合、「日本にいる自分が、海外にいる子どもの在留資格認定証明書を代わりに申請することはできるのだろうか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q49をもとに、このようなケースにおける申請の可否について解説します。
具体的な質問内容
出入国審査・在留審査Q&AのQ49では、次のような具体的な質問が取り上げられています。
現在、妻(「技術・人文知識・国際業務」)は中国で出産し、子とともに中国にいます。私は家族滞在で日本にいるのですが、子の家族滞在の在留資格認定証明書の申請はできますか。(出入国審査・在留審査Q&A Q49より)
この質問は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ妻が中国で出産し、子どもと共に中国に滞在している一方で、夫(父親)は「家族滞在」の在留資格で日本に在留している、という状況を想定したものです。父親自身も就労資格ではなく「家族滞在」の立場であるため、「自分にこの申請をする資格があるのだろうか」という点が疑問の核心になっています。
回答:親族として代理人になれるため申請可能
これに対する出入国在留管理庁の回答は、次のとおり明確です。
親族として代理人となれるので、申請できます。(出入国審査・在留審査Q&A Q49より)
つまり、日本にいる父親自身が就労資格を持っていなくても、子どもの「親族」という立場で代理人となり、在留資格認定証明書の交付申請を行うことができるとされています。
この点は、出入国審査・在留審査Q&AのQ3で説明されている在留資格認定証明書の代理人制度と関連しています。Q3では「入国しようとする外国人本人若しくは、その代理人の方が申請できます」としたうえで、「日本人と結婚されて入国しようとする場合には、外国人の配偶者である日本人が代理人となります」といった例が挙げられており、在留資格に応じて代理人となれる人の範囲が定められていることがわかります。子どもの在留資格認定証明書についても、日本国内に住む親族(この場合は父親)が代理人となることが認められているのです。
実務上のポイント
このケースを踏まえて、実務上押さえておきたいポイントをまとめます。
- 申請人自身の在留資格は問われない:父親が就労資格を持っていなくても、「家族滞在」であっても、親族として代理人になることができます。申請する側の在留資格の種類そのものが直接の障害になるわけではありません。
- 申請先は原則として親族の住所地を管轄する地方出入国在留管理局等:出入国審査・在留審査Q&AのQ4によれば、在留資格認定証明書は「原則として代理人となる受入れ機関の所在地や親族の住所地を管轄する地方局又は支局」で申請するとされています。日本にいる父親が代理人となる場合は、父親の住所地を管轄する官署で申請することになります。
- 交付後は速やかに手続きを:在留資格認定証明書の有効期間は交付日から3か月です(出入国審査・在留審査Q&A Q6)。交付を受けたら、母国にいる配偶者や子どもが速やかに在外公館でビザの発給を受け、上陸申請を行う必要があります。
- 必要書類は個別に確認を:出産や海外滞在という事情がからむケースでは、通常の家族滞在の申請よりも必要書類が多岐にわたることがあります。出生証明書や母子の関係を示す書類など、事前に管轄の地方出入国在留管理局や専門家に確認しておくと安心です。
家族滞在という在留資格について
念のため、「家族滞在」の在留資格についても触れておきます。出入国審査・在留審査Q&AのQ48では、「家族滞在で来日できる年齢の制限はありますか」という質問に対し、「扶養を受ける前提であれば、特に年齢の制限はありません」と回答されています。今回のケースのように、生まれたばかりの赤ちゃんであっても、扶養を受ける実態があれば「家族滞在」の対象になり得るということです。
ただし、扶養者が日本語教育機関の留学生である場合には、「家族滞在」による呼び寄せの対象にはならないなど、扶養者の在留資格によって取り扱いが異なる点にも注意が必要です(出入国審査・在留審査Q&A Q41)。今回のケースでは、母親が「技術・人文知識・国際業務」という就労資格を持っているため、その扶養を受ける子どもとして「家族滞在」の対象になると考えられます。
まとめ
- 海外で出産した子どもの在留資格認定証明書は、日本国内にいる親族(父親など)が代理人となって申請することができます。
- 申請人(代理人)自身が就労資格を持っていなくても、「家族滞在」であっても、親族としての立場で申請が可能です。
- 申請先は原則として代理人の住所地を管轄する地方出入国在留管理局等となります。
- 在留資格認定証明書の有効期間は3か月であるため、交付後は速やかに次の手続きを進める必要があります。
海外での出産や、家族が一時的に離れて暮らす状況は、想像以上に手続きが複雑になりがちです。スムーズに家族での生活を再開できるよう、早めに専門家へご相談ください。
出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q3、Q4、Q6、Q41、Q48、Q49