近年、優秀な海外人材の日本への呼び込みを目的として、世界的に評価の高い大学を卒業した方に向けた特別な在留資格の枠組みが設けられています。それが、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(特定活動告示)の本則第五十一号に定められた、就職活動・起業準備のための「特定活動」です。

本記事では、この告示の内容をもとに、対象となる要件や在留期間、注意点を解説します。

どのような活動が認められるのか

特定活動告示の本則第五十一号は、次のいずれにも該当する18歳以上の者が、本邦において2年を超えない期間滞在して行う活動を定めています。

「就職活動及び本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動(以下この号において『起業準備活動』という。)並びにこれらの活動を行うために必要な資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動並びに起業準備活動に附随して行う報酬を受ける活動(風俗営業活動を除く。)」(特定活動告示 本則第五十一号より)

つまり、この特定活動は「就職活動」と「起業準備活動」の両方を対象としており、それらの活動を行うために必要な範囲内でアルバイト等の報酬を得ることも認められています。最長2年という比較的長い在留期間が設定されているのも特徴です。

対象となる要件

この特定活動が認められるためには、次のイ・ロの要件をいずれも満たす必要があります。

イ 世界大学ランキングでの卒業実績

「申請の時点において、別表第十三に掲げる指標(いずれも直近のものに限る。)のうち二以上において上位百位までに掲げられている大学を卒業し、又はその大学の大学院の課程を修了して学位又は専門職学位(学位規則第五条の二に規定する専門職学位をいい、外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を授与された日から五年を経過していないこと。」(同告示 本則第五十一号イより)

ここでいう「別表第十三に掲げる指標」とは、次の3つの世界大学ランキングを指します。

  1. クアクアレリ・シモンズ社(英国)が公表する世界大学ランキング(QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス)
  2. タイムズ社(英国)が発行するタイムズ・ハイアー・エデュケーション誌で公表される世界大学ランキング(THE・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス)
  3. シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー(中国)が公表する世界大学学術ランキング(アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ)

これら3つの指標のうち、2つ以上で直近の発表において上位100位以内にランクインしている大学を卒業(または大学院修了)し、学位授与日から5年以内であることが条件です。したがって、対象となるのは世界的にトップクラスと評価される大学の卒業生・修了生に限られる、非常にハイレベルな人材向けの制度といえます。

ロ 十分な資力

「申請の時点において、申請人の預貯金の額が日本円に換算して二十万円以上であること。」(同告示 本則第五十一号ロより)

学歴要件に比べると、資力要件については日本円換算で20万円以上の預貯金があることが求められるにとどまっており、それほど高いハードルではありません。

扶養家族の帯同も可能

この特定活動を指定されて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子についても、日常的な活動を行うための在留が認められています(同告示 本則第五十二号)。家族を帯同しながら日本での就職活動や起業準備に専念できる制度設計になっている点も特徴です。

制度の活かし方

この特定活動は、卒業した大学が世界ランキングで極めて高い評価を得ている優秀な人材に対し、日本での就職先探しや起業準備にじっくり取り組める時間を与えるための制度です。海外の大学を卒業したばかりで、日本での正社員としての就職先や起業の目処がまだ立っていない方にとっては、最長2年という長い期間、腰を据えて活動できる貴重な選択肢となります。

利用を検討する場合は、卒業した大学が直近のランキングでどの位置にあるかを、QS・THE・上海ランキングのそれぞれで確認し、2つ以上のランキングで100位以内に入っているかをチェックすることが第一歩になります。

実務上のポイント

  • ランキングの「直近」の基準に注意:告示は「いずれも直近のものに限る」としているため、申請時点で最新のランキング結果を確認する必要があります。年によって順位が変動するため、卒業当時ではなく申請時点の最新ランキングで判断される点に注意しましょう。
  • 学位授与から5年以内という期限:学部卒業だけでなく大学院修了者も対象ですが、いずれも学位授与日から5年以内という期限があるため、対象となるかどうかは早めに確認しておく必要があります。
  • 在留期間中の活動内容の管理:就職活動・起業準備活動に付随する範囲内でのみ報酬を受ける活動が認められているため、無関係な就労を行わないよう注意が必要です。

まとめ

世界大学ランキング上位の大学を卒業・修了した方については、特定活動告示第51号にもとづき、就職活動および起業準備活動のために最長2年間、日本に在留できる特別な枠組みが用意されています。QS・THE・上海ランキングのうち2つ以上で上位100位以内にランクインする大学の卒業生・修了生で、学位授与から5年以内、かつ20万円以上の預貯金があることが主な要件です。該当する可能性がある方は、直近のランキング結果を確認したうえで、行政書士などの専門家に相談しながら申請を検討してみるとよいでしょう。