「同じ木くずなのに、うちの会社から出たものは産廃じゃないと言われた」
「現場事務所から出た書類の紙くずも、産廃として出していいの?」
「木製パレットは、どの業種でも産廃になるって本当?」
産業廃棄物には、どの業種から出ても産業廃棄物になるもの(廃プラスチック類、金属くず、がれき類など)と、特定の業種から出た場合に限って産業廃棄物になるもの(いわゆる「業種指定」のある廃棄物)があります。木くずや紙くずは後者の代表例で、同じ見た目の廃棄物でも、どの事業活動から出たかによって、産業廃棄物になるか一般廃棄物になるかが変わります。
この記事では、業種指定のある産業廃棄物の種類と対象業種、建設業ならではの注意点、一般廃棄物になった場合の扱いを、条文に沿って解説します。なお、「そもそも運ぶのに許可が必要か」「有価物か廃棄物か」という判断については、「産業廃棄物収集運搬業の許可は必要?行政書士が教える原則と「グレーゾーン」の判断基準」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
第1章|産業廃棄物の定義と「業種指定」
産業廃棄物は法律と政令で限定されている
廃棄物処理法は、「産業廃棄物」を次のように定義しています(廃棄物処理法第2条第4項第1号)。
事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
そして、「産業廃棄物以外の廃棄物」は全て一般廃棄物とされています(同条第2項)。つまり、「事業活動から出たゴミは全て産廃」ではなく、法律と政令に列挙された種類に当たるものだけが産業廃棄物です。事業活動から出たものでも、列挙された種類に当たらなければ一般廃棄物(いわゆる事業系一般廃棄物)になります。
業種指定とは
政令で定める産業廃棄物の中には、「どの業種から出たものか」が限定されている種類があります。愛知県の手続きQ&Aでも、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、家畜ふん尿、家畜の死体については、特定の事業活動に伴って生じたもののみが産業廃棄物に該当すると案内されています(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q18)。
第2章|業種指定のある産業廃棄物の一覧
施行令で定められている業種指定の内容は、次のとおりです(廃棄物処理法施行令第2条)。
| 種類 | 産業廃棄物になるもの | 条文 |
|---|---|---|
| 紙くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限る)、パルプ・紙・紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)、出版業(印刷出版を行うもの)、製本業、印刷物加工業に係るもの、PCBが塗布され、または染み込んだもの | 令2条1号 |
| 木くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限る)、木材・木製品の製造業(家具の製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む)に係るもの、PCBが染み込んだもの | 令2条2号 |
| 繊維くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものに限る)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係るもの、PCBが染み込んだもの | 令2条3号 |
| 動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業において原料として使用した動物・植物に係る固形状の不要物 | 令2条4号 |
| 動物系固形不要物 | と畜場でとさつ・解体した獣畜、食鳥処理場で食鳥処理をした食鳥に係る固形状の不要物 | 令2条4号の2 |
| 動物のふん尿 | 畜産農業に係るもの | 令2条10号 |
| 動物の死体 | 畜産農業に係るもの | 令2条11号 |
第3章|建設業者が特に注意したいポイント
ポイント1:「新築、改築又は除去に伴つて生じたもの」に限られる
紙くず・木くず・繊維くずについて、建設業に係るものは「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る」とされています(施行令第2条第1号〜第3号)。建設業者から出たものであれば何でも産業廃棄物になるわけではなく、工事(工作物の新築・改築・除去)に伴って生じたものに限定されているということです。
例えば、解体工事で出た木材や、新築工事で出た型枠・端材は、建設業に係る木くずとして産業廃棄物になります。一方、現場事務所や本社で日常業務に伴って出る書類の紙くずなどは、工作物の新築・改築・除去に伴って生じたものではないため、この限定に当たりません。
ポイント2:コンクリート片は「がれき類」
工作物の新築、改築または除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物は、「がれき類」として、業種を問わず産業廃棄物になります(施行令第2条第9号)。一方、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」の「コンクリートくず」からは、工作物の新築、改築または除去に伴って生じたものが除かれています(同条第7号)。工事から出るコンクリート片は「がれき類」、製品の製造工程などから出るものは「コンクリートくず」と、品目の区分が分かれています。
委託先の許可証の「事業の範囲」には、例えば「がれき類」のように品目名が記載されるため(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の11(1))、どちらに当たるかを正しく区分しておかないと、委託先の許可の範囲外の委託になりかねません(「産廃許可証の見方」参照)。
ポイント3:木製パレットは業種を問わない
木くずのうち、「貨物の流通のために使用したパレット」(積付けに使ったこん包用の木材を含む)は、業種の限定なく産業廃棄物とされています(施行令第2条第2号)。建設現場に資材が搬入される際に使われた木製パレットや、そのこん包材も、これに当たり得ます。
ポイント4:排出事業者は原則として元請業者
建設工事に伴って生ずる廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者となります(廃棄物処理法第21条の3第1項)。業種指定の判断も、「建設業に係るもの」として元請業者の事業活動に伴うものとして考えることになります(元請・下請の関係は「建設工事に伴う産業廃棄物の処理責任は元請業者?」参照)。
第4章|業種指定に当たらない場合はどうなるか
一般廃棄物として扱われる
業種指定に当たらない木くず・紙くずなどは、事業活動に伴って生じたものであっても一般廃棄物です(廃棄物処理法第2条第2項)。一般廃棄物の収集運搬・処分を業として行うには、産業廃棄物処理業の許可ではなく、その区域を管轄する市町村長の一般廃棄物処理業の許可が必要です(同法第7条第1項・第6項)。
そのため、産業廃棄物収集運搬業の許可しか持っていない業者は、業種指定に当たらない木くず・紙くずを、他人の廃棄物として業として運ぶことはできません。逆に、「木くず」の許可を持っていても、それは産業廃棄物である木くずについての許可です。
処理業者側の注意点
収集運搬業者・処分業者の側でも、排出事業者の業種によって、同じ品目が産業廃棄物か一般廃棄物かが変わることを理解しておく必要があります。例えば「木くず」の許可を持つ収集運搬業者が、業種指定に当たらない事業者から木くずを引き取る場合は、産業廃棄物処理業の許可の範囲では扱えない可能性があります。
なお、産業廃棄物処理施設の設置者が、施設で処理する産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものを処理する場合は、あらかじめ届け出れば、一般廃棄物処理施設の設置許可を受けずにその施設で処理できる特例があります(廃棄物処理法第15条の2の5第1項)。これは施設についての特例であり、一般廃棄物の処理業の許可が不要になるものではない点に注意が必要です。
第5章|PCBを含むものは常に産業廃棄物(特別管理)
紙くず・木くず・繊維くずのうち、PCBが塗布され、または染み込んだものは、業種を問わず産業廃棄物とされ(施行令第2条第1号〜第3号)、さらに特別管理産業廃棄物である「ポリ塩化ビフェニル汚染物」に当たります(施行令第2条の4第5号ロ)。PCB汚染物の収集運搬には、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可と、業務に直接従事する者の講習修了などの要件が必要です(「PCB廃棄物・感染性廃棄物の収集運搬許可」参照)。
第6章|判断に迷ったときのチェックポイント
- その廃棄物は、廃プラスチック類・金属くず・がれき類など、業種を問わず産業廃棄物になる種類か
- 紙くず・木くず・繊維くず等の場合、排出する事業者の業種は政令の業種指定に当たるか
- 建設業の場合、工作物の新築・改築・除去に伴って生じたものか(事務所ごみ等ではないか)
- 木くずの場合、貨物の流通に使ったパレット・こん包材に当たらないか
- コンクリート片は「がれき類」「コンクリートくず」のどちらに当たるか
- 一般廃棄物に当たる場合、委託先は市町村長の一般廃棄物処理業の許可を持っているか
第7章|廃棄物の区分に迷ったら行政書士へ
ポイントをまとめます。
- 産業廃棄物は法律と政令で列挙された種類に限られ、それ以外は事業活動から出ても一般廃棄物
- 紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さ・動物系固形不要物・家畜ふん尿・家畜の死体は、特定の業種から出たものだけが産業廃棄物
- 建設業に係る紙くず・木くず・繊維くずは、工作物の新築・改築・除去に伴って生じたものに限られる
- 貨物の流通に使った木製パレットは業種を問わず産業廃棄物、PCBを含むものは特別管理産業廃棄物
- 一般廃棄物の処理には市町村長の許可が必要で、産業廃棄物処理業の許可では扱えない
三澤行政書士事務所では、排出する廃棄物の区分の整理や、それに合わせた許可品目の選定、委託先の許可内容の確認をお手伝いしています。東海エリアの事業者様は、お気軽にご相談ください。
出典:
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第2条、第7条、第15条の2の5、第21条の3)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第2条、第2条の4)
- 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
- 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」